「え?リョウマがヒュウガとどこかへ行った?」

ハヤテはちょっと驚いていた。

「うん、何か星獣剣持って深刻そうな顔してた」

朝食の後、メンバーが居心地のいいコテージの中でぶらぶらしていると

白いドアからヒカルがビックニュースを持って飛び込んできた。

「もしかして星獣剣をヒュウガに返すつもりじゃ・・」

サヤはハッとして言った。

「うん、その可能性はあるかもな・・もともとあの剣を受け継ぐはずだったのはヒュウガだ。

 そのヒュウガが帰ってきて自分には資格がないのだと思って・・」

「リョウマならそう考えたとしてもおかしくない」

「そんな・・リョウマがこのまま戦士をやめるかもしれないなんて」

ハヤテやゴウキはぎゅっと眉を寄せて呟き、はあの時、自らが地割れに落ちなければ

時計の針は狂わなかったのにとさいなまれ始めていた。


海賊が市街地に現れたというモークからの連絡で、コテージにいたハヤテ達と

河川敷で二人だけで話し込んでいたリョウマとヒュウガは慌てて駆けつけていった。


駆けつけてみると、真っ赤なペチュニアが咲き乱れる公園を一般人が悲鳴を上げて

逃げ惑っており、見るからに不気味な髑髏の騎士が暴れまわっていた。


「待て!」

「銀河の守護戦士か!ちょうどいい、鏡の中に閉じ込めてくれよう!」

リョウマ、ハヤテが走ってきたのを見咎めた髑髏の騎士はにやりと笑って

手下を繰り出した。

リョウマは早速、水兵の横っ面を張り飛ばし、ハヤテは足を高く掲げて水兵に蹴りを入れ、

ヒカルはどっと倒れこむと、水兵に足を引っ掛け、ゴウキは豪快に水兵を投げ飛ばしていた。

サヤとは力を合わせてすでに三人の水兵を倒していた。

サヤが水兵の首にチョップを食らわして一本背負いで投げ飛ばし、が水兵の振り上げられた剣を避けて腹に膝蹴りをお見舞いした。

ヒュウガの回し蹴りが炸裂したところで、雑魚兵はあっけなく一掃され、六人は

一箇所に集まった。

「秘儀、鏡封じ!」

気配を消して髑髏の騎士が六人の背後から高くジャンプして

盾を向けた。

「危ない!!」

ヒュウガはハヤテ達に警告を発し、リョウマを連れて走り出した。

しかし、ハヤテ達は逃げ遅れてしまい、盾の中の鏡に閉じ込められてしまった。

「皆!」

離れたところに逃げたリョウマが悲鳴を上げた。

だがまたしても髑髏の騎士が盾を向けてきたので、身の危険を感じた

ヒュウガは実弟を突き飛ばすと右に飛んで円柱の影に隠れた。

髑髏の騎士は突き飛ばされたリョウマ目掛けて大きくジャンプし、

剣を叩きつけた。

避け切れなかったリョウマは左腕を切りつけられ、負傷した彼の前に水兵達が

立ちはだかった。

「リョウマ!」

「怪我したの?」

水兵の頭上を華麗に宙返りして降り立ったヒュウガ、直感で植え込みに隠れていた

が飛び出し、負傷した彼を後ろ手に庇った。

「リョウマ、ここはいったん引くぞ!」

「えっ!?でも!」

「氷の慟哭!!」

ヒュウガと同じことを考えていたも片手を突き出すと、特大の氷のアース

を放って目くらましをした。

髑髏の騎士は盾を前に突き出したまま後退し、避け切れなかった水兵達は

あっという間に氷付けにされてしまった。

「逃げ足だけは速いな」

氷のアースの勢いがやんだ頃、髑髏の騎士は蜘蛛の子を散らすように

姿を消した三人に気づいて言った。

「鏡は全部で三十九枚」

「うむ、ぴったりだ。すぐさま魔獣復活の準備に入れる」

逃げたと見せかけて植え込みに隠れていた

足元に落ちた六角形の鏡を拾い集める髑髏の騎士の独り言を

ちゃんと聞いていたのだった。


