翻弄
「セチは私を助けるために来たのよ。私のせいなの。だから・・・」
「お願いだから。私に出来ることなら何でもするから。止めさせて。」
少女を許した後、ファラオは自室でまんじりともせずに夜を明かした。
頭の中に白い少女の声が響く。
何故?赤の他人の為に。
そして宴で自分の頬を打ったときの煌く青い瞳と我に返ったときの怯えた顔。
今までこんなことは一度も無かった。
女は一度抱けばそれでよかったし何の執着も無かった。あの娘も飽きるまで抱いて、後は兵士にでも下げ渡すつもりだった。
それなのに夜毎の伽を言いつけてしまった。
その日一日が長かった。
わけも無くイライラし、黄金の髪を追い求める。それなのに姿を見かけると躊躇してしまう。
一言命じれば済むことなのにそれすら出来ない。何を言っていいのか分からない。
そして夜が来て、女官長が少女を連れて部屋へ入ったと聞いた時、ファラオは己の血潮が騒ぐ音を、はっきりと己の耳の奥に聞いた。
ファラオの入室と同時に侍女が下がる。
剣を寝台に置き、女官長から杯を受け取って一口飲む。女官長が退出してゆく。
全てが昨夜の繰り返しだった。
キャロルが寝台の隅に蹲っている。
杯を飲み干すと、ファラオはゆっくりと寝台に上がって胡坐をかいた。
「・・・・・お前のすべきことは、もう分かっているだろう。大人しく従えば無体なことはせぬ。」
「・・・・・お願いがあります・・・」
キャロルが震えながら呟く。
ファラオは片眉を上げただけで黙っている。
「夜伽を勤めます。だからセチを解放して。お願い。」
胸の前で両手を握り、やっとそれだけを言うと歯を食いしばっている。
重苦しいほどの沈黙。
メンフィスの胸の中に不思議な感情が湧き上がってきた。
赤の他人のために好きでもない男に抱かれると?こんな女は初めてだ。どんな女でも夜伽を命じると有頂天で騒ぎ、
次の日からまるで寵姫気取り。一体何人の女を打ち据えてお払い箱にしたか。
「それで?私に抱かれた後はどうするつもりだ?」
「そんなこと・・・」
「とりあえず寵姫の座でも狙ってみるか?側室という手も有るな。いっそ・・・」
「いらないわ!そんな物いらない。セチを解放してくれて、後は私も此処から出して。そしたら家族のところへ帰るから。」
「自己犠牲か・・・・・おめでたいな。」
「!!」
急所を突かれてキャロルが絶句する。
そのままファラオはキャロルを見ている。
この白い体を思う様抱くのも悪くない。側室もいないことだし愛玩用に傍に置くのも面白いだろう。
だが、それだけではないこの気持ちはなんだろう。
「くく・・・くくくく・・・・・」
喉の奥で笑いながら少女の腕を掴んで引き寄せ、、ゆっくりと抱きしめる。
キャロルが恐怖に身を震わせながら悲鳴を堪えている。
「いいだろう・・・あの男は解放しよう・・・」
青い瞳が喜びに輝く。
それだけでファラオの黒瞳にはっきりと嫉妬の炎が宿った。
「ただし。今は動かせぬ。傷が酷い・・・傷が治ったら解放すると約束してやる。
それに昨日言ったように、わたしはお前に飽きるまで伽を致せと申した。これからゆっくりとお前に悦楽を教えてやろう。少しずつだ・・・
今までの女は男を知っていたからな。無垢な女が私の腕の中で、どう変わるか試してみるのも好いだろう・・・」
頬を打とうとする白い手をひょいとかわし、押さえつけて強く抱き直す。白い胸が心地よい。
「あまり逆らうな・・・気が強いところも気に入ったがな・・・あまりに過ぎるとどうなるな?」
はっとしたキャロルが動かなくなる。甘い毒を滴らせるような口調で囁きながらゆっくりと口付ける。
「安心致せ・・・今夜は痛い目にはあわせぬ・・・・・先ずは何処まで耐えられるかだな・・・・・。」
再度口付ける。紅い、甘く柔らかな唇を堪能して口内へ舌を入れる。歯列を舐め、開かせた口内へ舌を差し込む。
「もっと口を開け。舌を出せ。」
言われるがままに覗いた舌に己のそれを重ね、ゆっくりと絡めて吸い上げる。
「まだぎこちないな・・・これは染めがいがある・・・それにお前の唇は柔らかいな・・・好い味わいだ・・・」
