その日、イギリスの魔法族の間ではある噂が広がっていた。昨夜、ヴォルデモ―トがゴドリックの谷に現れ、ポッター夫妻が殺されたと。

「ああ、恐ろしい。おとといに続いて二件目だよ。もっともおとといは 夫妻が殺されたがね。」

家っていやあ、魔法族の中でもかなりの地位の名家じゃねえか?

それにあそこの家は闇の魔術に詳しいって話だ。それなのにあそこの一族は先頭だって例のあの人に抵抗したそうじゃないか」

「例のあの人はポッター家の息子のハリーや 家の娘を殺しそこねたって噂よ。なんでかは知らないけどね」

それから魔法界の住人達は近隣住民も遠方住民も見境なく、額を寄せ合って自分達が聞いた恐ろしい話の数々をくっちゃべった。




11年後。

ここはハンガリー郊外、ゲデレーの城館。 家の助かった娘は母方の伯母とともに暮らしていた。

伯母のミナは女伯爵、半吸血鬼で闇の魔術に詳しく、科学者として活躍していた。

昔、今は亡き王族の恋人からこの城館や伯爵の称号、その他莫大な資産を受け継い だ。

彼女は今でも思い出す。自分の妹が例のあの人に殺された夜、

瀕死の重傷を負いながらも最後の力を振り絞ってを自分の元へ魔法で転送してきたこと、

ヨークシャーにある妹夫妻のコテージはバ ラバラに

壊され、目も当てられなかったこと。そんな折、イギリスの魔法学校ホグワーツから宛に入学許可証が届いた。妹夫妻が卒業した学校だ。

、ホグワーツから入学許可証がきたわ。あなたの母さんの卒業した学校よ!」

伯母が手紙の封を切り、嬉しそうに隣室の女の子に呼びかけた。

「 伯母さん!本当?ああ、やっときたのね!で、もちろんイギリスに行くんでしょう?」

そういって が物凄い勢いで伯母の寝室の天蓋ベッドの上に駆け込み、半分寝ぼけ眼の伯母に抱きついてきた。

は背が低く黒髪、ダークブラウンの瞳のとてもきれいな娘だ。

「早く支度してらっしゃい、今からイギリスにいっても遅いぐらいよ。学用品とかローブとか一杯買わなきゃならないからね」

そういって伯母 は自分に抱きついたままの をひきはがしながら言った。



ブダペストを出発してから5日後、ミナ、 は列車と船を乗り継いでロンドンのキングズ・クロス駅に着いた。

ミナ、 はトランクを抱え、魔法使いのパブ「漏れ鍋」に向かった、中に入るとちょうど客達は

ハリー・ポッターと代わる代わる握手をしているところだった。

「ポ、ポッター君、お、お会いできて、どんなにうれしいか」今、ハリーはクィレル先生と握手をしていた。

「クィレル先生!!お久しぶりです。」そこへ の伯母ミナが割り込んだ。

「ブ、ブラド夫人。ああ、こ、こ、んにちは。えと、そちらのお嬢さんもホ、ホグワーツですか?」

(ミナはたまに用事でホグワーツに顔を出しており科学者という仕事柄、クィレル、スネイプ、スプラウトと特に親しい。)

