ここは私立盟王学園。

都内でもけっこう有名な進学校で男子は紫色の詰襟に、女子は真紅のブレザーという

お洒落な学生服がトレードマークだ。

ここに通うのは人間だけではない。

妖狐一匹と氷女一人。

二人が顔を合わせるのはそう遠くはなかった。

「しまった・・さん、俺、今日弁当持ってくるの忘れちゃったんだ。悪いけどちょっと分けてくれないかな?」

お昼時、教室でが一人で弁当を食べていると、突然、隣席で鞄を探っていた南野秀一に肩を叩かれた。

いきなり声をかけられ、思わずは箸をとめた。

(全く、あなたみたいな学年トップの秀才様がそんなヘマするわけないでしょうが・・)

はやれやれと思って、彼の顔を見つめた。

嘘偽りもない親しみのこもった爽やかな笑顔。

(どーやら本当みたい。しょうがない。わけてやるか・・)

は「いいよ。外で食べよう」と小声で返答すると、がたりと椅子を引いて立ち上がった。

背後から、や南野秀一に思いを寄せる男子生徒や女子生徒の突き刺さるような視線が痛いが気にしない。

「すごく美味いよ。これ全部君が作ったの?」

さんさんと陽のあたる屋上で、南野秀一はスズキの香草焼きをほおばりながら褒めちぎった。

「そう。家、両親いないから」

「じゃあ、もしかして一人暮らしなの?」

「時々、掃除のおばさんが来てくれるけど・・」

は他のおしゃべり雀な女生徒達と比べて、あまり笑わないし、極めて無口だ。

それは彼女の育った家庭環境のせいかもしれない。

それに彼女は間違いなく俺と同じ妖怪だ。

南野秀一こと、妖狐蔵馬は彼女を仔細に観察しながらそう思った。

「とても美味しかった。また機会があれば一緒に食べてもいいかな?」

「それはどうかしら?他の女の子の気持ちも考えてあげて」

はパタンと弁当箱の蓋を閉めながら言った。

「え?」

「あなたのファンクラブ!何でああうざったいのかな?」

返答に困っている彼の間をすり抜けるように彼女は行ってしまった。


こんな風に彼女の表の顔は普通の女子高生だったが、裏の顔は人間界の高価な宝石ばかりを狙う強盗だった。

ガシャ−ン!!

擦りガラスの両張りのドアが華々しく割れる音が深夜の宝石店に響く。

店内に設置されている監視カメラやブザーなどなんのその、そんなものは一睨みで凍りつかせてしまう。

そして、ショーウィンドーのガラステーブルを、氷柱で出来たアラベスク模様の峨嵋刺(長さ30cm程の鉄の棒、先端が鋭く尖っている)で

叩き割ってしまうと、きらりと輝くサファイヤ、ルビー、アクアマリンの首飾りや指輪を盗み出した。

そして、黒のマントに身を包んだ彼女は、盗品を懐に隠して嘲笑うかのように店から逃走した。


「隣町の宝石店、またやられたんだって・・」

「防犯カメラには何も写ってないし、ブザーは何も反応しないし、警察は幽霊でもなきゃこんな完璧なことは出来ないって」

翌日の宝石強盗の鮮やかな手口を乗せた新聞記事に盟王高校の生徒達は、眉をひそめながら話していた。

登校してきた南野秀一は薄々感づいていた。

これはそんじょそこらの人間の仕業じゃない。恐らく凄く腕の立つ人間か、そんなことがいともたやすく出来てしまう妖怪か。

こんな時、少々遅れて登校してきた彼女の機嫌がいいのも妙に気になった。

まさかと思うが、彼女がたまに世間を騒がせる宝石強盗なのだろうか。


遂に始まりました〜幽白連載です。
ところどころすっ飛ばした感じで進めていきますがよろしくお願いしま〜す!!

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