時々近くの山から吹き降ろされる風がカントリーハウスの埃っぽい赤土を
巻き上げた。
それに混じって太陽はじりじりと照りつけ、今日はとても蒸し暑かった。
白いペンキがはげかかった木戸がきしむ音が聞こえたので、二人ははっとしてそちらを見据えた。
中から出てきたのはジライヤと同じ短く切った黒髪の、こざっぱりとした空手着をまとった大柄な男だ。
「センセイ・・」
「やっぱりあれはセンセイだったんですね・・」
ジライヤは心から切なそうに呟いた。
「やはり戻ってきたな、ジライヤ」
大柄な男はとても厳しい顔をしていた。
「お前たちがここに来るのをどんなに待っていたか」
その時だ。ガリの後ろからもう一度白い木戸が押され、中からと同じこげ茶色の長髪を
なびかせた女が現れた。
「お前は!」
その女を見た瞬間、はあっと声を上げた。
「この間、私を殺そうとしたくノ一組と一緒にいた奴!」
「なら忍の巻云々の話は全部嘘だということね・・」
はぶるぶると拳を握り閉め、耐え難い怒りに駆られて叫んだ。
「嘘ではない・・お前達二人分の忍の巻は本当にこの先の山の頂にある」
ミラは怒りに打ち震えるを牽制するようにやんわりと言った。
「だが、それをお前達に取られては困るだけの話だ」
ガリはジライヤとをぎろりと交互に睨みつけながら警告した。
「センセイッ!!」
「Don't go!!」
ジライヤはたまらなくなって駆け出そうとしたが、ははやる彼の腕をつかんで
ひきとめた。
「keep away!(近寄るな)」
ガリは凄みのある声でかつての弟子を叱った。
そして、彼はえいやっと気合を入れると、不気味な妖術で鋼鉄製の頑丈な防具で全身を固めた。
「センセイッ・・」
純真なジライヤには目の前の出来事が到底信じられなかった。
「何てこと・・」
ジライヤの腕につかまりながらは嘆いた。
「私とミラはお前達を倒しに日本にやってきた!」
「妖怪ヌエに頼まれてな」
「分かったか?私達は暗殺者の一団。、刀を抜け!」
「行くぞ、ジライヤ!」
二人はそれだけ言ってしまうと、足を高く掲げ、ジライヤとに蹴りを入れてきた。
はその蹴りをさっと前転で交わし、ジライヤは上体を低くして避けた。