「ええ、今年からそちらに入学する姪の です。そちらはハリー・ポッターさんね?あなたもホグワーツに入学するの?」

「はい、そうなんです。よろしくブラドさん。 。」ハリーはミナとその姪っ子に頭を下げた。

彼は夫人の姪を、今までお目にかかったことのないとても可愛い娘だと思った。

「ハリー、何しとる?もういかんと・・・買い物がごまんとあるぞ。

おおっ!ブラド夫人じゃねえですか。いやー、こんなとこで会えるとは・・今日は姪御さんの買い物ですかい?」

がやがやとした大騒ぎの中、ちょうどハグリッドが人込みを掻き分けてハリーのところにやってきた。

「ルビウス!ああ、ちょうどよかったわ。一緒に行きません?」

「いいですとも。ハリー、このご婦人達と行くがかまわねぇな?さ、コッチだ。ここをでてすぐだ。」

そういってハグリッドはハリー、ミナ、 をパブの中庭へと追い立てていった。

中庭にあったレンガをコツコツとハグリッドが傘で叩くとレンガが回転し目の前にダイアゴン横丁が出現し、

ミナ、 、ハグリッド、ハリーはまず、グリンゴッツに向かいそれぞれ魔法使いのお金を引き出した。




ハリーは驚いた。自分の両親がこんなに財産を残してくれたなんて。

それよりももっと驚いたのはの家の金庫の方だ。この一家は何者なんだろう? がでてきたときにはかなりの金、銀、銅貨の詰まったバッグを

抱えているし、トロッコで銀行の入り口まで戻るとブラド夫人がユーロ紙幣を換金しているのが見えたが

ハンドバッグから取り出した紙幣の束の多さ・・。

そんなことを考えていると がハリーの肩を叩いた。

「ハリーって呼んでもいい?私のことは でいいから。

ハグリッドがちょっと乗り物酔いしちゃって・・先にほら、あそこの洋装店に二人でいっててくれって」

「あ、も、もちろんいいよ!それより、ハグリッド大丈夫かな?」

ハリーの視界に、青い顔をしたハグリッドとそれを支えるブラド夫人の姿が映った。

「大丈夫よ!うちの伯母さんがついてるし、さあ、行きましょう」

連れ立って入った洋装店の中には先客がいた。青白い顎の尖った男の子だ。

彼は踏み台の上にたち、魔女が長い黒いローブをピンでとめていた。

店主のマダム・マルキンに踏み台に立つように言われた とハリ―の横には別の魔女が来てローブの丈合わせ始めた。

それから先客の男の子が話しかけてきて、クィディッチがどうの、ホグワーツの寮がどうの、あまたにはハグリッドをけなし始め、

やっと採寸が終わって外に出たとき二人はすっかり嫌なな気分になっていた。






「なにあれ、あったまきちゃうよね。ハグリッドのこと召使なんて!」

数十分後、とハリーはハグリッドが持ってきたアイスをなめながらくっちゃべった。

「あんな嫌なやついとこのダドリーにそっくりだよ。はー、僕、魔法界のことなんにもしらないんだよ。

それにマグルの連中は入学させるんじゃないって・・。」

彼はうな垂れてさっき例の生意気な子が言ったことを反芻し始めた。

「お前はマグルの家の子じゃない。お前がなにもんかそいつがわかっていたらなあ。それに

 召使なんて俺を気に入らん連中からそう呼ばれるのはなれちょる。」

「でも、ハグリッド、 のいうとおりその子に召使って呼ばれる筋合いはないわ。

まったくどんな親に育てられた子なんでしょうね?」ミナは呆れたという顔をしていた。

「優しいなぁ、他人で俺のことをかばってくれたのはブラド夫人と 嬢ちゃんが初めてだ。」

ハグリッドはかすかに目元が涙ぐんでいた。




そして四人は全ての物を買い揃え、横丁を出、漏れ鍋で別れた。

「それじゃ、ハリー、ホグワーツでね!」

「とっても楽しかったよ、!!」

二人と別れて地下鉄に乗って帰る最中、ハグリッドはハリーにこっそりと言った。

「実はな、 は前にお前さんに話した例のあの人が目をつけて殺されんかった子なんだ」

「あの子が?僕以外に生き残った子?本当にいたんだ・・」

彼はびっくりしていた。

「それにしてもハグリッド、あの子は何者なの?金庫はすごい金貨の数だし、ブラドさんもバックからマグルの札束を沢山換金してた」

「ん?ああ、ブラド夫人はな女伯爵なんだ。俺たち魔法族のなかではけっこう有名な科学者でもあるしな。時々、ホグワーツにもきちょる」

はどの寮に入るんだろ?」

「お前さん、 嬢ちゃんのこと気にいっとるようだな。まあええ、ホグワーツは楽しいぞ。俺も楽しかった。実は今でも楽しいよ」

そういってのけるとハグリッドは豪快に笑った。






九月一日、いよいよホグワーツの新学期だ。 は十時半にキングズ・クロス駅の九と四分の三番線に着いた。

目の前にはホグワーツ行きの汽車がもうもうと煙をあげている。

伯母と別れの挨拶を済ますと、 は列車の戸口の階段から重いトランクを押し上げようとしたがなかなか持ち上がらない。

途方に暮れていると、目の前に燃えるような赤毛の双子がきた。

「ややっ、姫がお困りのようだぞ。フレッド。」

「ささ、ジョージ、二人で姫のトランクを持ち上げてしんぜよう。」

そういうとあっという間に双子はトランクを列車の中にいれてしまった。

「どうもありがとう。フレッド?ジョージ?」どっちがどっちか区別がつかずには礼を言った。

「我らの名前を姫は間違えずに呼んでくれた!!姫、初対面でなんですがよかったら我らとご一緒しませんか?」

フレッドがにんまりとくしながら言った。

「席開いてるの?よかった!私まだ席を取ってなくて。なんかどこも空いてなさそうだし」

彼女はほっとして相席を許可してやった。

「やったぜ!ジョージ。姫がご同席してくれるぞ!!」

双子は嬉しくて小躍りした。

「これで列車の中が100倍楽しくなるぜ!フレッド。おっと、姫乗りましょう!」

そういってジョージは恭しくの手を取ると列車の中に入った。



10分後、汽車が発車した。ハリーはからだいぶん離れたコンパートメントに相席となったロン・ウィーズリ―と一緒だった。

彼は目の前に座る少年がハリー・ポッターだとは気づいておらず車窓に目をやっている。

(あの女の子、 だっけ?どこにいるんだろ?この列車に乗ってるよね。)

