「さてさて・・諸君!!いつものとおり禁じられた森は生徒立ち入り禁止。ホグズミード村も、三年生になるまでは

  禁止じゃ!そして、今年は寮対抗杯クィディッチは取り止めじゃ。これを知らせるのはワシのつらい役目での」

ホグワーツに到着し、恒例の一年生の歓迎式典の後にあるダンブルドアからのお知らせは瞬く間に、全生徒に波紋を

呼んだ。


「静かになさい!!まだ校長先生からのお話があります。」

マグゴナガル教授がゴブレットをスプーンできつく叩き、ワイワイガヤガヤ騒ぎだした生徒達を静めた。


「オホン!これは十月に始まり、今学年の終わりまで続くイベントのためじゃ。そのイベントというのはな

 三大魔法学校対抗試合じゃ。」

「えーーーっ!!まさか!ご冗談でしょう!!」

フレッド・ウィ―ズリ―がすっとんきょうな声を上げた。

ほとんど全員が爆笑し、ダンブルドアも笑った。

「ミスター・ウィ―ズリ―、わしは決して冗談など言っておらんよ」

ダンブルドアが言った。

「三大魔法学校対抗試合は約700年前、ヨーロッパの親善試合として始まったものじゃ。

 ホグワーツ、ボンバートン、ダームストラングの三校での。各校から代表選手が一人ずつ選ばれ、三人が

 三つの魔法競技を争った。しかし、この親善試合はのぅ、たびたび夥しい数の死者がでるに至って

 今日まで中止されていたのじゃ。」


生徒達は死者のことより、試合そのものに興奮して囁き合った。

「だが、諸君、今年我が国の国際魔法協力部と魔法ゲームスポーツ部がいまこそは再開のきたりと

 判断し、決断を下した。さて諸君、親善試合のため、ボーバートンとダームストラングの校長が代表選手、および最終候補生を

 連れて十月に来校し、ハロウィーンの日に学校代表選手三人の選考が行われる。

 優勝杯、学校の名誉、そして選手個人に与えられる賞金一千ガリオンをかけて!!」


ダンブルドアのこの言葉にあちこちから「立候補するぞ!」という声が上がった。

「ハリー、立候補したらどう?」

ホグワーツ特急で、ルーピンのことでクサクサしていた が多少元気になってきたのか言った。

「ロン、そうだ、ロンもどう?有名になるわよ!」

はどうやら半ばヤケクソで元気を取り戻そうとしているようだった。

「ダメよ!何人も死者が出てるんでしょう?危ないわよ」

ハーマイオニ―がくそ真面目に反対した。


「え〜、僕達が・・照れるなあ・・・」

ロン、ハリーはハーマイオニ―の意見を無視して、 に推薦されたのが嬉しくて、にやにやとしていた。

「すべての諸君が、優勝杯を我が校にもたらそうという熱意に満ちておると承知しておる。
 
 しかし、三校の校長、並びに魔法省としては今年の選手に年齢制限を設けることで合意した。

 つまり、17歳以上が代表候補として名乗りをあげることを許される。よいな」

ダンブルドアのこの言葉で何人かの生徒が怒りだした。

フレッドとジョージは反抗的な顔でむくれた。

ロンとハリーは残念そうにお互いに顔を見合わせた。



「俺たち四月には十七歳だぜ!何で参加できないんだ?」

「俺はエントリーするぞ!止めるなら止めて見やがれってんだ。」

ジョージ、フレッドは大広間を出てから、一緒に出てきたハリー、ロン、ハーマイオニ―、 に頑固に言い張った。

「なあ、姫!ダンブルドアは代表選手を決める公明正大な審査員を置くとか言ってたが、

 俺たち「老け薬」を使って楽楽潜り抜けてみせるぜ。うまくいったときは応援してくれよな!」

双子が嬉しそうに、 の肩に同時に手を回した。

「オーケー!上手くいけばの話だけどね・・」 はこの二人のはしゃぎようにだいぶん元気が出てきた。

「だけどさぁ、兄貴ィ、校長は二人が17歳未満だって知ってるよ」

ロンが突っ込んだ。

「チッチッチ・・甘いな!ロニ―。俺の見るところじゃ審査員なんて、誰が立候補したかさえ分かったら

 あとは各校からベストな選手を選ぶだけで、年なんか気にしないと思うな。校長は俺たちが名乗りをあげんのを

 阻止しようとしてるだけなんだ」

「でも今まで死人が・・・」

「そんなのずっと昔の話だろ?それにちょっとぐらいスリルありじゃなきゃつまんないぜ。

 そうだロニ―。俺たちが校長を出し抜く方法を見つけたらどうする?お前、エントリーしたいか?」

ハーマイオニ―の言葉を遮って、フレッドが聞いた。

「ああ!立候補するさぁ・・・だけど僕やハリーはまだ勉強不足かもなぁ」

ロンはうっとりと夢見るように言った。






「奴隷労働」

「はい?今何か言った?」

「だから奴隷労働よ!」

女子寮に帰った にハーマイオニ―がぼそりと呟いた。


「ホグワーツに屋敷しもべ妖精がいるなんて!しかもお給料なし、年金もなし、お休みもなし!

