闇の魔術の防衛術」をハリー、 が教えるという提案をした後、まるまる二週間、ハーマイオニーは一言もそれに触れなかった。

というのはあの晩の激しいいざこざの後、当のお二方は出会っても、目もあわさず、口も聞かない
険悪なムードに陥っていたからである。

そして、あれほど仲の良かった二人は、このせいで変身術、魔法薬学、その他の授業でも一緒の席に並ぶのをやめてしまった。


(馬鹿、ハリーの大馬鹿・・誰よりも長い付き合いなのに私の力量をまだ分からないの?何故、皆が本当に必要としてるのはあなただと分からないの?

あなたはただ有名なお飾りのハリー・ポッターじゃないのよ!いいかげんにそのことに気づいたら??)

(何だよ・・・僕をそんな目でいつまでも英雄視するのはよしてくれ!かえって迷惑だ。

だいたい僕が有名じゃなけりゃぁ君は友達にすらなってくれなかっただろ?

君は強い、それに誰よりも賢い。僕が何度も、くじけそうになったとき、杖だけじゃなく、精神的に助けてくれたのは誰だ?
 
あんな極限状態の中で誰でもできると思ってるのか?いい加減にその事実に気づけよ!君はただのちやほやされて育った令嬢じゃないんだよ。)
 
 
 魔法薬学、変身術の授業でたまたま目が合うと、ハリー、 は無言でお互いの強い思いをぶつけ合っていた。
 
 
 「ねえ、あの二人喧嘩したの?」
 
 「あらま〜珍しい〜あんたたち二人の喧嘩はもう見慣れちゃってるけどあの二人、今まで喧嘩したことなかったじゃない?
 
  ね〜どうしたのかしら?」
  
 「何?あの二人、喧嘩してるのか?」
 
 「へ〜めっずらし〜ありゃ僕の予想じゃ長引くと思うな。まあ、早く元の鞘に収めたほうがいいぜ。じゃないと全く元に戻らなくなる可能性があるぜ。」
 
 
 授業中、心配したシェーマス、ディーン、バーバティ、ラベンダーがロン、ハーマイオニーに声をかけてきた。
 
 「しばらくほおっておくことにしてるのよ。そのうちどちらからか頭を下げると思うわ。
 
  あの二人、元来はすごく仲いいから本気で許さないってことはないと思うの。」
  
  
 ハーマイオニーは彼らにそう弁解していた。
 
 
 
 「元の鞘にねぇ〜シェーマスのいうとおり、そうなってくれりゃいいけど。あの二人どっちも頑固だろ?
 
  大丈夫かなぁ?」
  
 
 「ロン、時が経つのを待つしかないわ。私たちが茶々を入れたら結局、火に油を注ぐようなものよ。」
 
 「今回は君の意見に同調するよ。」
 
 
 ある九月の荒れ模様の夜、四人は図書館でスネイプの魔法薬学の宿題を仕上げているところだった。
 
  は、猛烈な勢いで宿題を片付けていた。
 
 ハリーは彼女に背を向けて座り、こちらも誰の手もかりずに分厚い本と格闘していた。
 
 ハーマイオニー、ロンはいまだ火薬のような二人と目を合わせずに静かに鷲羽ペンと羊皮紙で、宿題の合間をぬぐって筆談していた。
 
 「やっぱり、今、私から切り出してみるわ。」
 
 ハーマイオニーの鷲羽ペンが動いた。
 
 「えっ?マジかよ。見ろよ。あの二人相当イライラしてるぜ。まるで背中からメラメラと炎が昇ってるようだ。
 
  やめとけよ。玉砕するぞ。」
  
 
 ロンがちらと後を振り返って、額に冷たい汗を浮かべながら、羊皮紙にササッと早書きした。
 
 
 
「いいえ。これ以上おいとけないわ。肝心の主役二人がいつまでも喧嘩してるようじゃ困るわ。今は内輪もめなんかしてる場合じゃないのよ。
 
 先の雁より手前の雀っていうじゃない。もっとしっかりしてもらわなきゃーあの婆の専制統治をやめさせられないわよ」
 
 
 ハーマイオニーはそう書ききると、大人びた表情で椅子を引いて立ち上がりつかつかと二人のほうへ来た。
 
 
 「ちょっといいかしら?」
 
 ハーマイオニーは無理やり二人を今、背中合わせに座っている席から移動させ、向かい合わせに座らせた。
 
 (何だよ・・)
 