ハリーは車窓に目をやりながら、先日会った自分と同じ運命を持つのことを考えていた。

「おい、ロン」コンパートメントのドアが開いてロンの双子の兄と が入ってきた。

「あら?ハリー!」

「あっ! !」

「なんだ?姫と知り合いだったのか!」双子は同時に叫んだ。

「それにハリー、ハリー・ポッターだって?俺はフレッド、こっちはジョージだ。

 こいつは弟のロン。いやはや「我らが姫」の知り合いだったとはな・・。」

「あの・・フレッド、ジョージ、お二人が姫っていうから名前言ってなかったんだけど私、 よ。」

ここで口をさしはさむ余裕がなかった彼女が喋った。

「なんと不覚だった!「我らが姫」の名前を聞いてなかったとは!しかも とはもしやハリーと同じく有名な では?」

フレッド、ジョージは驚いて大げさにのけぞって叫んだ。

「ええ、そうなの。ねえ、二人ともハリーと座っててもいいかな?時々、二人のとこ遊びにいくから」

「う〜ん残念だ!!姫の知り合いではいた仕方ない。それではごゆるりとお過ごしを。じゃあロン、俺たちリー・ジョーダンのとこいるからな!」

彼女と別れるのが惜しかったが、双子は気をきかせてドアを閉めて出て行った。

「しゃべる隙がなかったよ。」やっと息ができたロンはこわごわと呟いた。

「でもほんとに君達がハリー・ポッターや なんだよね。」

ハリーは前髪をかきあげて稲妻の傷を見せた。ロンと はじーっとみた。

その後、彼女は自己紹介をし、ロンと握手をした。その度にロンの顔がポッポッと赤くなった。

その後、車内販売が来て、ハリー、ロン、 は買ったお菓子を分け合って食べた。



「ねえ、君ってアジア系の人?」百味ビーンズをかじりながらロンが聞いた。

「うーん、一応お父さんがドイツ系と中国系のハーフだけど、お母さんはハンガリー系、混血だよ。」

は大鍋ケーキを頬張りながら答えてやった。

「すんごい、エキゾチックだね。」

ロンはまた顔を赤らめながら言った。

その後、ヒキガエル探しのネビルやハーマイオニ―・グレンジャーがやってきた。

ハーマイオニ―は「私、 とハリーのこと知ってるわ!」といってすごく喜んでいた。


ようやくハーマイオニ―から解放されてホッとしたのも束の間、今度は洋装店で会った青白い子とその子分が入ってきた。

「ほんとかい?この汽車にハリー・ポッターと がいるって、それじゃ、君らなのか?」

青白い子はしげしげと二人を眺めた。

ハリーと は気乗りなさそうに答えた。



「僕はドラコ・マルフォイ。 、君、可愛いね」

青白い子がにやけながら彼女をほめた。横でロンやハリーが睨んでいたが。

マルフォイはさらに、ハリーと にウィーズリー家を見下した発言や

「間違ったのとは付き合わないことだ」といい、三人を激怒させてしまった。

もう少しでハリーやロンはマルフォイにつかみかかりそうになったが、

横でロンの蛙チョコをいじっていた子分の一人、ゴイルにロンのネズミ、スキャバーズが食らいつき一騒動は免れた。



「あーあ、ほんとに嫌なやつ!ますます嫌いになったわ。」 はまだ怒っていた。

「例のあの人に味方してるのさ、マルフォイ家は」

「でも のこと可愛いなんてあいつやばいぜ。見たか?あいつのにやけ顔。気をつけろよ」

ロンが忠告した。

