とうとう投石器から飛んできた丸石が頑丈な遺跡の入り口を塞いでしまった。

ナルニア人達は敵の思惑通り、これで完全に退路を断たれた。

スーザンは飛んできた丸石の余波を受けて持ち場から転落しかかったが、

トランプキンが間一髪、落ち行く彼女の腕をつかみ、さらに事態に気付いた

が渾身の力をこめて引っ張り上げてくれたので大事には至らなかった。

神殿跡ではナルニア人達がカスピアン王子、ピーター王を守ろうと懸命に

敵の騎馬隊の進入を食い止めていた。

命を投げ打ってまで戦おうとする忠誠心に心を打たれた二君は覚悟を決めた。

「皆殺しにしてやろう」

ソベスピアン卿の腹黒い笑みを見止めたはむかっ腹が立ち、

意地でもそうはさせるかと弓を背中に背負うと遺跡の土台石からジャンプした。

「ピーター王、カスピアン王子、やりましょう」

緑の芝を蹴ってやってきた彼女は神殿跡に佇む二君に力強く呼びかけた。

彼らも力強く頷いた。

「僕はあなたを守り抜きます」

少し遅れてやってきたエドマンドは手にしていたボーガンを投げ捨てると

サッシュからすらりとした長剣を引き抜いて掲げた。

「皆、一緒よ」

スーザンは矢筒から矢を取り出すと長弓に番えた。

ピーターが真っ先に走り出した。

カスピアン、エドマンド、、スーザンがその後に続いた。

それは壮観な眺めだった。

君主達に続けといわんばかりに忠実な森の住人達が武器を手に手に駆け出した。

エドマンドは走っていくと敵の胸に蹴りを入れ、長剣を振り下ろした。

カスピアンは長剣を振り上げ、かつての部下の横っ面を張り飛ばした。

エドマンドは女王を守る騎士よろしく、彼女に近づこうとしたテルマールの軍人達を

ばさりばさり切り捨てていた。


今、トランプキンは自分より相当背の高い軍人達を相手に戦っていた。

しかし、あまりの身長差と腕力の違いに彼の短剣が吹っ飛ばされ、
顔面を長剣の柄で殴られてしまう。

あわやのとこでが錫杖を片手に参戦した。

彼女は背後から敵の鎧の弱点である腰と首元を錫杖で殴打すると、

蹴りを入れて吹っ飛ばした。

いいあんばいに、近くにいたカスピアンが

別の角度から彼女目掛けて乱入しようとした敵兵目掛け、短剣を投

げつけて防いでくれた。

は地面に転がっていたトランプキンを助け起こすと、

今度は背中にしょっていた銀の弓に

銀の矢を番え、カスピアンを二人がかりで殴りつけていた

騎兵目掛けて一矢放った。














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