月曜の朝食時、四人が大広間で朝食をほおばっていると恒例の梟が大勢の生徒に手紙を運んできた。
「うわ、な、にゃにごとなの??」
がベーコン、目玉焼きを口に頬張ったまましゃべった。
隣りのハーマイオニ―のもとにバサバサと次々と梟達が到着している。
「ホーホーホー」とやかましい鳴き声が響き、梟達が押し合い、へし合い、我先に手紙を渡そうと彼女にせまった。
「いつのまにファンクラブを作ったの?」
がサッ、サッ、サッと素早くテーブルに到着した梟からの封筒を受け取り、ハーマイオニ―に渡しながら言った。
「あっ、それまだ食べてないのに〜〜」
一匹のすばしっこい梟が彼女の皿からベーコンをさらって飛んでいった。
「ファンクラブなんか作ってないわ」
ハーマイオニ―が封筒を開封しながら答えた。
「な、なによこれ――」
ハーマイオニ―が真っ赤になって言った。
「どうしたのーあ、こ、これ」
が彼女のただならぬ様子に気がついて、手紙を覗き込んだ。
「どうした?」
ハリー、ロンも手紙を覗き込んだ。
「おまえはわるいおんなだ・・・ハリー・ポッターには
・
こそふさわしい マグルよ 戻れ もときた
ところに」
「筆跡を特定できないように、新聞紙かなんかを切り抜いた文字を貼り付けて作ってあるわ。酷い・・」
がムカムカしながら、言った。
「みんな同じようなものだわ!」
ハーマイオニ―が泣きそうな顔で言った。
「ハリー・ポッターはおまえみたいな奴より
・
がいいんだ」「おまえなんか蛙の卵と一緒にゆでてやる」
「なによこれ!酷すぎるじゃない・・・」
「アイタッ!」
「どうしたの?ちょっと・・・こんなものまで送ってくるなんて!!・・あんまりだわ!!」
が怒りで真っ青になって、叫んだ。
最後の封筒を開封した時、強烈な石油の匂いのする液体がふきだし、ハーマイオニ―の手にベチャッとかかったのだ。
両手に大きな黄色い腫れ物が出来上がり、彼女の目から涙がこぼれだした。
たちまち指がおできだらけになり、その手は見るも無残に痛々しく変化した。
「こいつは・・腫れ草の膿の原液だ!」ロンが封筒を取り上げて、臭いをかぎながら言った。
「医務室へ行った方がいいよ」
ハリーが言った。
「私も一緒に行くわ。」
はぼろぼろと涙をこぼしているハーマイオニ―を立ち上がらせると、大広間から出て行った。
「おい、こ、これ・・見てみろよ」
ハーマイオニ―と
が大広間から出て行った後、ロンが残された手紙の一つをつまみあげて言った。
「あんたのことは週刊魔女で読みましたよ。ハリーを騙してるって。あの子はもう充分につらい思いをしてきたのに。
大きな封筒が見つかり次第、次の梟便で呪いを送りますからね」って、たいへんだ。」
ハリーは、ロンから渡された中の手紙を読みあげ、ゾッと背筋が寒くなるのを感じた。
「やばいよ・・マジで、ハーマイオニ―、気をつけなきゃ。」
ロンは憂鬱そうに言った。
それから一週間、いやがらせメールはとどまることを知らずに、ハーマイオニ―に届いた。
ハリー、ロン、
に「絶対に開けるな」と忠告されたので、賢明な彼女は開封しなかったが、
いやがらせの連中の中には、タチの悪い吠えメールを送ってくる輩もいた。
グリフィンドールのテーブルでメールが爆発し、広間全体に響き渡る声でハーマイオニ―を侮辱したので、
いまや、全校生徒はハリー――クラム―――ハ―マイオニ―――
の四角関係のすべてを知るところとなった。
ハリー、
は「ハーマイオニ―はガールフレンドじゃない」「ハリーはボーイフレンドじゃない」と訂正するのに、いいかげんにうんざりしていた。
「そのうち収まるさぁーあんな馬鹿げた記事、誰もがいつまでも覚えてるはずないだろ?」
ここのところ、えらくおかんむりなハーマイオニ―にロンは言った。
「そうそう僕達が全く気にしなきゃいいんだよ」
ハリーが
に言った。
そうこうしているうちに、最終課題の日が到来した。
ハリー、
はグリフィンドール寮から暖かい歓迎を受け、セドリック、フラー、クラムと共に競技場へと向かった。
スタンドはもう満席で、いまかいまかと、ギャラリーは課題の開始を待ちわびている。
「いいですかー私達が迷路の外側を巡回してます。何かあったら空中に赤い花火を打ち上げなさい!私たちのうち誰かが
救出に向かいます。わかりましたか?」
マグゴナガルが声を張り上げた。
最終課題は六メートルほどの生垣がグルッと取り囲む、巨大な自然の迷路で行われる。
「では選手はスタート地点について!!」
バグマンが号令した。
五人の選手は迷路の入り口に並んだ。
「さあ、皆さん、いよいよ、最終課題の開始です!その前にここまでの得点状況をお知らせしましょう!!