「何かちょっかいをかけてきたら言ってきなよ」

ハリーまでもが彼女に忠告した。

汽車は田園地帯をぬけ、小さな暗いプラットフォームに到着し、下車した一年生はボートでホグワーツに向かった。

ホグワーツに着くと大広間で新入生の歓迎会が行われた。辺りには何千本のローソク、大テーブル、そして上級生が見える。


広間の中央にイスがおかれ、その上に組み分け帽子がおかれ、順番に名前を呼ばれた生徒たちが次々と帽子を被っている。


「アボット・ハンナ・・ハッフルパフ!」

「ハーマイオニ―・グレンジャー・・グリフィンドール!」

「ドラコ・マルフォイ・・スリザリン!」

(どうかあいつと同じ寮になりませんように)これはロン、ハリー、 が切に思った。

「ハリー・ポッター!」皆が注目した。

「グリフィンドール!!」グリフィンドール席から嵐が起こった!






!」また皆が注目した。

ドラコ、フレッド&ジョージ、ハーマイオニー、ロン、ハリーそれぞれの思惑をよそに

「グリフィンドール!!」

今度はハリーの時より派手に拍手が飛び交っら。

まっさきにあの双子兄貴が に抱きついてきた。

ハリーやその後グリフィンドールに決定したロンは安堵を隠し切れなかった。

双子にもみくちゃにされていて の姿が見えないが、少なくともドラコではなくてよかったとハリー、ロンはまた思った。

その後、大テーブルのゴブレッドや金の皿にはダンブルドアの魔法で山盛りのご馳走が盛られた。

ハリー、ロンの間には強制的に座らされ、その前にはハーマイオニ―、双子、パーシーが次次とやってきた。

双子はホグワーツでやった色々な悪戯について聞かせてくれ、パーシー、ハーマイオニ―は

ホグワーツの授業について語り、 にとってどれも珍しく面白い話ばかりだった。

やハリーは更に面白くなって教職員席の方を見てみようかと言い合った。

ハグリッドは飲みすぎていたし、ダンブルドアは一番この宴を楽しんでそうだった。

マグゴナガル先生は厳格そうにみうけられたし、クィレルはどもってばかりいた。

突然、ハリーは額を押さえた。 は不吉な予感がした。

どうやらハリーの痛みはすぐに治まり、前のパーシーとクィレルの隣の先生のことについて話し始めた。

はあらためて教職員席を見た。すると黒髪、鉤鼻の先生と目が合った。その先生は驚いた顔で 彼女をみつめている。

(エイミー?あの娘、女伯爵にも似ているが、あいつにそっくりだ。まさかこんな形で再会するとはな・・)

その黒髪、鉤鼻のスネイプはしばし自分だけの思い出に浸った。すると土気色の彼の顔に赤みがさした。

の母親、エイミー はスネイプ、ジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、ルーピン、そして彼女の夫らと同期だった。

エイミー は栗色のふさふさとした長髪、漆黒の瞳、背丈の高い美少女だった。

彼女はジェームズ、シリウス、ルーピン、夫と同じグリフィンドールであり、スリザリンであるスネイプにも気軽に声をかけることのできる

人物であった。

スネイプはあろうことか彼女に片思いしていた。

「セブルス、セブルス、聞いてますか!」クィレルの声でスネイプは夢想からいっきに現実の世界へ引き戻された。

(また、あのじゃじゃ馬が戻ってくるのか・・)