嬲るように言いながらその瞳は色香を宿して輝き、言葉には紛れもなく賞賛の音色が含まれている。
「キャロル・・・・・かわいい奴だ・・・・・」
唇をすべらせ、耳朶を咥える。暖かな舌に耳殻を舐められて思わず声を上げた。
「ひっ・・・」
「此処は初めてか?此処はどうだ?」
唇が首筋へ滑る。熱い吐息を吹きかけられて背筋がぞくぞくする。
「あっ・やめっ・やめてっ」
「何故?お前が拒む度に、あの男が此処を出られる日が遠くなると心得よ・・・」
片腕で白い肢体を抱き、滑らかな肩を撫でながらファラオは小さな少女を弄ぶ。
「・・・・・っ」
黄金の髪に指を差し入れ、何度も梳いてさらさらした手触りを楽しむ。灯火に照らされた髪が内側から輝くようだ。
今はまだ。だがいつか全て手に入れる。
お前の身も心も。黄金の髪も白い肢体も。
そしてこの体の奥からお前の女を引きずり出して狂わせ、私が欲しいと泣き叫ばせて見せよう。
そう考えただけで己の男が疼く。
肩を撫でていた掌が動き出した。片手は髪に差し込み、黄金の髪を指に巻きつけてそのまま喉を反らせ、唇を塞いで胸のふくらみを包む。
柔らかく形の良い胸が掌に乗っている。思ったより大きい。
無論今までの女より小さいが、これは男を知らぬためだろう。愛撫次第でもっと好くなるはずだ。
「ん・・・・・」
キャロルが呻いた。その中にある女の声を聞き分けたファラオの瞳が輝く。
唇を合わせたまま数回ゆっくり揉みしだき、撫で擦る。ふさがれた唇から、紛れも無い嬌声が上がった。
「ん・・・んん・・・うん・・・うふっ・・・」
髪に絡めた指を解き、背中を撫で下ろす。白い肩がひくりと震える。
「・・・・・反応が好いな・・・お前の肢体は思ったより早く花開くかもしれぬ。」
「えっ!?」
絶句したキャロルが見る見るうちに赤くなる。わざと追い討ちをかけてやる。
「お前はきっと男を狂わせる女になる・・・・・ふふ・・・たのしみだ。」
「いやっ!」
叫んだ肢体を抱き直し、再び胸の頂を摘み上げる。途端に悲鳴が嬌声に変わった。肩を震わせ身を捩る。
「あっ・あっ・ああ・んくっ・くうう・くっ・・・」
「・・・好い声だ・・・・間違いない・・・お前は目覚めて居らぬだけだ・・・お前の中のその淫らな女、私が目覚めさせてやろう・・・」
「いやっ・いやあっ!」
「その拒絶がいつまで続くかな?胸を弄られただけで鳴いている女が・・・・」
押し倒し、先刻弄った頂を咥える。吸い上げ、舐め回し、転がして甘く噛む。
「ひっ・ひぁっ・あ・・・ああ・あう・あっ・あう・あう」
唇を放し、両方の頂を摘む。触っていないはずの方まで硬く勃っていた。
「そら・・・やはりな・・・こちらまで勃っているぞ。肢体が疼かぬか?」
「そ・・そんな・・・そんなこと・・・っ」
言い当てられてうろたえる。男に身体を弄られる度に、身体の芯から何か熱いものが溢れて来そうになっているのだ。
両の頂は長い指先で転がされて痛いくらいだ。羞恥と混乱で思うように口が利けない。頭がくらくらする。
「やめ・・・おねがい・・」
「聞こえぬな・・・それにお前に拒否する権利はない。」
冷たく言い放って両腕を掴み上げる。頭上に押し付け、白い胸をじっくりと眺めた。
肌が染まっている。白かった肌がかすかに赤味を帯び、硬い蕾がほころび始めている。
「・・・・・驚いたな・・・こんなに・・・」
これは途方も無い宝かも知れぬ。たったこれだけの愛撫で此処まで変わるとは。
覚悟して掛からねば虜にされてしまうかも知れぬ。
そんなつもりは無かったが、わざと囁いて最後の抵抗を奪う。
「動くな・・・・先刻申した言葉、覚えて居るだろうな・・・」
ゆっくり手を離す。キャロルが目を閉じ、歯を食いしばる。白い肢体から男の重みが消えた。
足を閉じようとして、脅しを思い出した身体が動きを止める。全てをさらけ出した少女が褥の上で、
男の視線に晒されて横たわっている。
男の喉から、紛れもない賞賛の声が上がった。
「お前は美しいな・・・こんなに美しい女は今までに見いたことが無い・・・・・もっとよく見せろ。」