第一位、
・
嬢―ホグワーツ校」
ホグワーツサイドから、大歓声が上がった。
「第二位、ビクトール・クラム君―ダームストラング専門学校」
「同点三位、セドリック・ディゴリ―君とハリー・ポッター君。両名ともホグワーツ校」
またまた大歓声が上がった。
「第四位、フラー・デラクール嬢、ボーバートン・アカデミー」
「この最終課題でおおいなる逆転が見られるかもしれません。代表選手諸君、頑張ってください!それではー」
「よーい、スタート!!」
バグマンがぴーーっとホイッスルを鳴らし、代表選手がいっせいに巨大迷路へと突入した。
生垣の中に突入すると、外部からの騒音はシャットアウトされた。
は杖に光を灯し、おそるおそる前に進んでいった。
最初に5つの分かれ道があり、代表選手五名はそれぞれの方向を選びばらばらに姿を消した。
彼女は他の人間より、優れた聴覚、視覚を駆使し(彼女は吸血鬼なのでこの能力が非常に優れている)この先にあるヤバイ障害物をなるべく避ける最短コースを探し当てていた。
隣りの生垣から、フラーの足音らしきものが聞こえる。
その左隣の生垣を走行しているのは、ハリーかセドリックだ。
前方からディメンターがぬうう〜っと現れた。
彼女は「ひいいっ」と悲鳴を上げたが、幸せな思い出を懸命に考え、
「エクスペクト・パトローナーム!!」
と唱え、杖から真っ赤な炎に包まれたグリフィンを噴出し、吸魂鬼を追っ払った。
「エクスペクト・パトローナム!!」
同時にその隣りの生垣から鋭い閃光が走った。
「やるじゃない。」
彼女はちらりと隣りの生垣を見て微笑んだ。
その後、袋小路に三度突き当たってだいぶん時間をオーバーしたが、彼女は他の選手と比べ、安全なルートをとることを優先した。
「はあはあはあ・・だいぶん時間をロスしたな・・急がなくちゃ」
彼女は駆け足で迷路を走行した。
「キャー―――――――――――――――!!」
「フラー?」
その悲鳴で、ゴールへの最短距離を突っ走っていたセドリック、
、ハリーは思わず後ろを振り返った。
「な、なにがあったの?」
はがくがく震えながら、なお迷路を慎重に進んだ。
叫んだのはフラーに違いない。
彼女は何にであったんだろう?大丈夫だろうか?赤い火花が上がった気配はない。
彼女はひょっとすると自分では切り抜けられない大変な目にあっているのだろうか?
「ぎゃああああああああああああ!!」
数分後、袋小路に三度ぶつかり、リターンした時、遠くの生垣からセドリックの悲鳴があたりに響き渡った。
「セ、セドリック?な、なに、なんなのよ?今の悲鳴?あれはただごとじゃないわ!!」
はフラーの時と比べものにならない悲鳴に今度こそ、ほんとうに恐怖を覚えた。
「セドリック!!セドリック!!大丈夫なの?返事して!!」
彼女は何も考えずに、生垣を杖で粉々に破壊して、彼のもとに行こうとした。
(大丈夫、今の悲鳴なら他の代表選手も気づいて、彼のところへ駆けつけるはずだ)
彼女はそう考え、もと来た道をリターンした。
ところが、リターンしようとしたすると、彼女の目の前にバーッと巨大な生垣が突然現れ、行く手を塞いだ。
「ちっ!戻れないなんて!!仕方ない、他の道を行くか!」
彼女は顔をしかめ、別の道を必死で探し、進んだ。
「な、なんなのよ!!ここもダメなんて!こんなのあり??」
それから数十分の間、彼女が迷路を走行していると急に目の前に大きな石垣が出現して行く手を何度も塞いだ。
「はあはあはあ・・いったいこの仕掛けはなんなのよ?先に行くなってこと」
はまた、目の前に出現した巨大な生垣を見つめて疲れてその場に座り込んだ。
がさがさがさっ!
「誰!?」
はビクッとし、慌てて杖を前方にかまえ攻撃の姿勢をとった。
いつのまにか四方八方を生垣に囲まれ、身動きできない状態にされていることに彼女はまだ気づいてなかった。
辺りはシー―ンと静まりかえっている。
「で、出て来い!」
はこの静けさに気味が悪くなり、叫んだ。
「ワシだ。杖を下ろせ」
「ム、ムーディ先生??」
は生垣からがさがさと出てきた人物に驚いて、慌てて、杖を下ろした。
「ああ、先生ちょうどよかった!今さっきセドリック、セドリックの凄い悲鳴が!あれは尋常じゃありません!!
早く、早く助けに行ってください!!」
彼女は見知った顔に、ホッと胸をなでおろし、ムーディの元へ駆け寄り、訴えた。
「よかろう。だが、その前に」
ムーディの義眼がくるりと回転し、
を見据えた。
「油断したな、
・
」彼はにやりと笑った。
「え?」
彼女はわけがわからずに、不思議そうにムーディの顔を見上げた。
「失神せよ!!」ムーディは杖を振り上げ、叫んだ。
バタン!!
彼女は杖をかまえる暇もなく、その場に倒れた。
「ここまでは誰も助けにくるまい」
ムーディは力なく倒れている彼女を抱き上げると、生垣に穴を空け、先に進んだ。
次回、ヴォルデモートと対面?彼女の運命は??