「エヴリン、ジョナサン、リック!」

「誰でもいいから助けに来て・・」

陽のあたらない暗い遺跡内をさまようこと数十分、ソフィアは

だんだん心細くなってきた。

「アナクスナムン?ここにいたのか」

次の瞬間、後ろを振り返った彼女はギャーッと悲鳴をあげて飛びさすった。

それはどんなに心臓の強い人間でさえ脅かす恐ろしい歩くミイラの姿だった。

ミイラは懐かしそうに肉の削げ落ちた汚らしい手を差し出し、ソフィアを

目を細めて見た。

「お願い、見逃して・・私は何も悪いことはしてないわ」

ソフィアは必死に体中の勇気を振り絞って懇願した。

「何を言う・・アナクスナムン。私だぞ。ずっとお前を探してい・・」

ミイラは冷たい石の壁に後ずさりするソフィアに優しく語りかけ、その頬に汚らしい手をかけようとした。

突如、バーンという派手な発砲音がしてミイラの左胸が打ちぬかれた。




「女、早く来い!」

どこからともなくライフルをかまえた黒髪の長らしき男とその部下達がなだれ込み、びっくりしている

ソフィアの手を引くと乱暴に連れ去ってしまった。

一方、ソフィアを探して遺跡内をさ迷っていたリック達も黒ずくめの集団に

捕らえられ、遺跡の外へ連れ出されていた。

「この場から立ち去れと警告したはずだ」

濃紺色のカフィーヤをすっぽりと覆った波打つ黒髪の男が口を開いた。

ソフィア!」

ジョナサンが、濃紺色のカフィーヤの男が連れている女を見て素っ頓狂な声を上げた。

「3000年もの間、呪われた者が蘇り我々を殺す」

黒髪の長らしき男はカフィーヤを取ると、せっぱつまった声で告げた。

「落ち着け、さっき俺が殺しといた」

すかさずリックが口を挟んで言った。

「奴はこの世の武器では殺せない」

悲痛なうめき声が聞こえたのでエヴリンたちがそちらを見ると、黒ずくめの男達に支えられて

目玉と舌を抜かれたバーンズが連れてこられるところだった。

「この人でなしが!」

「お前らの仕業か!なぜこんなひどいことを!!」

アメリカ人達は友人の見るも無残な姿に殺人的激怒に駆られて叫んだ。

「化け物に食い殺されるところを我々が助けたのだ」

「奴が再び追ってこないうちに逃げろ。なるべく遠くに」

黒ずくめの集団の長らしき男は、厳しい目つきで告げると、部下達に何事か囁いて向こうへ行かせた。

「我々が何としてでも奴の息の根を止める」

アーデスと呼ばれる集団の長らしき男はライフルの掛け金をかちりと

鳴らし、リックの側までくるとそう言った。

「だから俺がさっき始末したと・・」

「あいつは死んでいない。それどころか復活した途端にこの世に死と恐怖をもたらすだろう。

 奴は何も食べず、眠ることすらしない。そして、ひとたび動き出せばもはや誰も奴を止めることは出来ないだろう」

リックが言いかけた言葉を遮って、アーデスは挑みかかるようなまなざしで告げた。

それから彼は、リックの大きな身体の後ろに隠れたソフィアを何を考えているのか分からない

面持ちで見つめていたが、気を取り直すとライフルを握り締めて遺跡内へと消えていった。





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