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16・禁断に陥ることの罪
「キャロル。水を持て。」
「はい。」
「出かけるぞ。付いて参れ。」
「はい。」
「「夕食は共に摂る。横に座れ。」
「有り難うございます。」
ファラオは何時頃からか、白い少女を片時も放さなくなった。ナイルの辺で見つけて直々に連れ帰ったとかで、
侍女として遇している。
表面上は。
実際には熱愛して熱愛して、側にいることをやっと認めさせた。
人前では侍女として扱うこと。決して妃として扱わぬこと。
ぎりぎりこの二つを約束し、ファラオはキャロルを我が物とした。
嫌がっているのかと思った。最初は。だがキャロルは問われると悲しそうに微笑み、理由は聞かないで欲しいと言った。
それきり、何度聞いても口を閉ざした。
明るい昼下がり。ファラオはキャロルを私室に呼んだ。
「今日はこれより視察に出かけてくる。少し遅くなる故食事と湯浴みは済ませて待って居れ。
帰ったらお前の部屋へ行く。」
「畏まりました。」
意味するところを悟ったキャロルが、赤くなって答える。
「いつまでたっても他人行儀だな・・・」
少し寂しそうな声音で呟くと、ファラオはキャロルの白い頬を撫でる。
「私は・・・あの時ファラオに拾って頂かなければ、とっくに飢えて死んでいました。感謝しています・・・」
「私に抱かれるのは感謝しているからか?それだけか?」
「・・・・・」
「また答えぬのか・・・」
顎に指を掛け、上向かせて口付ける。ゆっくり放すと青い瞳が潤んでいる。決して嫌っているのではない。何か隠している。
「向こうを向け・・・」
素直に振り向いた白い肢体を後から抱きしめる。覆い被さるようして耳を咥え、舌で舐め回す。
「・・・・っ・いまは・・・やめ・・・て・・・くだ・・・」
白い肢体が震える。
「本当はお前も連れて行きたいのだが・・・待って居れ、なるべく早く帰る。」
「は・・・い・・・お待ち・・・して・・・おりま・・・す・・・・っ・ああっ」
唇が項に吸い付き、指が衣の上から胸を弄り、乳首を摘む。身を支えていられなくなり、キャロルは柱に腕を付いた。
衣の裾が、勢いよく捲り上げられる。
「尻を突き出せ。」
「あ・・・いや・やめ・・・」
自分の腰布を引き毟って放り出す。
「駄目だ。我慢できぬ。一時でもお前と離れたくない・・・せめてお前の温もりを・・・この身に刻んで行きたい・・・」
「い・・・あ・・・だれかが・きたら・・・」
「外で待たせて置け・・・お前が欲しい。愛している・・・」
びくんと震える。
「あ・・・ありがとう・・・ございます・・・」
「礼など・・・お前は私を愛しておらぬのか・・・?」
絶え間ない愛撫。熱い言葉。
「「わたしは・・・ただの・・・侍女です・・・んんっ・あっ」
「妻になれ・・・」
「それは・・・できませ・・・ん・くっ・うあ」
明るい室内で、色付いた尻が揺れている。片手を柱について身を支え、片手で唇を覆って嬌声を堪える。
片手で腰を抱き、胸を愛撫していた指を滑らせ秘所を探る。其処はもう湿っていた。
だが未だ十分に濡れていない。本当はもっと愛撫して十分に感じさせてやりたいがあまり時間が無い。
己の立場が恨めしい。
だがそれはそれでやり方がある。項に唇を落としながら、床頭台の香油瓶を開ける。
ゆっくり傾け、かぐわしい香りを放つそれを白い尻に垂らす。流れた香油は亀裂を伝い、秘所に押し当てた己の杭を濡らした。
擦り付けると水音になる。キャロルが呻く。
「あ・・・ああ・・・は・あ・あ・・・ああ・・・」
「指を挿れると尻を振る。もう大丈夫だろう。
両手で白い尻を掴み上げ、いつの間にかいきり立った己を捻じ込む。キャロルが悲鳴を上げた。
「あ・あ―――――っ!!」
「なんの準備も出来ずに挿れられた泉が痙攣し、信じられないほどの力で締め付けてくる。
「く・・・・・っ・ああ・・・・」
メンフィスが呻く。
「ああ・・・キャロル・・・」
我慢出来ずに根元まで捻じ込む。キャロルの足が震える。
「あ・あ・駄目・だ・・・た・たって・いられ・・・な・・・」
強引に腰を使う。遠慮なく叩きつけ、暖かく絡みつく内部をかき回す。白い背中が撓って折れんばかりにその身を反らす。
黄金の髪が光を浴びて煌き、二人の身体から汗が飛び散る。香油の香りが立ち込める。
十分に味わってから、一度引き抜き、寝台に腰を下ろしてキャロルを膝に乗せる。
そして真下から一気に貫く。
「ひあああああっ!」
