「キャーッ、こいつら男よ!!」
「嫌ーっ、キャーッ!!」
「いたぞ、あそこだーっ!!」
宮殿をなんとか抜け出て、真紅のツツジが咲き乱れる庭への小道を駆け下りていた
朱雀+白虎七星士達はいたるところで巡回中の女兵士たちや
熟睡中で寝巻きのまま庭に出てきてしまった不遇な侍女達
さんざんぱら悲鳴を上げられる始末だった。
「西の城壁はここを上ればすぐだ!皆、頑張れ!」
「おう!」
鬼宿、翼宿の先導で朱雀+白虎七星士達は西の城壁に
だらだらと続いている石段を上っていた。
「美朱、柳宿、頑張って!」
足にまとわりつく長い宮廷衣装のスカートをたくしあげて走る、
柳宿、美朱はこげ茶色の制服の短いスカートからでた足を出来るだけ
早く動かしながら石段を上っていた。
背の高い城壁までようやく一行がたどり着いた時、
ピシャーンと空を切るような音とともに雷撃の一つが城壁の中央部に落ちた。
「誰!?」
星宿の神剣を肩にかけた美朱が叫んだ。
「よくここまでたどり着いたね。だが、ここまでだ!」
城壁の中央部で待ちかまえていた緋のマントをまとった怪しげな刺客が叫んだ。
「危ないっ!」
二度目の雷撃が容赦なく美朱目掛けて落とされた。
彼女の隣にいたが素早く察知して飛び掛り、巫女ともども横に飛んで難を逃れた。
「うまくよけたものだね、白虎七星士、。
青龍七星士が一人、房宿!朱雀の巫女、決して北甲国へは行かせないよ!!」
緋のマントが脱ぎ捨てられ、濃すぎるほど赤い毛のおさげ髪を垂らした背丈の高い女戦士は宣戦布告した。
「そ、房宿って女だったの!?」
「そうか・・向こうも女の七星士がいるのね・・なんと厄介な」
巫女とが驚愕するなか、房宿は天に二本指をさっとかざし、巨大な
雷雲をぐるぐると巻き、操りはじめた。
「くらいな!」
房宿が間髪入れずに雷雲を操りそこから電撃を繰り出した。
ふせぐこともままならなかった七星士達は、房宿の電撃をまともに食らい一歩も動けなくなってしまった。
「聖なる水の結界で雷撃を瞬時に分散させたか・・間一髪で防いだと見えるが、
大量の雷撃を受け止めるのはかなりの負担がかかるはず。私の次の攻撃に耐えられるだろうかね!」
神剣を盾に、聖水の巨大な渦を作り、その中にかろうじて美朱だけを匿ったはどうしようか
と互いに顔を見合わせた。
「破空陣雷砲!!」
房宿はにやりと笑うと、嬉しそうに二本指を雷雲にかざし、今度は先ほどより
巨大な雷撃を繰り出した。
「あの女・・」
ごおごおと渦巻く聖水の渦の中で、どうすることも出来ないはくやしそうに呻いた。
「あれ、神剣が光っている・・」
「これ、もしかして・・」
そこで朱雀の巫女は密かに気づいた。の神剣が聖水の渦の周りを取り巻くばちばちっと
光る雷撃の余波を吸収し、白い熱をぐんぐん帯びていることを。
「白虎七星士、朱雀の巫女、これで終わりだ〜!!」
房宿は両腕を天にかざし、特大の雷撃をお見舞いした。
朱雀の巫女はいちかばちかをかけて、肩にかけてあった自分の神剣を抜いた。
房宿の雷が聖水の渦の結界を直撃すると、辺りは雷撃と水の渦が混ざり合い勢いよく
天に向けて跳ね上がった。
「美朱〜っ!!」
「〜っ!!」
鬼宿、翼宿の悲鳴がむなしく響いた。