九月一日、マッド・アイ・ムーディ、ルーピンに警護されて

ハリー、、ふさふさの黒犬はキングズ・クロス駅のプラットホームを急ぎ足で歩いていた。

「ここなら外から見られん」

「私たちが誰か来ないか見張っている。さぁ、入って」

ムーディ、ルーピン教授は歩いて、適当なすりガラス張りの古ぼけた

待合室を見つけると、ふさふさの黒犬とハリー、に中に入るように促した。


ムーディが後ろ手に扉を閉めてしまうと、黒犬はあっという間に人間の姿になった。

「シリウス、いいの?こんなことして・・もしばれたら、また、アズカバン送りになっちゃうよ」

ハリーがひどく不安そうに、扉の外でムーディ、ルーピンがちゃんと見張っているかどうか

確認しながら呟いた。

「大丈夫だ・・あの二人がしっかり見張ってくれている。それより、君達には

 どうしてもこうやって別れを言いたかったんだ」

シリウスはそう早口で言ってしまうと、ハリーに向き合った。

彼らはしばらく、熱心に何やら話しこんでいた。しばらくしてシリウスが口を開いた。



「ハリー、すまないが、ちょっと彼女と話があるんだ。先に出てくれないか?」

「えっ?ああ・・いいですよ」

「ありがとう。じゃぁ、元気で頑張ってな」

その意外な言葉に面食らったハリーを、シリウスは力強く抱きしめると

戸口へと送り出した。



「あの・・私に話ってなんですか?」


一人残されたは、もじもじと背の高い黒髪の男性を見つめながら呟いた。


「ああ・・うん・・あのな、たいした話じゃないんだが・・」


シリウスは困ったように顔を赤らめながら言った。


「少しだけ、抱きしめていいか?」

「えっ?」

が二の句を告げるまもなく、シリウスの黒髪が彼女の頬をくすぐり

大きな両腕が彼女の体に回された。

「すまない・・だが、どうしても君をあきらめきれないんだ・・俺は、君を好きになっては

 いけないことは分かっている。君の側に誰がいるのかも知っている!だが・・」


「シリウス・・」


はおろおろしながら、シリウスが吐き出した切ない恋心を聞いていた。


「あきらめられないんだ・・だから、せめて一分だけでもいい。こうして

 いてくれ!」


「シリウス・・」

は息も詰まるほどに強く抱きしめる彼に、酷くつらそうに呟いた。

「シリウス・・私・・」

「あなたの気持ちにこたえて上げられなくてごめんなさい・・」

「どんなに憎くて、つらいでしょうね・・」

「本当にごめんなさい・・」


「憎いなんて思ったことは一度もない。君が側にいてくれるだけで嬉しい・・」

「君の髪・・お日様みたいだな・・暖かい・・」

「俺は、ずーっと監獄でこの暖かさを求めてたんだ」

朝の日差しがすりガラスを通じて流れ込み、それがの黒髪を黄金色にきらきらと

輝かせていた。

シリウスは目を閉じて、自身全体で彼女の温もりに触れた。
まるでこの瞬間だけ時間が止まったようだった。

「じゃあな、もう行くといい。さよなら、


だが、しばらくしてシリウスは、名残惜しそうにの黒髪に顔をうずめ、軽くキスすると

黒犬の姿に戻った。


「シリウス・・」

「ほんとうにごめんなさい・・」


は涙をいっぱい浮かべて、扉の方へ行きかけたが、

思わず振り返って呟いた。


「嫌いにならないで・・私・・これ以上、大事な人を失いたくない」


彼女の後ろ髪と、アドリアンブルーのふんわりとしたカーディガンが

扉の向こうに消えていくのを黒犬はいつまでも見守っていた。





















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