 (何よ・・)
 
 二人はここ二週間、まともに向き合ったことがなかったので恥ずかしそうにうつむいた。
 
 
 「どうかしら」
 
 ハーマイオニーは唐突に切り出した。
 
 
 「ねえ、あれから防衛術のこと考えた??お二人さん。」
 
 
 「そりゃ考えたさ」
 
 ハリーが不機嫌に言った。
 
 
 「簡単に忘れられるわけないだろ?あの忌々しいガマ婆がここにいるうちはーーー」
 
 
 「 。あなたは?」
 
 
 「考えたわ。考えたわよ。この二週間私の頭はそのことで一杯だったもん。」
 
 彼女はいらいらと前髪をかきあげながら言った。
 
 二人とも真向かいの席に座って、未だに目をまともにあわせようとしない。
 
 
 ロンは「駄目だこりゃ」と大きなため息をついた。
 
 「じゃあ、双方の意見をお聞かせ願えるかしら?」
 
 ハーマイオニーが落ち着いて言った。
 
 「君からどうぞ。」
 
 「いいえ。あなたからどうぞ。」
 
 
 ようやくまともに目を合わせたハリー、 が精一杯の穏やかな口調で言った。
 
 
 ロン、ハーマイオニーはごくっと生唾を飲んでその様子を見守った。

 
 
 「ゴメン!!」
 
 驚いたことに双方が同時に揃って頭を下げた。
 
 ロン、ハーマイオニーはずるっと椅子からずり落ちそうになった。
 
 「悪かったよ。君の事あんなふうに怒ったりして。でも、君はただの甘やかされた令嬢じゃない。僕にないものを一杯持ってる。自分が弱い人間だなんて思わないで。それにいろいろこの案について考えたんだ。馬鹿げてると思うときもあった。
 
  でも別の時にはデス・イーターや闇の生物に出くわしたとき、一番役に立った呪文は何かと考えてる僕が居た。
  
  そこで思ったんだ。この計画には僕も必要。君も必要。お互いの欠点を補いながらやるんだ。いい考えだろう?
  
  僕たち、どっちにしろ魔法は完全じゃない。いろんな不安もある。だから・・・」
  
  
  彼が言いかけた部分を彼女は途中でさえぎった。
  
  
 「私のほうこそゴメンなさい!!」
 
  は勢いのあまり、彼の手を取ってささやいた。
 
 とたんに彼は耳まで真っ赤になった。
 
 「あなたのいううとおりだわ。いつまでもつまんないことで意地張っちゃって。最初何か誰もやってないことをやるには
 
  大きな不安がつきものよね。私、今まで何やかんやとあなたに頼ってた。あなたをいつまでも英雄視しすぎてた。
  
  あなたにはそれが重荷だったなんて気づかずに。でも、あなたは素晴らしいと思う。ただの有名なハリー・ポッターじゃなくても
  
  私はあなたが一番の友達だわ。私も学ばなくちゃ。いつまでも暗い過去ばかり振り返らずに、前を向いて歩いていかなきゃ。
  
  私が何故この計画に反対したかわかる?間違って闇の魔術を教えて、迷惑をかけるかもしれないと思ったからよ。
  
  だけど、今はそんなことどうでもいいの。私達には結果を気にするより、今やらなきゃいけないことがあるもの。一緒にやろう!」
  
  
 「 。」
 
 「ハリー。」
 
 二人はしばらく無言のまま、見つめあった。
 
 
 何か二人の胸にジ〜ンとくる熱いものがあった。
 
 
 