 これが奴隷労働じゃないといえますか!」

ハーマイオニ―の声にそれぞれの腕に抱かれていたクルックシャンクスとチャトランがびっくりして、転がり落ちてしまった。


「奴隷労働じゃないわ!彼らは純粋に働くことが好きなのよ―だから俸給とか休みとか望まないのよ」

床に転がり落ちたチャトランを拾い上げながら、 は説明してやった。

「ああ、貴族のお嬢様には分からないのかしら?じゃあ、あなたの実家には使用人(人間)が何人かいると思うけど、

 彼らがもし、お給料なし、休みなし、年金もなしでまともに働いてくれると思う?」

ハーマイオニ―はじれったそうに説明した。

「働かないわ―だけど私の家の使用人は人間、ホグワーツ城の使用人は屋敷しもべ妖精というれっきとした

 働くことが大好きな妖精よ!立場が違うわ。立場が―妖精は昔っから働くことが生きがいなのよ!

 だから無償で働くのはあたりまえで、彼らは働く場所さえあたえてもらえば、もう他に望むことはないの

 それでいいじゃない―そんな神経質に奴隷労働だ!って言わなくても」

は最終的にそういってハーマイオニ―を納得しようとした。


「あ〜そうよね、使用人を実際に雇っている立場の人にはわからないわよね

 まあいいわ。私が絶対に屋敷しもべ妖精を不当労働から解放してみせるから!

