「メリークリスマス!二人とも入ってよろしいでしょうか?」

12月25日、シフォンのクリーム色のブラウスにシンプルなジーンズスカートをまとった

がまじめくさってドアをノックした。

「いいけど・・その格好で寒くないの?」

ばっちりと黒髪を撫で付けて出てきたハリーは言った。

「大丈夫。家中床暖房がきいてて暖かいから」

彼女はのんきに言って、男二人の部屋に入っていった。

「今年はボーイフレンドからのプレゼントは来てるかい?」

ハリーが前髪をかきあげながら、何げなく尋ねた。

「ああ、マルフォイ坊ちゃんのこと?きーてない!誰があんな奴のを開けると思う?もう二年ほど前から私に

 プレゼント贈るのやめたらしいわ」

は対して気にしてませんよという風に首を振って答えた。

「女の子って何考えてるかわからないよな」

ロンが足音もなくそっと後ろに忍び寄って、彼女の目の前に太い金鎖をちらつかせた。

「うん、これ君にならよく似合うぜ」

彼は金鎖を素早い手つきで、彼女の首に回しながら言った。

「おい、馬鹿言うなよ」

ハリーがちょっと怒って言った。

「悪い。冗談だよ。でもほんとにいらなくてさ」

ロンは絶望的に言った。

「ハーマイオニーに貰ったの?」

は金鎖をロンに返しながら尋ねた。

「いいや。ラベンダーから。あいつ、何で僕がこんなもの欲しがると考えたんだろ。

 さん、君、どう思う?」

「うーん・・恋人同士ならこれぐらいのプレゼントするのはありえるわね。

 女の子は皆、そういうものでしょ?なんていうか皆ロマンチックなことをしたり、されたがるのを期待するわ」

「だけど、あなた達はほんとに恋人なの?ラベンダーに常時押され気味だと私は思うけど」

がずばりと的確な意見を述べた。

「んーー、君のいうとおり、押され気味かな?だいたい僕達あんまり話をしないんだ」

まるでロンは耳を下げ、しょんぼりとうずくまる犬のように見えた。

「たいがいキスしたり、その他もろもろってとこだね」

ハリーがまっとうな意見を付け加えた。

「ハーマイオニーはまだクラムと文通してるのか?」

ロンはそれ以上触れられたくなかったらしく、話題をかえた。

「してると思う。けど、実際に会ってないのは確かね」

が残念そうに答えた。

けれどロンは嬉しそうに靴下の奥を探っていた。

「それ、むやみに開けないほうがいいわよ」

ハリーがウィーズリーおばさんからのプレゼントを開け終わり、湿っぽくかび臭い

包みを手に取ったのを見ては注意した。

「私の動物的感覚なら、真っ直ぐに暖炉にくべるわね」

彼女はクリーチャーからの贈り物(ハリーはシリウスの全財産を受け継いだので、クリーチャーも彼の所有物となった)

をしかめっつらして眺めていた。

「中身はおおかた爆弾か、毒薬か、カエルかヘビかムカデかハエか・・」

「そんな恐ろしいことないよ。まだ郵便は全部魔法省が調べてるんだし」

そう答えながらロンは怪しいぞと睨んでいた。

次の瞬間、「ギャー!」という男女の悲鳴、連れて来ていたがフーッ、フーッと唸る声が部屋中にこだました。

包みの中にはヌメヌメ、クネクネとうねる白い幼虫がごっそりと詰め込まれていた。

「燃やして!」

は一インチもその場に近寄ろうとせず、

ロンは「いいねぇ、思いやりがあるよ」とを撫ぜながら大声で笑っていたが、

ハリーの「ペンダントよりましだろ」の声に小さくなった。

「こんなものをご主人に送るなんて・・あいつ、首にしてやればいいのに」

銀糸が刺繍された可愛らしい靴下(ドビーからのプレゼントだ)をはきながら、はぶつくさいった。

愛してるぜ。君のプレゼント、とてもいかしてる」

ロンが嬉しそうに言った。

「そんな台詞、ラベンダーやハーマイオニーの前で言わないほうが賢明よ」

彼女は照れくさそうに言った。




「蛆虫発見」

ウィーズリー一家での和やかな食卓で、はティッシュでいやいやながら彼の髪の毛についた幼虫を

つまんだ。

ハリーは首にぞくぞく感を味わったが、それは蛆虫となんら関係なかった。


「ああ、だめよ。そんなもの食べたら毒よ」

がぐいと身を乗り出して、つまんだ蛆虫を取ろうとしたので、はシッシッと追い払った。

暖炉にくべて燃やしてしまうと、一段落し、彼女は再びもくもくと食事を取り始めた。


この食卓にはフラー・デラクールも列席していた。

ウィーズリー家の次男、ビルと付き合っているせいだ。

ウィーズリー夫人はあきらめきった様子で、フラーがビルにローストターキーを食べさせているのを

見守っていた。

彼女は根っからこの二人の交際に反対で、一度、ビルの気持ちをそらすためにトンクスと付き合わせようとしたのが

失敗していたのだった。


「あの可愛いトンクスを今日招待したのだけど」

やけに力を入れてカボチャ、カブ、人参の煮物をテーブルにおきながら、彼女はフラーを睨んだ。

「でも来ないのよ。リーマス、最近あの娘と会話した?」

「いいや、最近はフェリシティー以外とは接触してないんだ。それも仕事でね」

ルーピンはちらとを見て言った。

「しかし、トンクスは一緒に過ごす家族がいるんじゃないか?」

「フーム・・そうかもしれないわ。でも、私はあの娘が一人でクリスマスを過ごすつもりだという

 気がしてましてね」

ウィーズリー夫人はトンクスではなく、フラーが嫁いでくるのはルーピンのせいだと言う様に

彼を睨んだ。


「あー、ここのところまともな食事をしていなかったせいで体重が激減したわ」

この騒ぎを楽しそうに傍観していたフェリシティーが言った。

「あのーフェリシティーさん、本当に三十歳なんですか?僕らには二十歳にしか見えないけど」

フレッド&ジョージが不思議そうに尋ねていた。

「お世辞が上手いわね」

フェリシティーは「パンをもう一枚いただけるかしら?」とウィーズリー夫人にたずねて彼女を喜ばせているところだった。


フェリシティー、は並んで座っており、他の者がみたらよくわかることだが、

ドイツ系と中国系の血を受け継いだもの同士、最近、とみに

容貌が似てきていた。

が成人すれば、ミナ、エイミーより、フェリシティーに近い容姿になるのでは

とルーピンは思ったほどだ。










































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