 「ありがとう。二人とも」
 
 ハーマイオニー、ロンがニコニコと笑って二人の側によってきた。
 
 「じゃあ、あとは会合の場所が必要ね。大勢くると思うから・・・」
 
 そう言って、ハーマイオニーは人差し指をあげて嬉々とした顔で言った。
 
 「は?会合?君、いったい何人集めるつもりなんだ?僕たち四人だけじゃないの??」
 
 ハリーが素っ頓狂な声で言った。
 
 「いいえーーこういう美味しいチャンスは他の人にも教えてあげるべきだわ。習いたい人には誰でも教えてあげる権利があるわ。」
 
 「そうね!そうよね。人数は多いほうがいいもの。レジスタンスが四人ではあまりにも少なすぎるわ。」
 
  がうきうきと手を叩いて言った。
 
 「だけどほんとに集まるかな??こんな突拍子もない思いつき。あの婆さんにばれたら嫌だって思う人のほうがーーー」
 
 ハリーが不安げに言った。
 
 「もう!そんな考え持ってこないで!やるといったらやるの!!」
 
  は彼の肩を景気づけにバシーンと思いっきり叩いた。
 
 「場所は十月の最初の週末ーーホグズミードの村で。あそこで討論しましょう。」
 
 よろけたハリーを横目で見ながら、ハーマイオニーが落ち着いた声で言った。
 
 「何で学校の外でやるんだ??」
 
 ロンが言った。
 
 「レジスタンスをアンブリッジがもし嗅ぎつけたらどうするの??」
 
 ハーマイオニーが当たり前のことのように言った。
 
 
 
 
 
 
 
 それから一ヵ月後ーー
 
 風の強い朝、四人は浮きあし立ってホグワーツの外に出た。
 
 ハリー、 は今では周りのぜんぜん知らない人が見たらーーバカップルか!?と思うほどの仲の良さを見せつけていた。
 
 あの件で二人の絆はますます強くなったようだった。
 
 「どうせならあの二人くっついちゃったらいいのに。お似合いだと思わない?ロン」
 
 いつもまっとうなことを言うハーマイオニーからこんな不謹慎なことが出てきたので、危うくロンはホグズミードの案内の看板に頭をぶつけそうになった。
 
 「君の口からそんなことが聞けると思わなかったぜ。僕も前々からそう思ってたんだ。あの二人ならお互いのこと一番よく分かってるだろ。
 
  ハリーも彼女といるとき、肩の荷物が下ろせるようだしな。」
  
  ロンは通りの向こうで四人分のホット・チョコレートを買っているハリー、 を目を細めながら見た。
 
 「でもな。彼女には愛しのルーピンがいるしな。難しいぜ。ああ、それにスナッフルズもいるしな。うん。」
 
 ロンは調子に乗って、つい言わなくてもいいことをくっちゃべった。
 
 「はい?ルーピン先生と はともかく!スナッフルズも怪しいってほんとなの?」
 
 ハーマイオニーはビックリ仰天でロンの肩を掴んでゆさぶった。
 
 「あ、ああ・・・ほんとだよ。僕見たんだ。スナッフルズが階段で彼女のおでこにキスしたとこ。それにあの家にいる間、
 
  彼はなんやかんや理由をつけて彼女の側にいたしな・・・」
  
  
 ロンはこの際なので、思い出す限りしゃべりまくることにしたらしい。
 
 
 
 
 ハーマイオニーは驚きあきれて、会話の間中「あら」とか「まあ」しか言わなかった。
 
 
 そのうちにホット・チョコレートのグラスを持って二人が帰ってきたのでその会話はそこで打ち切られた。
 
 
 ホッグズ・ヘッド(例の会合の場所はここに決まった)にホットチョコレートを飲み歩きしながら着いた四人は
 
 まず、隅のほうのテーブルを確保した。
 
 「ご注文はお決まりかぇ?」
 
 ひどくよぼよぼの不機嫌な顔の爺さんが近づいてきて言った。
 
 「バタービール三本お願い」
 
 「あいよ。六シックルだよ」
 
 お金はハリーが払った。
 
 
 「しっかし汚いパブだな。」
 
 
 ロンが何世紀も埃の積もった土壁を見上げながらぶつくさ言った。
 
 
 「仕方ないでしょう。三本の箒だとあの婆が飲みにくるかもしれないのよ。ここは胡散臭いけど。表通りには面してないし」
 
 ハーマイオニーは小声で言った。
 
 「で、何人来るの?」
 
  がカウンターで、アドリア海のような色のスカイブルーのカクテル(ブルー・マルガリータ)を注文した客をうらやましそうに眺めて言った。
 
 
 「ほんの数人よ」
 
 「もう来るわね。アッ来たかもよ。」
 
 ハーマイオニーが言った。
 
 パブのドアが開かれ、ドヤドヤと大勢の人影がなだれ込んできた。
 
 
 先頭にネビル、続いてラベンダー、ディーン。双子のパチル姉妹。チョウ・チャンとその友達、ルーナ・ラブグッド(ルーナは をみつけると嬉しそうに手を振った)
 
