のんびりとアイスを舐める三人の背後では、でっぷりと太ったアイスキャンデー売りが

不気味な笑みを浮かべ、「サスケとセイカイ、それに龍姫、美しいコレクションになりそうだ」と呟き、

新鮮な獲物を狙う狼のように、舌なめずりしていた。


「美味そうだ・・」

とうとう我慢できなくなったアイスキャンデー売りは、次の瞬間、恐ろしい

妖怪の本性をむき出しにし、三人に襲いかかった。


不穏な雲行きを眺めていたサスケの手に、ぴちゃりと雨の雫がかかったのはそんな時だった。

「雨?」

「うわっ!」

「降って来たよ!」

「すっげ!」

「何よ、傘持ってないのに~!」

途端にサスケ、セイカイ、龍姫はぶつくさ言い、腰掛けていた流木から

はじかれたように立ち上がった。

三人が急に立ち上がっておのおのの方向に走り出したのと、前をよく見ていなかった

ヌッペフホフは流木に躓いて、派手にすっ転んだ。

「あ?お前はヌッペフホフ・・」

「あ、ああ~っ!!」

「また性懲りもなく顔盗みに!」

その派手な音に、サスケ、セイカイ、龍姫が首を傾げて後ろを振り返った時、

顔舐め妖怪はくやしそうに歯軋りすると、ほうほうのていで妖術で姿をくらまして逃げてしまった。

「あいつ、もしかして・・雨だと思うように力が出ないんじゃ・・」

ふと龍姫は溶けかけのアイスキャンデーと、しょぼくれたヌッペフホフが消えた波打ち際を

見比べながら呟いた。


本当に敵が雨に弱ければ、状況は水の忍術を得意とするサイゾウに有利になる。

龍姫からその言葉を耳に挟んだサスケ、セイカイはそう思いながら猫丸まで走った。

猫丸が停車している河川敷ではサイゾウが、涙に暮れるあの少女を慰めているところだった。

鶴姫から理由を聞き出すと、盗まれて平べったい顔の跡に絵の具を使って

少女漫画のお姫様のような顔を書き込んだまではよかったものの、このどしゃぶりの

雨で急に絵の具が剥がれ落ち、道行く通行人に大声で笑われたり、気味悪がられたりしたとのことだった。

少女は心からわがままで向こう見ずだった自分を反省し、サイゾウの腕にしがみついて何度も、何度も詫びていた。


「ヌッペフホフは俺達の顔まで狙ってるぜ」

「アイスキャンデー売りに化けてな・・」

セイカイやサスケが鶴姫、ジライヤに最新情報を伝える中、龍姫は泣きくれる少女

とサイゾウの元へ行った。

少女は龍姫の気配を感じると、何故、彼女があの時、自分の頬を引っ叩いたのか

理解し、泣きながら謝ってきた。

「サイゾウ、今、いい?」

ようやく泣き止んだ少女を優しく引き剥がし、「ちょっとこのお兄ちゃんと話があるから・・」

と彼を連れ出すと、彼女は彼に何やら耳打ちし始めた。

「私の考えが正しければ、あいつは水に弱いはず」

「それに俺は一度顔を盗まれてるから・・」

龍姫の持ってきた情報を頼りに、サイゾウは霧隠の子孫らしく、実に忍らしい作戦を考えついたのだった。





「Hey,アイスキャンデー一本!」

所変わって、カランカランと鳴り響く鐘を目当てに、オリーブクリーンのタンクトップ姿のジライヤがさっそうと飛び出した。

「イクラデスカ?」

「いや~お代はけっこうですよ。その代わり・・」

「欲しいものはお前の顔だ!」

アイスキャンデー売りは不気味な笑みを浮かべると、ヌッペフホフの姿に早代わりし、

あっという間にジライヤの顔を舐め盗った。

「へへへっ、ご馳走様~」

ヌッペフホフは上機嫌で腹を叩いた。

だが、それはジライヤ本人ではなく、彼に化けたサイゾウそのものだった。

彼はその隙を逃さず、高くジャンプし、きつい蹴りをお見舞いして降り立った。


驚いたヌッペフホフは自転車ごとひっくり返った。

「やったネ!」

「ああ・・」

ごつごつした岩場から走ってきたジライヤが嬉しそうに、サイゾウの肩を叩き、

続々と隠れていた岩場から残りの忍が集まってきた。

「そ、そんな馬鹿な・・ジライヤが、ふ、二人!?」

「は、腹が~!!」

ヌッペフホフはだみ声で喚くと、急に消化不良を起こして、ぺっと何かを吐き出した。

「こ、これは~!!」

ヌッペフホフは吐き出したジライヤそっくりのお面を見て慌てた。

「顔写しの術!」

オリーブグリーンのタンクトップに、オフホワイトのジーンズでジライヤそっくりに

変装していたサイゾウが、パッと被り物を取り、得意そうに言った。

「まんまと罠に引っかかったな!」

「うぬ~・・お前はサイゾウ!」

「貴様を倒して盗まれた顔を返してもらうぜ!」

「そうはいかん~!」

腹立だしげに喚くヌッペフホフに彼はびしっと宣言した。






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