どわっはっはと声を大にして美朱は笑いこけ、畢宿も袖を口に押し当てて
クスクスと控えめに笑い出した。
「こらぁ!畢宿、コソコソ笑うんやない、俺やってめっちゃ恥ずかしいねんから!!特に美朱!お前は指差して笑うな!!」
「畢宿、俺、美朱が笑うとおり、そんなにおかしいか?」
「いいえ、別に」
「お前、顔がスゲー嬉しそうだぞ・・」
クスッと控えめに笑い続ける畢宿に、鬼宿はあたふたとしており、
翼宿は八重歯をむき出しにして、げらげら指差して笑いこける美朱に怒っていた。
「あ・・軫宿もできたの?え!?」
美朱のひきつった声に皆いっせいに振り返った。
(み、見たらあかんもん見てしもたんちゃうやろうか・・)
(夢に出てきたらどうしよう・・)
(何て褒めてあげればいいんだろう・・衝撃のあまり言葉が見つからない)
翼宿、鬼宿、畢宿の三人は彼のあまりにもすざまじい女装姿に絶句し、
頭を抱えて考え込んだ。
その時だ。巡回中の女誠国の女番兵らががさがさと茂みをかきわけて
長剣や長槍で畢宿達の行く手を遮った。
「貴様ら、見かけぬ顔だが、そこで何をしている!!」
真っ黒な髪をひっつめにしたきつい目つきの女隊長がすごんだ。
何事も許さぬ危険な目つきの女隊長の気迫に圧倒されながらも、
朱雀の巫女は自分達は女ばかりの旅の集団であることと、今の置かれている状況を説明し始めた。
隊長はぎろりと全員を一瞥した後、大声で宣言した。
「いや、女衆の中に一人、男がいる!!」
全員がぎくりと強張り、脇からじっとりとした冷や汗が流れ出た。
「お、俺ではないぞ!!」
そのがっしりとした立派な体格といかつい顔立ちを、化粧と衣装でごまかしきれなかった軫宿が、ひどく取り乱して言ってしまった。
「お前以外にいるか!さぁ、来い!」
女番兵達は怒って彼の身体に縄をかけ、さっさと連行していってしまった。
「やっ、やっだー、あの人、男だったのぉ!?幻ちゃん、信じらんな~い♪」
「あたしもぉ、ぜんっぜん気付かなかった~ね~、畢宿ちゃん?」
「え、あ、あ~あ、本当に心外よね~あの人ず~っと女だと思ってたのに酷いわ~」
早速女隊長の疑いの目が、七星士達に向けられたので、
翼宿、鬼宿、畢宿は高い女声を出し、ここぞとばかりに必死で一芝居打った。

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