 上級生のケィティ、アリシア、アンジェリーナ、フレッド&ジョージ、リー下級生のコリン&デニス・クリービー兄弟。ジニー・ウィーズリー、
 
 それからハッフルパフのアボット・ハンナ、アーニー、ジャスティン、あともう一人の名前を知らない女学生。レイブンクローからはアンソニー・ゴールドスタイン、
 
 マイケル・コーナー、テリー・ブート。
 
 
 「数人?数人だって?」
 
 ハリーは素っ頓狂な声をあげた。
 
 「こんなに沢山!!」
 
  は驚きで目をふくろうのように見開いた。
 
 「そうねーーこの考えはとっても受けたみたい」
 
 ハーマイオニーが嬉しそうに言った。
 
 「私は一番に賛成したよぉ。レジスタンスなんてカッコイイもん。」
 
 ルーナが嬉しそうに に言っていた。
 
 「とりあえず乾杯だ。」
 
 フレッド&ジョージがいつの間にかバター・ビール25本注文し、皆に配っていた。
 
 みんな喜んでめいめい、金を払った。
 
 チョウ・チャンはハリーに向かって飛びっきりの笑顔を向けた。
 
 だが、その横のブロンド巻き毛の友達はブスッとした顔で無遠慮にハリー、 を眺めた。
 
 「気にすることないよ」
 
 ルーナがその様子を見て にこっそりと耳打ちした。
 
 「あの人ほんとは来たくなかったんだ。でもぉ。チャンがどうしてもって強引に誘ったんだ。私見たんだ。」
 
 皆がハリー、 、ハーマイオニーの前に椅子を持ってきて輪を作って座ると、ハーマイオニーはコホンと咳払いし、会合の目的と前置きを説明し始めた。
 
 
 大多数が彼女の話を黙って聞き、(途中で無愛想なザカリアス・スミス、穏健なアンソニーが合いの手をを入れたが)
 
 納得した。
 
 スーザン・ボーンズは二人が守護霊呪文を使えることに感激し、マイケル・コーナーはあの魔法試合のことを持ち出して、賞賛した。
 
 ハンナ・アボットは賢者の石の話に目を丸くしたし、チョウは二人が「とても勇気がある。私だったらあんなこと出来なかった」と言った。
 
 その他大多数が、そうだそうだと感心してざわめいた。
 
 
 
