妖怪退治には毎日の修練が欠かせない。

今日も達は朝早くから起き出して忍術の稽古に励んでいた。

稽古といっても、木刀やダミーの手裏剣を使用するのではなく、実際の戦闘で使用する

手裏剣や忍刀を使った本格的なものである。

よって、ちょっとでも気を抜けば、鉄製の手裏剣や忍刀で思わぬ怪我を

負う危険性があるので皆、真剣に取り組んでいた。

、ジライヤが投げる龍手裏剣やガマ手裏剣を忍刀で打ち落とすサスケ、サイゾウ、

また、サスケ、サイゾウの強力なジャンプによる飛び斬りを

忍刀でうまく受け止めて跳ね返すジライヤ、はこの日も気持ちのよい汗をかいていた。


「よし、休憩!」

サスケの一言で皆、忍刀と棒手裏剣、車手裏剣をしまった。

「あれ、そういやセイカイと鶴姫は?」

が先ほどから姿の見えないくノ一と男忍びをきょろきょろと目をこらしながら言った。

「ああ、さっき鶴姫がなんか探しに行ってたけど」

サイゾウが「あ〜暑いっ!」と額の汗を拭いながら答えた。

運動した後の風が今日は特に心地よく肌をなでるように感じられる。

黒の忍び装束に身を包んだ男忍び衆三人と、暗緑色の忍び装束に身を包んだくノ一は

誰もいない運動公園の枯れ草の上に身を投げ出して、しばらくまどろむことにした。


一方、その頃、セイカイは一人稽古を抜け出して海に面したほら穴でサンドイッチをほおばっていた為、

鶴姫から大目玉を食らっていた。

セイカイは鶴姫に一輪の矢車菊の花を差し出し、彼女の機嫌を直すと、その隙に

遠くのハンバーガーショップから漂ってくるチーズバーガーの匂いをかぎ分けて

立ち去ってしまった。


彼はその道中、ハンバーガーショップのカウンターで出くわした餓鬼憑きと乱闘になり、

危うくチャーシュー巻きにされて食われるところだったが。


「嘘、消えた!?」

「あいつ、逃げやがったか・・」

「たくっ、何て逃げ足の速い・・」


セイカイを助けに入った達は、連結型オートバイで餓鬼憑きをぶっ飛ばそうとしたが、

あと一歩のところで逃げられてしまった。

皆は変化を解いて、普段着に衣替えして餓鬼憑きが消えた辺りに集まった。


「ほっといたらあいつに食べ物根こそぎ持ってかれちゃうじゃない!」

サイゾウがまずそうに言った。

「どうする?」

鶴姫も皆の顔をさっと一瞥して言った。

「決まってるじゃんか、何か食おうぜ!」

「はい?何ですって?」

「あんたね〜!今がどういう場合が分かってるの?」

こんな時でもお気楽なセイカイの発言にと鶴姫はずっこけそうになった。



それでもセイカイの意を汲んで、近くのイタリア料理店に入ることにした六人の忍びの衆であった。

「セイカイ、いくら何でもそれは食いすぎじゃねえか?」

ボローニャ風スパゲティをフォークにからめていたサスケは、友人の異常な食いっぷりにちょっと顔がひきつっていた。

「いくら大食いだからと言って・・それじゃお腹壊すわよ・・」

「だって、もうそれ10皿目じゃない?」

セイカイの左横に座ってボローニャ風スパゲティをすすっていたは、一応忠告してみたのだが、

「そんなこと言ったって、俺にも分かんねえし、何か止まんないんだよ〜!」

と言って、付け合せのクレソンの葉にまで手を伸ばすセイカイの耳には入らなかった。

「な〜に言ってんの!あんたは、ほんとに食べることと可愛い女の子のことしか頭にないんだから」

鶴姫は手馴れたものでここぞとばかりに、セイカイの弱点二つを突っ込んでやった。

その直後、セイカイの身体に異変が起こった。

彼の身体は風船のようにどんどん膨れ、横や縦に伸びていき、とうとう巨大化して店の天井を突き破るまでに成長した。



食事を楽しんでいた客達はたちまち悲鳴をあげて逃げ惑い、店の外へ走り出た。

セイカイの身体は今や、高層ビルと並ぶほどでかくなっており、もう誰にも手がつけられなかった。

サスケ、サイゾウ、鶴姫、ジライヤ、達は大急ぎで近くのビルの屋上に

駆け込み、巨大化したセイカイにやめるように呼びかけた。

だが、彼は自分でもその異常な食欲をコントロールできないらしく、心底困り果てていた。



「忍法、透け透け望遠鏡!」

サスケは急に真面目な顔をして、上着のポケットからちっちゃな望遠鏡を取り出した。

そして、隣にいた鶴姫の平べったい胸をまじまじと覗き込んだ。

「嫌、何見てんのよ!このスケベ!」

一瞬遅れて事態に気づいた鶴姫は真っ赤になって、サスケを突き飛ばした。

「どうだった?」

「(胸が)ない・・」

「そう・・」

ちゃっかり結果を尋ねたサイゾウに至極残念そうにつぶやくサスケだったが、

「セイカイ、それ何とかならないの!?」と呼びかける可愛い声に

気づいて気を取り直し、サイゾウの隣にいたにレンズを向けた。

「(胸が)ある・・」

サスケは望遠鏡をちょっと離すと、夢見心地で呟いた。そして、なぜか鼻をおさえた。

彼の鼻からは一筋の赤い液体が伝っていた。

「えっ、どれくらいよ?」

それを聞いたサイゾウは、サスケのふらつく手から望遠鏡をひったくると、

すかさずのふっくらした胸を見た。

「最低、この馬鹿〜!」

セイカイのことが気がかりで、気づかないだろうとたかをくくっていたサイゾウは

手痛いしっぺ返しを食らった。

彼女はサイゾウにきつい平手打ちをお見舞いし、真っ赤になってジライヤの

ところへ走って逃げた。




今回、微妙にエロいです(* ̄▽ ̄*)~゚すいません〜
でも、隣にヒロインがいたらサスケなら必ずやるだろーなと思います。
今回の一番の被害者はサイゾウです。





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