3-裏






「寒い・・・」
口の中で呟く。未だ十分に温まらない。指先が冷たく、知らず知らずに身体を丸めていた。
「・・・・・・・・・・っ・・・・・」
歯を鳴らし、全身を震わせる。身を硬くし、なるべく体温を逃がさぬよう縮こまる。
頬に指が触れた。触れたところから暖かさが流れ込んできて、思わず安心の溜息を付く。
「キャロル・・・未だ寒いか?」
「・・・・・ええ・・・」
メンフィスの声に心配する色が含まれていて、なぜか素直に答えていた。
どうしてかしら・・・・こんな目にあわせた人だというのに。
衣擦れの音がして、背後に暖かい男の体を感じる。あっと思う間もなく、キャロルの身体はメンフィスの胸の中にすっぽりと捕らえられていた。
「動くな・・・先刻は済まなかった・・・」
耳元で囁くとそのまま瞳をを閉ざし、動かなくなる。
まるで親鳥に守られた雛のような温もり。逞しい胸の温かさが冷えた身体を暖める。
心地よさにとろとろ眠り、はっとする。此処で眠ってしまったら朝になってしまって・・・
一気に赤くなる。
腕から逃れようとしたが解けない。いつの間にかしっかりと捕らえられていた。
「メンフィス、もういいわ。温まったしナフテラを呼んで。」
「嫌だ・・・もう少し・・・」
「ってもう夜も遅いし。」
「明日にはお前は何も覚えておらぬだろう。もう少しだけ・・・・」
黄金の髪に口付けし、白い項に滑らせる、啄むように唇を当てると細い肩が震えた。
「あっ・・・」
白い身体を反転させ、正面から腕に包む。お互いの胸が合わさってどきりと音を立てた。
「キャロル・・・・綺麗だ・・・」
「あ・あの・放して・・・」
何とか逃れようともがきながら懇願する。
「・・・・・・・」
メンフィスが黙って見つめている。その瞳が怖ろしい。
「キャロル・・・此処で私のものになれ。」
「!!いっ・・・・・」
声にならなかった。メンフィスが口付け、キャロルの悲鳴を飲み込んでしまう。
「嘘でしょ、貴方はアイシスと結婚するんだから。それにいきなりそんなこと言われて、はいと言える訳ないじゃない。」
「姉上とは結婚せぬ。お前が欲しい。」
「こんなときに冗談はやめて。貴方、酔ってるわ。」
「酔ってなど居らぬ。ウアジェトの接吻から解放されたときからずっと考えていた。どうやって伝えようかと。
 私を助けても、お前には何の得にもならぬのに・・・」
「目の前で人が死ぬのが嫌だっただけよ。助けられる人を助けるのは当たり前じゃない。
 それが偶然貴方だっただけ。二人の兵士は助けられなかった。間に合わなかった。」
「それでもお前は私を助けた。だから決めたのだ。お前を妻にすると。」
「それは愛しているって事じゃないわ。」
「もう決めた。この状況ではもう逃げられぬ。大人しく私の愛を受けよ。」
「いやっ・いやよ。」
「それ以上大声を上げると誰が聞きつけるか分からぬぞ。・・・・・どちらにしろもうお前は私のものだ。この有様でどう申し開きをする?」
「!!酷い、酷いわ。」
「何とでも言うが良い。私は欲しいものは必ず手に入れて来た。今までも。これからもだ。」





男の唇が肌を滑って行く。誰も触れたことのない白い胸に点々と紅い花びらが散って、知らない感覚ににキャロルが呻く。
「あっ・うっ・ううっ・・・や・いやっ・・・」
「キャロル・・・・・」
宥めるように精一杯優しく呼んでやり、安心させるように滑らかな頬を撫で、優しく接吻を繰り返す。
今までの女に、こんな優しい愛撫をしたことなどなかったと、ふと思った。
これが愛しいということか。女を慈しむということか。
大切にしよう。この世の全ての富を与え、栄誉を授け、何一つ不満のないようにしてやろう。
その身を飾り、大勢の者に傅かれて私の手の中で咲き誇るが良い。
「嫌よ、そんなものいらない。欲しくないわ。私が欲しいのは、家族の元へ帰る方法だけよ!」
「・・・・・!」
男の行為が荒々しくなった。もがくキャロルの肩を押さえつけ、白い胸を唇に含む。
「吸い付き、転がし、歯を立てる。大きく音を立て、未知の感覚にキャロルを引き込んで翻弄する。
「あっ・あう・んっ・んんっ・くっ・くうんっ」
「キャロル・・・・」
何度も何度も名前を呼んで、繰り返し愛撫する。怯える白い肢体を少しでも宥めてやろうと暖かい掌で撫で上げる。
唇を塞ぎ、足の付け根へと手を伸ばす。
キャロルが紛れもない恐怖に引きつった声を上げた。
「んうんっ!ううっ・ん――!!」
「そうだったな・・・お前は男を知らぬのだった・・・怖いか?」
少女が胸の下で、歯の根も逢わないほど震えている。
寒さではなく、恐怖にがたがた震えながら涙を零す。
「やめ・・・やめて・・・・こ・こわい・・・こわいの・・・」
「・・・分かった・・・今はやめてやろう。だが私の腕の中から出ることは許さぬ。今宵一夜を私と共に眠れ。」
深く口付け、舌を絡める。口内を犯しながら胸を愛撫し、巧みな指技でキャロルを翻弄する。
摘み上げ、擦り、転がし、突く。
「あ・ああん・んっ・んっ・くっ・くっ・くうんっ」
もう一度咥えられた。先刻の感覚がさらに大きくなって、羞恥と混乱と恐怖でもうどうして良いか分からない。
「くっ・くうん・うっ・うう・うんんっ・やめ・もうやめ・あ・ああ」
ただ意味もなく呻き、か細い声でやめて欲しいと懇願するだけだった。





夜明けの空気が肌を刺す。瞳をを開いたキャロルは衝撃の事実を突きつけられた。
一糸纏わぬ素肌に、褐色の腕が絡みついている。
昨夜はメンフィスに飲めない酒を飲まされて、それから何が有ったのか。
項に、肩に、胸に、幾つもの紅い花びらが散っている。
呆然と座り込むキャロルにファラオは言った。
「抱いては居らぬ・・・・・。だが誰も信じぬぞ。これでお前は私のものだ。」
虚ろな顔を仰向かせ、ゆっくりと口付けて抱きしめる。





そして女官長と侍女達はファラオの腕の中の少女を見つける。真実は夜の闇と共に封印され、事実だけが白日の下に晒される。
キャロルは側室としての扱いを受けることになった。





                                                                     END





                           え〜と。いささかくどいかなと思いつつ。王様が娘さんをお持ち帰りしてしまいました。
                           未だ余裕が有りますので、王様はちょっと味見しただけ。
                           さて、どうやって頂きますして貰おうかしら(爆)
   





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