 スネイプは嬉しいような悲しいような気持ちでゴブレットの中身を飲み干した。



 歓迎会の翌日、ハリー、ロン、 が寮をでた途端、ささやき声がつきまとってきた。女子はハリーをみようとやっきになってるし、

 男子は東洋の雰囲気をもつエキゾチックな美少女をみようと立ち止まったり、わざわざ逆戻りしたりする始末だ。

 授業はとても変わっていた。ゴーストが担当する魔法史、マグゴナガル教授の変身術では複雑なノートを取った後

 一人一人にマッチ棒が配られ、それを針に変える練習をした。

授業終了までにマッチ棒を変身させることができたのはハーマイオニ―、 だけだった。

マグゴナガルはとても嬉しそうにクラスの全員に二人のマッチ棒をみせた。

ハーマイオニ―のはシルバーでかなり尖っている、 のはゴールドでキラキラ、キラキラやたらと輝いている。

「皆さん、見ましたか?私の授業の初日に二人もこの術を成功させました!!こんなことはかつてありません!!」

そういってマグゴナガルは、ハーマイオニ―と のほうにめったにみせない微笑みを見せた。

「やるじゃない」

「あなたもね」 とハ―マイオニ―はお互いの実力を認め、たちまち意気投合した。


それに比べ、一番最悪だったのは魔法薬学の授業だった。地下牢は寒いし、気味が悪いホルマリン漬けばかりならんでいた。

スネイプはまず出席を取り、 やハリーの名前までくるとちょっと止まった。

そして、スネイプは彼女の方を嬉しいような悲しいような表情でみつめた。

彼に関しては猫なで声で「ハリー・ポッター。我らが新しいスターだね。」と冷たく歓迎したが。

「ポッター!」しばらくしてスネイプが彼を教鞭で指した。

「アスフォデルの球根にニガヨモギを煎じたのを加えると何になるかね?」

可愛そうなハリーはチラッとロンを見たが、「降参だ!」

という拝むようなジェスチャーが返ってきた。さっきから挙手しているハーマイオニ―を見事に無視し、スネイプは意地悪く笑った。

「ではベゾアール石はどこにあるかね?」

「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンの違いは何だね?」

「わかりません」

完全なるハリー狙い撃ちだ。

さっきからこの様子を伺っていたは我慢しきれなくなって挙手した。


「先生、ベゾアール石はやぎの胃にあり、モンクスフードとウルフスベーンはどちらも猛毒のトリカブトのことを指し、

アスフォデルとニガヨモギの混合は眠り薬になります」

一見冷静さながらに答えていたが、はこの陰険教師に心底腹を立てていたのであった。





「ミス・ 。全て正解だが我輩は君に答えろとはいっていない!」

スネイプの顔にさっと青筋が浮き出た。

「なんとなく答えたかっただけです。お気になさったなら謝ります」そういって はぐいと顎を突き出し、失礼千万な態度を取った。

「いい度胸だな。だが、この次に勝手な発言をしたら減点する!!よく覚えておくんだな」

スネイプは怒ろうかほめようか迷っていたが、ふんっと頭をそらすといらただしげに釘をさしておいた。

この二人の冷たい空気に凍りつくスリザリン席のドラコ・マルフォイ、グリフィンドールの生徒達。

「何を固まっている!!なぜ今の の発言をノートに書き取らんのだ!」というスネイプの一喝で皆はやっと我に帰った。

その後、

「すごいじゃないか! 。あんなことしたのにあいつ減点しなかったんだぜ」

「ありがとう。ほんとに助かったよ!」

「あなた、何でわかったの?」

「実はね、伯母さんが科学者だからしょっちゅう毒物とか劇物とかが家に運ばれてくるの。それで覚えたわけ」

ロン、ハリー、ハーマイオニ―からお褒めの言葉を預かった の嫌っているドラコまでもが

「お前・・すごいな」と通りがかりにボソッと言った。

そして噂は噂を呼んで はスネイプの授業の破壊者でありながら減点されなかった生徒ととして有名になったのだった。



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