五人は今、廃材置き場に来ていた。

五人は抜き足差し足でトタン板の扉の前まで行き、ススキの繁茂する草むらに

身を隠して様子を伺った。

すると、それを待っていたかのように、草むらをはうように

あとからあとからひも状になったぼろ布がやってきて、

達の身体に巻きついて締め上げた。

「何よ、これ?あああっ!」

達はそのまま空高く舞い上げられ、草むらに叩きつけられた。

うねうねと波打つぼろ布の正体はドロドロで、彼らは驚きと痛さのあまり

起き上がった達にいっせいに手裏剣を投げつけた。

達は間一髪で抜け身の術で、その場に着ていた衣服だけ残して逃れ、

地中や草むらから奇襲攻撃を仕掛けた。

サスケ、ジライヤ、サイゾウは豪快に忍刀を奮い、ドロドロ達を蹴散らしていた。

一番最後に隠れていた草むらからはいだしてきたは、忍刀を逆手に構えたまま、滑るように草むらを走っていき、

前方から向かってきたドロドロの槍を上手く受け止めて横へ弾き飛ばすと、「やあっ!」と掛け声をあげて

後ろや左方で待機していた他のドロドロもろとも、素早く上体を回転させて叩き切った。


五人が表で雑魚兵と格闘している頃、廃材置き場で布団巻きにされていたセイカイも

自力で拘束を解き、印籠で戦闘衣に変化すると白うねりを飛び蹴りにして出てきた。

六人全員揃った忍びの衆達は怒った白うねりが繰り出したぼろ布の舞で、混乱させられたが、

お返しに消え身の術で、白うねりのぼろ布叩きを翻弄し、現れた場所で素早く六人タワーを組むと、

高い位置から入り乱れて宙を舞い、次々に忍刀で敵に飛び斬りを食らわせた。

後は恒例の隠流フットボールだ。まず、忍びの衆のリーダーである鶴姫が真っ白なボールをたずさえ、大きくジャンプして

にパスした。ここで受け取ったボールの色は彼女の忍び装束と同じ緑色に変わっている。

「ジライヤ!」「サイゾウ!」「サスケ!」とボールを受け取る人物が変わるたびに、ボールの色が

黒、青、赤と変化し、最後にボールを受け取ったサスケが、タッチダウンをして、残るセイカイが白うねり目掛けて

シュートを決めた。

ボールは見事、大爆発を起こして白うねりの左胸に命中し、彼はふらふらと倒れて果てた。




「わあ、リサイクルの品を持ってきて下さったの?」

白うねりを倒した後、フリーマーケット会場では責任者の女性が嬉しそうにサスケ達に向かい合っていた。

「世界の恵まれない子供たちにと思って・・少しでもお役に立てれば・・そうだよな、お前ら?」

とかなんとかカッコイイことを言って、仲間とともにダンボール箱一杯の着古した服を差し出しているのはサスケだ。

達も調子を合わせてうなずいたりしている。

「それで、セイカイのことでちょっとお願いがあるんですけど・・」

頃合を見計らって鶴姫がその責任者の女性に申し出た。

は「え?そんな二人の間を取り持つようなこと簡単に言っちゃっていいの?」「セイカイの本命は鶴姫じゃないの?」とすごく

複雑な心境に陥り、サスケの後ろにこそこそと隠れて「え、だめだ、俺、やっぱし言えねえ・・」と尻込みするセイカイを

「何、今更言ってんの!」「ほら、男らしく行けよ!」と後押ししている仲間たちのことなど

とてもとても目に入らなかった。



「あの・・セイカイがあなたと友達になりたいんですって!」

結局、彼は恥ずかしいのか照れくさいのか、サイゾウ、ジライヤが「行け行け!」と

はやしたてているのに「あの・・」しか言えない様子なので、代わりに鶴姫が彼の気持ちを

代弁してやった。

こんな綺麗な責任者の女性だから、かっこいい彼氏の一人ぐらいいて当然じゃないかと

はちょっぴり不安に思ったが、意外なことにその女性はセイカイの申し出を快く受け取ってくれた。

ただ、バッドタイミングなことにこれから海外へ渡航する予定だったが。

今日の幸運男、セイカイの横っ腹を突っついたり、頭をくしゃくしゃになでまわしたりして

踊り狂っていた六人の若者たちは一瞬にして固まった。

一番ショックを受けたセイカイは古着の山に崩れ落ちて嘆いていた。

「可愛そうに。これでは当分立ち直れないわね・・」

は一人、古着のつまったダンボール箱を抱え、「二兎追うものは一兎も得ず」

はこのことかと妙に納得していた。


次回はいよい酒天童子兄弟とくノ一組登場〜♪ご期待ください〜

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