白い喉を反らしてキャロルが絶叫を上げる。泉が蜜を溢れ零す。
白い尻がぶるぶる痙攣してがくんと首が落ちた。
達した肢体が落ち着くまで、メンフィスはその甘い唇に啄むような口付けを繰り返す。
投げ出されていた腕がゆっくり持ち上がって、逞しい肩に縋りつく。
褐色の指が少女の膝を持ち上げて立たせる。そして腰が自由に動くようにお互いの位置を調節してやった。
肩紐を解いて、掌が衣の下に滑り込む。そして直に、色付いた乳房を愛撫する。
「はっ・はあっ・ああん・・・ああ・・・あ・・・・・んっ・・・」
ゆるゆると腰を振って、男の杭に刺激を与えながらキャロルが鳴く。ぴちゃぴちゃと水音が響く。
「好い声だ・・・お前のその声・・・ずっと聴かせてくれ・・・私の側で・・・・私のキャロル・・・」
「あ・・・ありが・・・・・と・・・う・・・あ・・・い・・・・・いい・い・ああっ」
そして身をくねらせる。大きく尻を振り、内部を擦り付け、鳴きながら上り詰めてゆく。
男も再び動き出す。突き上げ、かき回し、押し付ける。
胸の突起を咥え、甘く噛み、突いて転がす。
「あっ・あんっ・あああっ・いい・いいのっ・いいの・もっ・いくっ」
乳首を離し、紅い唇を塞ぐ。片手で胸を、片手でキャロルの秘所を割り開いて、己の物を咥え込んでいる少し上の宝珠を。
擦り始めるとキャロルの腕に力が籠もる。
「んっ・ふうっ・ふうんっ・ふうんっ・くうっ・んっ・ん・ん・んんっ」
思う様お互いを味わって唇を放す。紅い唇が充血して艶めかしく濡れ光る。
「愛している・・・」
キャロルが微笑んだ。何も言わずに広い胸に顔を埋め、背に回した腕に再び力を込める。
強請っているように見えて、愛しかった。
「いくぞ。」
「あ・・・は・・・ああっ!」
逞しい両腕でたおやかな白い肢体を抱き締め、メンフィスが腰を突き上げる。
跳ね上がったキャロルが、自分の重みで太い杭を根元まで飲み込んで踊り狂う。
奥底まで突かれ、擦り付けられ、掻き回され、蕩かされる。
蕩けた内部が締め付け、包み込み、絡みついて熱を与える。
何処からが自分で何処からが相手か、わからないほどひとつに溶け合う快感。
ゆっくり、少しずつ、少しでも長い間味わいたい。目も眩むようなあの快感を早く味わいたい。
相反する感情の中、それでも二人は高まってゆく。
「あ・ああ・あうっ・ひいぃ・ひっ・ひああっ・ああ・いい・も・も・いっちゃう・いっちゃう・いっちゃ・・・っ・・・」
「も・・・すこ・・・し・・こら・・・え・・よ・・・」
「ああっ・もっ・だめ・っ・だめ・だめっ・ああ・あ・あ・あ・あ・・・・ああ――――っ!!」
「だめ・・・だ・・・・・も・・・・・っ」
目の前が白く光り、意識が飲み込まれていった。
二人が男と女から、ファラオと侍女に戻る。
肩紐を結び、乱れた衣を直し、ファラオの衣装を整えて頭を下げる。
「・・・・・行って来る。」
「行っていらっしゃいませ・・・」
ファラオが出発する。侍女達から少し離れて、キャロルはその姿を見送っていた。
本当は噂を聞いていた。だから決めた。
ファラオはこの国のために、姉と結婚すると。
「・・・う・・・ぐうぅ・・・・・・ぐっ・・・」
胸の中から何かが突き上げる。口の中に苦味が走る。あわてて自室に戻り、吐いた。
――これは罪。いてはならない場所にいて、愛してはならない人を愛してしまった私の罪。
貴方にとっての私は、数ある側室の中の一人。だから側室ではなく、侍女で居たかっただけのこと。
本当は心から、神の怒りに触れてこの身が砕け散っても構わないほど貴方を愛している。
いつかこの日が来る、分かっていながら、それでも貴方に抱かれることを夢見た。そして素晴らしい夢を見た。
私は貴方を愛していた。いいえ、今でもこれからも愛している。でももう夢は終わり。
そしてこの手に残ったものは、私の愛しい罪のかたち・・・・・ありがとう・・・・・さようなら―――
ファラオが帰り着く前に、少女は何も言わずに黄金の髪を一房だけ残して姿を消した。
ファラオは気も狂わんばかりになって行方を捜した。
王姉との話はファラオが拒否し、全土に触れが出された。
「ファラオは王姉ではなく、黄金の髪のキャロルという娘を王妃として遇する。」
やがてキャロルは見つけ出される。そして王宮へ納められる。
娘は、やや癖のある漆黒の髪と青い瞳を持った、ファラオに良く似た顔立ちの赤子を連れていた。
END
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