魅由鬼は今の雪花の的確な攻撃に焦り、このままでは勝ち目はないと悟ったらしい。

額にかかる髪の毛を一つまみすると、そこからしなやかな髪の毛の鞭を繰り出した。

「これでどうだ?手も足もでまい!!」

魅由鬼の放った鞭が素早く孤を描いて雪花の峨嵋刺に巻きつき、その動きを封じた。

ホッホッホと高笑いする魅由鬼に、雪花は武器を取られまいと鞭をつかみ、

引っ張った。

両者の一歩も譲らない睨み合いが続いた後、雪花は目にも留まらぬ速さで

ラインストーンがちりばめられたデニムジャケットに隠していた、もう一本の峨嵋刺を取り出して鞭を叩き切った。

峨嵋刺が巻きついた鞭はその反動で、魅由鬼の元へ真っ直ぐに飛んでいき、

彼女の左肩にぐさりと突き刺さった。

「おのれ・・もう一本あったとは・・」

峨嵋刺が巻きついた鞭を避けそこなった魅由鬼は悲鳴を上げる間もなく、

無様に吹っ飛ばされて仰向けにひっくり返った。

「死ぬ気でかかってこいといったでしょう?」

雪花は峨嵋刺を構えたまま、冷たく言った。

「確かにね。だが、まだ勝負はついていないわよ!」

左肩にしっかりと突き刺さった峨嵋刺を抜いて、脇に投げ捨てると魅由鬼はよろよろと

立ち上がった。

「あ~、もうお前やめとけ・・今ので完全に雪花の勝ちだぜ」

ここで座り込んで見物していた幽助はのんびりと言った。

「黙れ、あれしきでまだやられては・・」

「しつこいぞ、姉ちゃん!」

峨嵋刺を手にくるりと背を向けた雪花を狙って、拳を振り上げようとした

魅由鬼に彼はさっと飛び出て立ちはだかると彼女の腕をつかんだ。

「さっきからお前の負けだと言ってるだろーが・・それはお前も内心分かってるはずだぜ」

「その証拠に、雪花のスピードに全然ついていけてねえじゃないか」

「黙れ、もう一勝負!あっ・・」

幽助はにやりと笑うと、彼女の腕をがっちりと押さえたまま、開いた方の手で

女妖怪のふっくらした胸と下腹部を弄った。

「やっぱりな・・」

かっとなった女妖怪に殴り飛ばされた幽助はゆっくりと立ち上がった。

「何が?」

雪花、手加減せずにやっといて正解だったな。こいつは男だ」

「は?お・と・こ?この人が?」

彼に駆け寄った彼女はぽかんとして次の言葉を失った。

「胸はパットか注射かで膨らませてあるだけだ。下にはちゃ~んと・・」

「いい!それ以上言わなくていいですから!」

幽助の爆弾発言に雪花は真っ赤になって彼の口を制した。

「じゃこの人はオカマ・・いや、ニューハーフの美女妖怪・・」

雪花は改めて冷静になると、じろじろと敵の美しい容姿を観察し始めた。

「女、お前もそれ以上言うなっ!!」

恥辱にまみれた魅由鬼は、胸をしっかりと両腕で抱きしめて大声を張り上げた。

「それに差別だわ!私が女だったら手加減して、男だったら手加減せずにぶちのめしてたわけ?」

「私の体は男でも、心は女よ!」

「ざけんじゃねえやい!」

都合の良い時に女であることを引き合いに出す魅由鬼に、幽助はぶちぎれて胸倉をつかんだ。

そして、彼女をひょいと担ぐと一本背負いで天井目掛けて投げ飛ばした。

「てめえが男なら中途半端な言い訳すんじゃねえ!」

「心が女なら、体も両方きっちり女になっちまえ!!」

幽助の決定的な一言に魅由鬼の目は潤んだ。

「ま、負けたわ・・」

そして、峨嵋刺を手に哀れに思って近づいてきた雪花を一瞥すると

ふっと意識を失った。

「やったな、雪花ちゃん!それにしてもこの姉ちゃん、ほんとに男かよ・・俺にゃどーしても信じられねえが・・」

魅由鬼の真紅のチャイナドレスの裾から除く美脚をじろじろと眺めやりながら、桑原は呟いた。

「ちょっと失礼・・ちょっとだけ・・」

桑原はチャイナドレスのひらひらした裾を持ち上げて問題の物体を

確認しようと試みた。

「このスケベ、やめんかい!!」

すかさずぼたんのかいが桑原の頭を直撃した。


「コエンマ・・何だか(いろんな意味で)すごい人達と組ませてくれたわね」

雪花はふーっと長いため息をつくと、皿屋敷中学ナンバーワン、ナンバーツーの不良二人を

見やって呟いた。


「しかし、あんたも初任務にしてはすげえよな。魅由鬼を倒すまでに数分しかかかってないぜ」

だらだらと続く長い回廊を駆けながら幽助は、隣にぴったりと並んで走る氷女と人間のハーフの

美少女に労いの言葉をかけていた。

「それに前回の岩本の時は冷気を使ったけど、あのオカマ妖怪には一切使う必要なかったしね」

「ええっ、冷気使わずにあれだけであの姉ちゃんをあっという間にのしたんすか?」

それに「すごいっすね~!」「すごいっすね~!」を連呼して、年下の桑原が鼻の下を伸ばしてほめてくるので、雪花はちょっぴり嬉しくなった。


一方、古い洋館のてっぺんの塔から連れ出された雪菜は自分と同じ同族の少女の冷気と

二人の人間の霊気を感じ取っていた。

脇を垂金のボディガード二人にがっちりとガードされ、目の前にはがたいのいい戸愚呂兄弟

がいるため、桑原や雪花に念を飛ばして意思を通わせることしかできなかったが。


(お願い、早く逃げて!垂金は妖怪集団を雇ったの・・)

(あなたは人間だし、あなたは私と同じ氷女の血が半分流れてるけどとても勝ち目は・・)


二人に語りかける雪菜は胸がつぶれそうなほど言い知れぬ不安に押しやられていた。
















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