コテージの地下室に戻ってきたリョウマは怒って兄の腕を振り払い、

「どうして逃げ帰ったんだ?あそこにはまだハヤテ達が・・」と詰め寄っていた。

「とにかくお前の傷の手当てが先だ」

ヒュウガは落ち着いた様子で、ボックが持ってきてくれたガーゼで

リョウマの血糊を拭いてやった。

「俺の怪我より、皆が先だ!」

リョウマは気が気でなかった。

「後で必ず助け出す」

「でも、場所も分からないのに!!」

「これは香り草の実だ。さっき、海賊の手下にこっそりつけておいた」

ヒュウガは得意そうにポケットから紫色の草の実を取り出して言った。

「モークならこの匂い分かるだろ?」

ヒュウガは振り返ると、背後に植わっている相当な歳の樹霊に尋ねた。

「ああ、それにすでにが動き出している」

モークは精霊である彼女の波動をキャッチして言った。

「手下の一人から鼻が曲がりそうな匂いがする。誰よ〜!この臭い実つけたの?」

まさにその時、一人、追跡調査をしている彼女からモークの元へ

連絡が入り、地下室の壁中にその声が響き渡った。

!」

「な?だからまずはお前の手当てが先だ」

リョウマはその事実に驚き、ヒュウガはにやっと笑った。


その頃、は、ヒュウガがくっつけたあまりにも臭い実のおかげで手下の一人を追けて

町外れの廃工場にやってきていた。

彼女はトタン板の扉がそびえる工場の裏手に回ると、安っぽいガラス窓越しに

中を覗き込んだ。

そこで見たものは、奇妙な魔方陣、儀式の準備におおわらわな水兵達、

その周りを歩き回りながら手下を監視する髑髏の騎士の姿だった。

「三十九人の人間を生贄に魔獣復活を祈れば必ず封印は解ける!」

「ん?貴様、何だその匂いは?」

ここで髑髏の騎士は一人の水兵の頭をつかむと、「おのれ、連中の仕業だな!」

と腹ただしそうに叫んだ。

水兵のバンダナにはヒュウガが密かにつけた香り草の実が

ばっちりと染み付いていたのであった。

「馬鹿者!これだけ匂いが充満していて気づかんとは!」

かっとなった髑髏の騎士は、長剣でばっさりとヘマをした水兵を切り捨てた。

「フン、まあいい。もし乗り込んでくればその時が連中の最後だ!」

髑髏の騎士はかっとなった頭を冷やすと、黒い鉄製の箱から三体の人形を取り出して嫌な笑みを浮かべた。

はもう用はないとばかりに、ガラス窓から首をひっこめると、

モークに今しがた見聞きした情報の全てを送った。



、大丈夫か?」

「安心して。誰にも見つかってないから。ハヤテ達はまだ鏡の中。今、奴らが儀式を行ってる。急いで!」

モークからの連絡を受けて廃工場にやってきたヒュウガは

トタン扉の脇から飛び出したを気遣って言った。

「行こう、兄さん!」

一緒にやってきたリョウマは二人に頷いてみせると

廃工場の開け放たれたトタン扉の中に足を踏み入れた。

「気をつけて!あいつは見張りの水兵を置いていない!」

「何だって?」

がヒュウガの腕に軽く手を置いて警告した時、緑色の不気味な煙があがり、

そこから鎌をたずさえた死神が現れた。

リョウマ、ヒュウガ、はたちまち戦闘の構えを取った。

死神の振り上げられた鎌を上体を低くして避け、リョウマとヒュウガは

足を高く掲げて蹴りを入れた。

だが、それも右腕や左腕で全て受け止められてしまい、

容赦なく向かってきた鎌が危うく顔をかすめ、紙一重のところで避けていた。




















Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!