またしても
は
近親者の死に立ち会うことになってしまった。
その日は澄み切った雲ひとつない青空でとても美しい日だったが、彼女は再びこの風景を好きになれるまで
長いこと時間がかかった。
フェリシティー婦人が用意させたビロードの
りっぱな白い棺にヤン牧師は横たわっていた。
おだやかな顔には、ピストルで撃たれた時に出来た苦痛の表情が浮かんでおり、
それが会葬者たちの同情を誘った。
「灰は灰に帰し、塵は塵に戻る・・」
突然、故人の先輩にあたる牧師の声が響いた。
お葬式の始まりだ。
会葬者達は頭を垂れてじっと牧師の言葉に聞き入った。
涙にかきくれた金髪のマーガレット夫人、巻き毛の可愛らしい息子たちが夫を失った彼女を
慰めている。その隣に立派なあごひげをたくわえたダンブルドア校長、ハンカチを
口に押し当てて泣き声を抑えようとしているマグゴナガル先生、喪服をこれほど
魅力的に着こなせる男はいないだろう。セブルス・スネイプだ。
リーマス・ルーピンは今にもぶっ倒れそうな青白い顔で、ちりめんの喪服を着用した
・
の
隣に立っていた。
牧師様の言葉とお祈りが終わると、フェリシティーは白いピアノのところへ行き、ひきはじめた。
やがて、故人が愛した「Love Song」という歌を歌う彼女の甘く物悲しい声が流れてきた。
「♪Oh〜 My Darin you can't high〜to love you were step for me・・」
しばらくフェリシティーの綺麗なソプラノがじょうじょうと続いた。
そして、途中で感極まった牧師様と
が加わり、会葬者達は
何て美しい歌なのだろうとしみじみと思った。
会葬者達が全員帰ってしまった後、マーガレット・ヤン夫人はフェリシティー夫人にこっそりと
金の文字盤刷りの黒革の日記を渡した。
「これをもらって欲しいの。それから必ず姪御さんにも見せて下さい」
とすすり泣いて。
これを見た途端、あきらかに伯母の顔つきが変わった。
今、
は黒ちりめんの喪服のまま、書き物机に向かい日記を読んでいた。
そこにはヤン牧師の几帳面な字で「私はセブルス・スネイプが、例のあの人に寝返っていることを疑っている。
確たる証拠はつかめなかったが、幾分怪しい点がある。それが本当ならば、私は姪のために何としても彼を
救ってやらねばならない。なぜなら、スネイプが校長を裏切っていた場合、必ず、姪を敵の手中に落とすため
巧妙な手を用いて彼女の心に忍び寄るだろう」と書かれていた。
は首を振った。
顔がサーッと青ざめていくのが分かった。
「嘘よ・・彼じゃない！」
彼女は叫んだ。
なぜ、そんな根拠のないことを言うのだろう！？
あの先生は確かに嫌いだが、かげにひなたにハリーや自分を危険から守ってくれている。
そんな騎士団に忠実な人が闇の陣営に今更寝返るだろうか？
ヤン牧師は間違っている。
はバタンと本を閉じて呟いた。