 「ではーー要するにハリー、 から防衛術を習いたいということでいいですか?」
 
 ハーマイオニーが話の総まとめに一応、皆の意見を伺った。
 
 がやがやと同意の声が上がった。
 
 ザカリアス・スミスとチョウの友達だけが腕組みしたまま、何も言わなかった。
 
 「いいわ」ハーマイオニーはこれでひとつけりがついたので、ほっとした顔をした。
 
 「それじゃ、次は週何回集まるかだわね?少なくとも週一回は欲しいんだけどどうかしら?」
 
 ハーマイオニーが言った。
 
 「クィディッチの練習と重ならない日がいいわね。その条件をのんでくれたらOKよ」
 
 チョウが発言した。
 
 そうだ、そうだと他のクィディッチチームからも賛成の声が上がった。
 
 
 「分かりました、日を調整するわ。必ずどこかあいてる晩があると思うから。」
 
 ハーマイオニーはすらすらと言った。
 
 「で、次はどこに集まるかだけど」
 
 これが一番の難題で皆、一気に黙り込んだ。
 
 「図書館は?」
 
 ケィティの発言だ。
 
 「マダム・ピンスがいるだろ?」
 
 ハリーが言った。
 
 「未使用の教室」
 
 ディーンが言った。
 
 「うん、マグゴナガルが使わせてくれるかもな。」
 
 ロンが勢いこんで言った。
 
 「駄目よ。先生にはどうやってこのことを説明するの?先生はいい顔しないと思うわ。」
 
  が慌てて反対した。
 
 「いいわ。じゃ、どこか探すようにします」
 
 「最初の集まりの日と場所は後々、連絡します」
 
 それからハーマイオニーはカバンを探って羊皮紙と羽根ペンを取り出し、口を開いた。
 
 「あとこれに各自、署名していってね。誰がきたかわかるように。それと私達の計画を誰にももらさないと約束してください。
 
  署名をすれば、それが宣誓書にもなります。」
  
  フレッドが にウィンクして、真っ先に羊皮紙に手をつけた。
  
  ジョージ、リー、ルーナ、チョウ、ジニーがそのあとに続き、しぶい顔をしていたザカリアス、アーニー、チョウの友達もハーマイオニーが
  
  「私がこのリストを責任持って保管する」ときっぱりと言い切ったのでやっとこさ名前を書いた。
  
  そして、書き終わった皆が三々五々とパブを出て行った。
  
  
  チョウは何かハリーに話したそうで、やけにカバンの掛け金を止めるのに手間取っていた。
  
  だが、友達が「早く」とせかしたので、至極残念そうに出て行った。
  
  
 「まあ、なかなか上手くいったわね」
 
 ハーマイオニーが満足げに言った。
 
  はパブに残って、久しぶりに再会したルーナと積もり積もる話に花を咲かせていた。
 
 (三人はそんな彼女を残して、外へ出た)
 
 「待っとくの?」
 
 ハリーがちらとパブのドアを眺めて言った。
 
 「いいえ。先に帰ってくれって。長くなりそうだからって」
 
 「ふ〜ん。何話してるんだろ。」
 
 ハリーは気になるようだ。
 
 「あのザカリアスとチョウの友達、怪しいな。」
 
 ロンが苦々しげに言った。
 
 「リストに名前書くの嫌そうだったし、何か二人ともこの計画に不賛成なのに来てるかんじだったじゃん。」
 
 「私も正直言うと、あの二人はあんまり好きじゃないわ〜」
 
 ハーマイオニーがのんびりと言った。
 
 「だけどね。来た以上は仲間に入れてあげなくちゃ。受動的に来たにしろ。能動的に来たにしろ。」
 
 ハーマイオニーはきびきびと言った。
 
 「たとえばマイケル・コーナーはジニーと付き合ってなきゃ来なかったでしょうよ。」
 
 「あんだって!?」
 
 ロンが素っ頓狂な声を上げた。
 
 [ジニーとマイケル・コーナーが!?」
 
 ロンはかんかんになって叫んだ。
 
 顔から今にも湯気が吹き出そうだった。
 
 「いつからなんだ??」
 
 「クリスマス・ダンスパーティのとき出会って、付き合い始めたの」
 
 ハーマイオニーは落ち着き払って言った。
 
 「だけどーージニーはハリーが好きなんだぜ。なのになんで!?」
 
 ロンが理解できないとの顔で言った。
 
 
 「もちろん、ジニーはハリーが好きだったわ。でも、ずいぶん前にあきらめたの。ああでも、ハリーあなたのこと好きじゃないってわけじゃないのよ。
 
  彼女は悟ったの。あなたが夢中になってる女性はいつも隣にいることを。」
  
最後のほうをハーマイオニーは少々、誌的めいて言った。


「と、隣にいる女性って・・・」ハリーはたちまち真っ赤になった。


「今更とぼけないでよ。 のことよ。好きなんでしょう?彼女のこと。」


ハーマイオニーは穏やかに、だが、有無を言わせない調子で言った。


「言わなくても分かるわ。あなたの目を見てたら。あなたの目はいつも彼女を追いかけてるもの。

 女ってそういうこと、すぐに分かるのよ。例え、言葉に出さなくても。」
 
 
 「だけどーー向こうはーー は」
 
 
ロンがさつきのことより、こっちのことが気になるらしく、嘴を入れた。


 「彼女はルーピンのことで頭が一杯で、君の態度に気付いてないみたいだぜ。まあ、うかうかしてるとこのまま通り過ぎてしまうぜ。
 
  あと、余計な忠告だけどーー気をつけろよ。君の名付け親さんも彼女を狙ってる。」
  
  
 ロンは急に真面目腐った顔で、ハリーに忠告した。
 
 
 「え?スナッフルズのこと??、」
 
 ハリーはあまりの驚きに横の看板にぶちあたるところだった。通行人がそんな彼を無遠慮にじろじろ見ていた。
 
 「マジなんだよ。からかってるんじゃない。」ロンが再び真剣な顔で言った。
 
 
 「え〜〜嘘だろ?」
 
 
 ハリーはまだ信じられないようだった。
 
 
  「私も信じたくはなかったんだけど・・・どうやら彼の話、ほんとうらしいの。は〜〜〜ただでさえ、大問題のあの人がね〜〜〜〜
  
   好意を持つとはどうしたものかしらん?」
 
 ハーマイオニーは額に手をやってこれからの行く末を考えたら、頭痛がしそうだと言った。


  
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
  
 
 
 
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



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