広い褥の上で、まるで棒切れのように転がされてうつ伏せにされた。
「あっ・・・」
「なんだ。痛いのか?」
「い・いいえ・・・あっ」
項に唇が吸いついた。首筋、華奢な背中、括れた腰から丸い尻へと唇が滑ってくる。
薄く染まった肌に、一際濃い花びらが次々と散らされてゆく。
掌で尻を撫で回す。滑らかな双丘の感触は、その内に隠した女を想像させて己の男を猛らせた。
欲望を振り切るように離し、再び転がして仰向けにする。反射的に閉じようとした膝を無理にこじ開け強引に身体をねじ込ませる。
キャロルが恐怖に掠れた悲鳴を上げる。
「ひ・・・・・」
その怯える様が、あまりにも哀れだった。
「・・・安心致せ・・・痛い目にはあわせぬと申したであろう・・・」
自分でもその優しい声音に驚いた。キャロルが震えている。それだけで抱きしめてやりたくなる。
男の掌が動き出す。時折啄むような口付けを与えながら、胸を揉み、頂を摘み上げ、脇腹や腰を撫で擦る。
舌で首筋をたどり、差骨の窪みに一際大きい花びらを刻んだ。
そして胸に顔を埋める。キャロルの胸が大きく上下し、喉が微かな悲鳴を上げる。。
「・・・・・っ・・・・・」
両腕が引き攣って褥を掴んだ。何をされるか本能が知らせたのだろう。
「・・・・・大丈夫だ・・・痛くは無い・・・痛くは無いぞ・・・」
そう言いながら指を伸ばす。
ゆっくりと擦りながら、暖かい掌が下腹へと進んでくる。キャロルは最早震える余裕もなく、硬直したまま青い瞳を見開いている。
心臓が早鐘を打っている。その音だけが耳に響いていた。
男が何か囁いていたが、全く聞こえなかった。
男の指がささやかな茂みに達した。優しく包んで撫で擦り、そのまま足の付け根へ沈ませる。
「・・・だめか・・・恐ろしいか・・・?返事をしろ、キャロル・・・」
解放して欲しい、もうこれ以上の責め苦は耐えられない。
必死の思いで声を振り絞る。
「・・・は・・・は・・・い・もう・・・」
だが期待ははかなく消えた。
「それでは好くしてやろう・・・」
さらに奥まで沈められ、指が絶対の自信に満ちて女の亀裂を彷徨い始めた。
「女にはな・・・感じる所がいくつもある・・・・・お前にも有るぞ・・・・先ずは此処だ。
くるりと押された。
「ひっ!」
腰が跳ねる。数回強弱をつけて押され、その度にキャロルが悲鳴を上げると男の頬に嬉しそうな笑みが上る。
珍しい玩具を弄くり回す子供のようだ。
「いい声だ・・・此処はどうだ?」
ゆっくりと。長い指が自分の中に入ってきた。その初めての感覚。そんな異物を挿れられたことなどない肢体がひくひく震える。
だが同時に不思議な感覚が湧き上がってきた。
胸を弄られたときより強い感覚。身の内を擦られると溜息が漏れる。
「なんと素直な身体よ・・・もう濡れている。」
味を占めて二本目を挿れる。だがこれはさすがに無理だった。
紛れもない悲鳴が上がる。
「あっ!いっ・痛い・いたい・やめていたいの・お願いよおぉ・・・っ」
驚いて指を抜く。キャロルが苦痛に涙を零している。
今日は此処までか。
「おねがい・・・これ以上・・・もうこれ以上は・・・」
「・・・良いだろう。今宵はこれくらいで許してやろう。」
冷静に言ったつもりだったが正直何処まで悟られずに済んだか。気付かぬうちに、己の男が痛いくらいにいきり立っていた。
キャロルの中の女が目覚めるのと、己の男が爆発するのと、どちらが早いか・・・・
覆いかぶさり、唇を重ねる。再度舌を絡め、片手で胸を揉みしだき、摘み上げる。
もう片手が宝珠を擦り上げる。
キャロルが鳴いてもがく。
「あっ・やっ・もうっ・んっ・んっ・んっ・んくっ・くっ・くっ・んくっ!」
白い肢体が大きく跳ねて静かになった。
「キャロル・・・・・?達ったのか・・・・」
上気し、染まった頬に口付けて、ファラオは掛け布で白い肢体を包む。
肩衣を纏い、部屋に戻るために寝台から降りる。
誰も見ていないその顔は、間違いなく恋する男のものだった。
END
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