遺跡内に凄まじい爆発音が響き渡った。
リックがイムホテップの手下達の追跡を逃れるために発煙筒を投げたのだ。
アーデスはソフィアの背中を押すと、ホラス像の影に引っ張り込み、
ジョナサン、リックも爆発の衝撃を逃れるため、姿勢を低くしてホラス像の影に飛び込んだ。
一方、その頃エヴリンは手枷で台座に繋がれ、身動きが取れないでいた。
周囲にはミイラ化した神官が続々とつめかけ、イムホテップは
とうとう黒い本をの鍵穴にジョナサンから奪ったパズルボックスを入れて回した。
「オコンネル、ジョナサン、ソフィア!」
自らの終わりが迫っていることを感じたエヴリンは、あらん限りの声で助けを求め続けた。
ジョナサン、リックはホラス像の足元に眠る本を引っ張り出そうと
全身の力をこめて土台石を動かしていた。
その間、アーデスはウィンチェスター銃に弾を込め、ソフィアは背中にしょっていた
黒塗りの矢筒からすっと矢を抜くと漆黒の長弓に番えた。
「くそっ、本当にしつこい奴らだ!」
リックが苦々しげに呻き声の聞こえた方向を見て言い放った。
「奴ら、よっぽど討たれたいらしいわね」
ソフィアが皮肉っぽい笑みを浮かべて、漆黒の長弓の弦を引く手を強めた。
「そのまま続けてろ!」
アーデスは決然とした顔つきで、銃に弾をこめるのをやめてずんずんと進んだ。
「おお・・アムン・ラーの書だ!」
遂にリックとジョナサンが埃っぽい木箱を引きずり出して感嘆の声を上げた。
銃声が響き渡った。
アーデスが奥まった通路から出てきたミイラ達目掛けて発砲したのだ。
ソフィアの弓も発射され、矢はぐんぐん飛んでミイラの心臓に突き刺さった。
「ここはもういい、君は友人を助けに行け!」
ウィンチェスター銃が弾切れしたのをきっかけに、アーデスは隣で弓を引いていた
ソフィアに命じた。
「何をする気なの!?」
ソフィアは嫌な予感がしてアーデスの服の裾をつかんだ。
「彼女を連れて行け!お前達は捕らわれの女を救い、大神官を殺せ!」
アーデスは有無を言わせぬ調子で、ソフィアを脇へ突き飛ばすとウィンチェスター銃を
抱えてミイラ目掛けて殴りこみに走った。
「アーデス、駄目よ!!」
戦いの叫びを上げて突っ込んでいったメジャイ、砂の上に転がったソフィアは起き上がると金切り声を上げて止めた。
「何を突っ立っている!?早く行け!時間がないぞ!」
アーデスはウィンチェスター銃の台尻でミイラを殴りつけながら叫んだ。
やがて彼の姿は沢山のミイラに揉まれ、見えなくなってしまった。
「アーデス・・」
ソフィアは目にうっすらと涙を浮かべた。彼女はこのとき初めてアラブ人の彼に対する偏見を取り払ったのだった。
彼の遺志を汲み取ったリックはマッチを擦り、アーデスを押しのけて出て行こうとした奴ら目掛けて発煙筒を投げつけた。
発煙筒は奥まった空間で大爆発を起こし、ミイラ達はあとかたもなく粉々に吹っ飛んだ。
一方、篝火が焚かれた大広間では黒いコールタール状の水面が唸り、今まさにアナクスナムンの
魂が黄泉の国から呼び戻されようとしていた。
「お前の死を持って彼女は蘇る!」
「誰も私を止められぬ!」
イムホテップはゆっくりと短剣を振り上げると、エヴリンの心臓を狙った。
エヴリンは喉から血が噴出すかと思われるほど叫んだ。
「見つけた、エヴリン、遂に見つけたぞ!」
お調子者のジョナサンが間一髪で、式典用の大広間の石段の上から駆け下りてくるところだった。
彼は両腕に黄金の本を大事に抱えていた。
(それはアムン・ラーの書!)
イムホテップの表情がみるみる間に変化していく。
彼は短剣を振り上げる手を止め、アナクスナムンの側にそれを置いた。
「助けて兄さん!本に彼を止める方法が書いてあるの!お願い、兄さんにしか出来ないのよ!」
エヴリンは重い手枷を外そうとやっきになって叫んだ。
イムホテップが黒いローブの裾を翻して、ジョナサンを追い始める後ろでは
リックがこっそりと、戦神が掲げる長剣を拝借したところだった。
「だめだ、鍵が掛かってて開かないよ!」
ジョナサンは黄金の書をがちゃがちゃさせながら叫んだ。
「鍵はどこにあるんだ!?」
「そいつの服の中よ!」
エヴリンの答えに、ジョナサンはほうほうのていで元きた道を引き返した。
リックは長剣を掲げて台座をひらりと飛び越えると、まず、エヴリンを繋いでいた手枷の鎖を断ち切った。
イムホテップが騒ぎに気付いたが時すでに遅し。
リックだけでなく、砂を蹴散らして走ってきたソフィアの長弓も驚き慌てた神官の一人目掛けて発射されていたからである。
リックはエヴリンとアナクスナムンが寝かされていた台座に割って入ると、長剣をかまえた。
それから長剣をぶんと振り回し、襲いかかろうとしたミイラ目掛けて叩きつけた。
一人の神官がリックの剣が台座に突き刺さったのを見止めて、羽交い絞めをかけた。
だが、彼はあっけなくソフィアが後ろから放った一矢を左胸に受けて崩れ落ちた。
リックはめちゃくちゃに剣と拳を振り回し、大勢の神官を相手に奮闘していた。
彼の後ろから的確にソフィアの弓矢も放たれ、エヴリンを跨いでリックに襲いかかろうとした神官を
ひっくり返していた。
「ざまあみろ、ミイラめ」
リックは一通りミイラを叩ききってしまうと、長剣を右肩に担いで馬鹿にしたように笑った。
「うわあっ!?」
彼は突然、何者かに両足を掴まれて引きずられた。
「待ってて、今助けるから!」
一部始終を目撃していたソフィアが台座を飛び越えてやってくる。
「嘘、もう矢がない!」
ソフィアは漆黒の長弓に矢を番えようと矢筒に手をやって嘆いた。
「ソフィア、何とかして!」
台座で片手だけ手鎖を繋がれたエヴリンが悲鳴を上げた。
だが、リックはソフィアの助けを借りるまでもなく、目の前を今しがた切断された肉のそげた手が這っていき、長剣を掴んだのを利用して
自分の下へ石版を叩きつけようとした神官の足を叩き切った。
重心を失った神官はおぞましい悲鳴を上げると、銅版刷りの書を抱えたままひっくり返った。
「こっちだ!」
「エヴリン、大丈夫?」
危機を脱したリックは、エヴリンの残りの手枷を叩き切り、ソフィアが
台座から離れた彼女を支えた。
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