今、達はクリスマス休暇を終え、ホグワーツに戻ってきたところだった。

、ハリー!」

一足先に到着していたハーマイオニーが駆け寄ってきた。

「ちょうど二時間ほど前に戻ってきたの!」

彼女は息を弾ませながら言った。

「両手に花のクリスマスはどうだった、?」

「ああ、いろいろあったぜ。クリーチャーの奴が――」

「ハリー、渡すものがあるの」

ハーマイオニーのからかい口調に、ロンが口を挟もうとしたが

彼女は傲然と無視した。

「良かった。ダンブルドアの個別授業の話だ。先生に山ほど話すことがあるんだ。それに君にも」

ハリーが伝言メモを片手に、両手に花の状態で女の子二人と連れ立って行くと、他の生徒たちが思わず振り返って

こちらを見た。

「ウォン、ウォン!」

しかし、ちょうどその時、可愛らしい甘ったるい声がして、ラベンダー・ブラウンが

矢のように飛んできて、すっぽりとロンの腕に収まった。

「ほっといて私たちだけで行きましょう」

ハーマイオニーは一瞥もせず、テーブルに向かって歩いていった。


ハリーは早速スネイプとマルフォイの密談を話して聞かせた。


「つまり、スネイプがマルフォイを手助けする振りをして、彼の企みを聞き出そうとしているということ?」

何事も頭脳明晰なハーマイオニーが簡潔に要点をまとめて言った。

「まぁ、そうね。でも、うちの伯母さんはそう楽観的に考えてないみたい。スネイプとマルフォイがダンブルドアに背いて、

 ヴォルデモートに与えられた任務を遂行しようとしてるって断言してる」

は困ったように言った。

「ルーピンは、スネイプがマルフォイの企みを聞き出すために一芝居売ってるんだって言ってる」

ハリーも彼女に引き続いて意見を述べた。

「スパイの長年の感って、けっこうあたるらしいんだ」

ハリーがまっとうな意見を付け加えた。

「ずーっと危険な場所に身をおくから、それだけ神経が研ぎ澄まされてくるんだって」

も説明した。

「だけど、ムーディ先生みたいに被害妄想に取り付かれているタイプもいる――」

ハーマイオニーが言った。

がうらめしそうに睨んだので、彼女は押し黙ったが。

「そりゃ職業上、長年敵方と戦ってきたらそうなることは分かっているわ」

彼女は慌てて取り繕った。

「ハーマイオニー、うちの伯母さんの師匠が誰なのかお忘れじゃないでしょうね?」

が皮肉っぽく付け加えた。

「ええ・・ムーディ先生の一番のお弟子さんだったったってことは知ってるわ」

ハーマイオニーは心底すまなさそうに言った。

「はいはい!そこまでにしてくれ!」

ハリーがストップをかけた。

「ところで、フェンリール・グレイバックって名前に心当たりない?」

「ええ、あるわ!」

ハーマイオニーの顔が強張った。

やルーピンから聞きかじったんだけど、物凄い凶悪な奴なんだってさ。ルーピンが狼人間になったのもそいつのせいで

 とにかく、子供の肉が好物で、過去に家の近くの森でを襲おうとして、ブラド夫人に始末されそうになったんだって」

ハリーがわけしり顔で説明した。

「アラゴグって蜘蛛がいるでしょ?」

がこの手の話になると気まずそうに説明した。

「ハグリッドの退校事件で追放された仲間の一部が、ホグワーツを立ち去って、貨物船に紛れ込んでトランシルバニアに隠れ住んだらしいの。

 その仲間がグレイバックに襲われた時、助けてくれたらしいの。私がまだ、四歳の時の話よ。フェリシティー伯母さんがミナ伯母さんから

 聞いたの」

「そうだったんだ。だから、あの時、アラゴグが「懐かしき同胞よ」とかなんとか言ったんだ」

ハリーが納得したように頷いた。

「なぜ、あいつが家の近くの森にいたの?」

ハーマイオニーが鋭く聞いた。

「ヴォルデモートの使いで来たんじゃない?伯母さんが、あいつは私を殺そうと城まで押しかけて失敗したって言ってた。

 仕方ないから、手下のグレイバックを森に潜入させ、私を殺させようと機会を伺っていたんじゃないかしら?」

「蛇みたいな奴だ。一度狙った獲物は絶対に逃がさない」

ハリーが険悪な声で言いきった。

「ところで、狼人間とまともに戦えるのは吸血鬼だってご存知?」

ハーマイオニーが明るく言った。

「それぐらい吸血鬼って強いのよ。狼人間にかまれても呪いの傷が効かないし。

 すばしっこいし、力が強いし、女吸血鬼でも成人男性以上の力があるのよ」


「まぁ、小さい頃はもそんなに力がないから、あいつを刺客にしたヴォルデモートは狡賢いわね」

「それが何で毒蜘蛛なんかに負けたのさ?今の話じゃ彼と渡り合えるのは吸血鬼だけなんだろ?」

ハリーがまっとうな意見を述べた。

「多勢に無勢ってのもあるけど、毒蜘蛛に目をやられたらしいわ。その隙に怯んで逃げた」

「ミナ伯母さんは仲間の吸血鬼や、アラゴグの仲間にグレイバックを見つけ次第「殺せ」と命じて

 あいつは慌ててトランシルバニアから逃亡した。それで現在はここ、イギリスにいるっていう噂よ」

はやれやれとため息をついた。



「マルフォイがノクターン横丁で「仕事の進み具合をチェックしに、グレイバックを差し向けるぞ」ってボージンを脅してたの覚えてるでしょ?」

ハーマイオニーが突然話題を変えた。

「そう!これで、マルフォイがデスイーターだってことが証明された。

 だって、そうじゃなきゃグレイバックに命令できないだろう?」

ハリーがそれみたことかと突っ込んだ。

「その可能性はあるわね」

ハーマイオニーは息を潜めて言った。

「だけど・・それが本当の脅しだった場合ね。嘘の可能性も考えられるし」

「君ってどこまでそう言いきるの?全く」

ハリーはやれやれと首を振った。

「誰が正しいかはそのうちわかるさ。なぁ、?僕は君の伯母さんのいうことに五ガリオンかけるよ」

ハリーはそう彼女に話題を振った。

「伯母さんの意見を支持するってことは、スネイプ先生を黒としてみなさいってことになるし・・

 うーん・・どうしたらいいの?」

話題を振られたは頭を抱えてしまった。



 



















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