 そのためには・・・賛同してくれる人員を集めなきゃ・・・」


「はいはい・・頑張ってくださいませませ・・・」


ハーマイオニ―は一度こうやると決めたことは絶対にやりぬくタイプなのを は承知していたので

それ以上何も言えず、チャトランをねこじゃらしでからかうことに専念した。




夜、ベッドの中で は伯母がロンドン行きの飛行機の中で言った言葉を反芻していた。


「ジョン(ルーピン)があなたを・・ほら・・襲ったことに関してだけど・・彼はあの晩まで、定期的に脱狼薬を飲みつづけていたの。

  だってそうでしょ。毎日きちんと脱吸血薬を飲んでいたもの・・二人ともきちんと防衛策をとってたのに

 ああいうことが起こったわ。あれは事故なの。だから は自分を責めたり、ジョンを恨んだりしたらだめよ」


「そんな・・私、リーマスを恨んだりなんかしてないよ!なのにどうしてリーマスは私から逃げたの?」


「ジョンにもそういったんだけどね・・彼はひどく後悔してて・・自分はどんな理由があろうと

 彼女を襲ったことは男として、人間として最低だ!と言ってね――もうこんなことをした以上、彼女に会わせる顔が

 ない、ルーマニアにも住む資格がないって――自分を必要以上に追い詰めてしまったの。

 私がどんなに説明しても、聞く耳をもたないし―困ったものだわ」


「伯母様、はっきり言うけど私はリーマスが好きなの。初めて出逢った時から――だからあんなことされても

 彼が好きなの!仕方ないのよ――こんな私って馬鹿?そう馬鹿よね」


「いいえ・・馬鹿じゃないわ!そう思うのは彼を本当に愛しているからでしょう?私にも経験があるから分かるわ。

 あなたとジョンは磁石のようにお互い惹かれあってるのよ。大丈夫、ジョンには、少し時間が必要なだけよ

 彼はきっと の元に戻ってくるわ。」




「本当なのかなぁ・・・」


はベッドに寝転がり、ポーラスターを眺めながらため息をついた。


「リーマスは頑固なところがあるからね〜一度こうと決めたらてこでも動かない。は〜〜〜

 リーマス、今何してるんだろう?馬鹿!馬鹿!大嫌いよ!逃げないでよ!」


はいつしか怒りがこみあげてきた。


「早く戻ってこないと・・私・・おかしくなるかもしれないからね!」

は溢れ出る涙を抑えながら言った。







「写真まで載ってるぞ!ウィ―ズリ―!!」

マルフォイが日刊預言者新聞を掲げてみせた。

「君の両親が家の前で写ってる――はぁ?これが、これが君の家かい?僕はウサギ小屋かと思ったよ

 それに君の母親は少し減量した方がよくないか?」

ロンは怒りで真っ赤になっていた。

「失せろ、マルフォイ!」

ハリーが頭にきて怒鳴った。



「どうしたの?」

ちょうどそこへ、忘れ物を取りに戻った とハーマイオニ―がかけてきた。

「やあ、 。ちょうどいいとこに来たねぇ・・君の城と比べればこの家はウサギ小屋だと

 思わないか?なーに嫌味でもなんでもないさ。実に率直な意見を述べただけさぁ・・

 貴族の君も内心そう思ってるだろう?ええ?」

マルフォイは彼女のとこまで気取って歩いていくと、彼女に新聞を渡し、これみよがしに言った。


「なあ、今からでも遅くない。スリザリンに編入しないか?君はグリフィンドールに入ってから

 非常に時間を無駄にしてるよ。スネイプ教授も君をたいそう気にかけて下さってるし。

 不可能じゃぁないさぁ、どうだい?」


これ以上ない怒りに打ち震えながら、彼女は新聞記事に目を通していた。

マルフォイは三人の目の前で の肩に手を回した。


「彼女に触るな!」

ハリー、ロンが怒り狂ってマルフォイを から離した。

「そんなに怒るなよポッター。そうだポッター、君は夏休みにこの連中のところに泊まったそうだね。

 それじゃ、教えてくれ。ロンの母親はほんとにこんなデブチンなのかい?」

マルフォイがプラチナ・ブロンドをかきあげながら言った。


「マルフォイ、私すご―く機嫌が悪いの。お願いだから今のうちに消えたほうが身のためだと思うわ。」


が凄い顔でドラコを睨みつけた。手は怒りで震えていた。(昨日よく眠れなかったせいもあるが)


「いいよ。君がこんな奴に腹を立てることはない。それよりマルフォイ、君の母親はどうなんだ?」

ハリーが の横に来て、言い返した。

「あの野郎、もう我慢できない!!」

ロンがマルフォイに殴りかかろうとするのをハーマイオニ―が後ろで必死に止めていた。

「あの顔つきはなんだい?鼻の下に糞でもぶらさげてんのかい?

 いつもあの顔つきなんだろう?それとも単に君がぶら下がっていたからか?」

ハリーの言葉に は思わず吹き出した。

マルフォイは怒りで真っ赤になった。


「僕の母上を侮辱するな、ポッター。」

「あんたが先にロンの母親を侮辱したからでしょう!」

は呆れて怒鳴った。

「その通りだ。これ以上侮辱されたくなかったら、そのへらず口を閉じとけ」

ハリーは乱暴に言い放った。



バー―ン!!


