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ギルに仕事をさせないよう、ユーニとヴィディアに頼んだものの。何となく落ち着かない。そう思っていると、いつのまにかギルの部屋に足を運んでいた。
すると、丁度ギルの部屋からヴィディアが出てくる所だった。
「ヴィディア?」
「あ、レイジ。ギル寝ちゃったし、呼びに行こうと思ってたの」
そっと扉を閉め、ヴィディアはクスッと笑った。
「ちょっと用事思い出しちゃったから、あとはお願いね」
「ああ。ありがとう」
そう言うと、こくりと小さく頷いて足早に歩き去っていった。
急ぐ用事だったのか…? 頼んで悪い事したかな。
それでも引き受けてくれた幼馴染に感謝しながら、閉じられたばかりの扉をそっと開けた。
小奇麗に片付けられた部屋。忙しさにかまけて、ほぼ寝に帰るだけの部屋と化している事が主な原因だろう。
寝ているという事は寝室…か?
足音をなるべく消すよう心がけながら、奥へと足を向ける。そっと覗き込むと、やはりギルが居た。静かに歩み寄り、目の前で手をヒラヒラと動かす。反応は無い。
「…ちゃんと寝てるんだな…」
ホッと息を吐くと、ギルがもぞりと動いた。起こしたかと思ったが…どうやら寝返りを打っただけのようだった。
ギルの顔を見て安堵したからだろうか、今更ながら喉が渇いている事に気付く。そういえば落ち着かないまま動き回っていたから、すっかり水分を摂るのを忘れていたんだ。
折角だし、少し水を飲ませてもらおう。
そう思って来た時と同じ様に足音を消し、棚に置かれている水差しへと近付いた。
何だかんだで気になって仕方が無いって感じで。
ギルを気にしてウロウロしてるといいなぁ。
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