ハリーが背を向けたその時、白熱した閃光が彼の右頬をかすめた。

「ぶん殴ってやる!!」

ロンが前に飛び出し、マルフォイに飛びかかろうとした。

ハリーは杖を取り出そうとした。

「待て、若造、そんなことをするな!!」

バー―ンと二度目の音が響いた。

ハリー達がびっくりして振り返ると、闇の魔術の防衛術の新教師―アラスター・ムーディが大理石の階段をこつこつと下りてきた。

杖を上げ、まっすぐに純白のケナガイタチに突きつけている。

「あら?あの金髪はどこいったのかしらん?」

震える白イタチを面白そうに眺め、 はイタチを拾い上げようとしているクラッブ、ゴイルに意地悪く言った。


「やられたかね?」

ムーディはハリーの側に来て聞いた。

「いいえ、外れました。」

彼は答えた。



「待て!逃がさんぞ!!」


ムーディの魔法の義眼がぐるりと回転した。

イタチがキーキー怯えた声を出して、地下牢の方へ走り去ろうとしているところだった。


「敵が後ろを見せた時に襲う奴は気に食わん!!」

ムーディは杖を振り上げ、イタチに向けた。

イタチは二、三メートル空を飛び、床に何度も何度も叩きつけられた。

「鼻持ちならない、臆病で、下劣な行為だ・・・」

ケナガイタチはなすすべもなく、跳ね上がりつづけた。

「二度と、こんなことは、するな!」

ムーディはイタチを床に叩きつけながら、一語一語を厳しく打ち込んだ。

「ムーディ、何をなさっているのですか!?」

ちょうどその時、血相を変えて、マグゴナガル先生が大理石の階段を下りてきた。


「マグゴナガル教授、教育ですよ」

ムーディが軽く会釈をし、言った。

「ム、ムーディ、そ、それは生徒なのですか?」

マグゴナガル教授はショックを受けていた。

「いかにも」とムーディ。

「そんな!」

マグゴナガル教授は慌てて杖を向け、階段を駆け下りた。

次の瞬間、純白のイタチが消え、変わりにドラコ・マルフォイが姿を表した。

怒りと恥ずかしさで顔がゆがんでいる。

「本校では生徒に体罰は使いません!!それも変身術なんか!」

「ダンブルドアから聞いた。しかし、わしの考えではこういう奴は一発厳しいショックを与えねばならん!!」

「ムーディ!!本校では居残り罰を与えるだけです!さもなければ、規則破りの生徒が属する寮の寮監に

 話をします!!」

「それでは―そうしよう」


マグゴナガルとムーディの口論はようやく終わった。


「お前の寮監の名前は、スネイプだったな」「そうです」

ムーディはドラコを眺め下ろした。

彼はムーディを憎らしげに見上げた。「父上・・」ドラコが呟いた。

「ワシはお前の親父殿を昔から知っているぞ・・親父に言っておけ!

 ムーディが息子から目を離さんとな!」

「来い、さあ、なつかしのスネイプ殿と口をきくチャンスがようやくできたぞ」

ムーディはマルフォイの腕を引っ張り、地下牢へと引っ立てていった。







「見たかい?あれ?」

「ああ、ばっちり!」

「ドラコ・マルフォイ、驚異の弾むケナガイタチ!」

「ムーディ先生、あれをあのまま高名なる、ドラコのお父上に送りつけたらよかったのに!」

「いいわねぇ!そうしたらさぞかしこの学校も静かになるでしょうよ!」

昼食時、グリフィンドールのテーブルでハリー達は腹を抱えて思いっきり笑った。


「おお、姫だ!」

ビーフシチューを皿に装っていると、フレッド、ジョージ・ウィ―ズリ―がやってきた。

「ちょっと、聞いて!これ聞いたら絶対二人共笑うわよ!」

が嬉しそうに言った。


「あーーはっはっはっは〜〜〜〜〜」

案の定双子は大爆笑していた。

「ムーディ!超クールだ!最高!!」

ジョージが言った。


「俺も見たかったなぁ・・そのイタチ!ハハハハハッ!」

フレッドはまだ笑いが止まらないようだ。

「あの先生たいしたもんだぜ!あの高慢ちきの鼻をぺシャンとさせてさ!あ〜これからあいつ、あの先生の顔みるたんびに

 ブルッと震えるぜ!そんときは思いっきりからかってやろうな、フレッド。」

「ああ!普段抑えている分までな!ジョージ」


ったらあんとき済ました顔で「あら、金髪はどこかしらん?」だって!

 マルフォイの奴一番見られたくない に笑われて泣いてるぜ、今ごろ」

ロンが思い出してまた笑った。


「なに?おい兄弟。あいつ、あの坊ちゃん、姫に気があるのか?」

フレッドとジョージが面白そうに聞き返した。

「ああ、兄貴!そうさ。あいつ一年の時から に目ぇつけてさ。クリスマス・プレゼント贈ってきたり

 でもさぁ、今だ距離が縮まらずさ。だって にはもうそれらしき相手がいるんだ・・」

ロンが調子に乗ってくっちゃべった。

「ロン!そ、そんな人いないわよ!」

が真っ赤になって否定した。

「姫、まことなのですか?それらしき相手がいるというのは?」

双子が悲しそうに言った。

「馬鹿ねえ、いないわよ。だいたい証拠がないじゃないの、ねえ、 。」

この手の話には苦手なハーマイオニ―がさっさと話を終わらせようとした。

「いいや・・いるよ。相手が」

ハリーがぼそりとくやしそうに言った。

「ホントか?ハリー。誰だい?」

フレッドがググッと身を乗り出した。

「ちょっと、ほんとにいないんだってば!もう!勝手な憶測しないでよね!」

が怒って言った。

「ゴメン、ゴメンよ姫。なあ、機嫌直してくれよ・・もう言わないからさ」

双子が素早い身の変わりようで、 に謝った。

「知らない」

彼女はちょっと腹を立てていた。

「行きましょう」

ハーマイオニ―が彼女の手をとり、大広間の出口へと引っ張っていった。







ムーディ先生の登場です。次回は闇の防衛術の授業を受講の予定。



















 

 








 

 


 

 

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