俺達は魔王城の広い廊下を歩いてた。
 先の戦いで九死に一生を得た出来事とか、次の戦いの事とか、美味いもん食いてぇなぁとか、とりとめのない事を話しながら。
「…結局………脅しに屈してしまった…」
 フと、そんな呻き声が聞こえた気がして会話を止めた。前に注意を向けてみると、そこには近頃大絶賛活躍中の上官の姿が映る。
「なぁ、あれって」
「ギルヴァイス様…だよな」
 思わず隣を歩く相棒に言葉をかけると、ソイツも少し驚いた様子で返事を返してきた。
 日頃何かと忙しいその方を見かける事自体は珍しくない。でも。
「…俺って…ホント俺って…」
 今にも頭を壁に打ち付けそうな様子で、ボソボソとくぐもった声を漏らしていた。ちょっとアブナイ雰囲気だ。
 …どうっすっかな…一応声かけた方がいいんだろうか。
 このまま放置しておくのは何となく躊躇われるが、話しかけていいものかどうか。ひょっとして、構わないでおいて欲しいのかもしれないし。正直…あんな雰囲気の奴にはあまり関わりたくないというか。
「何か、出づらいよな」
 チラリと相棒を窺う。同じ事を考えているのかは分からないが、あまり歩を進めたがっている様子は無い。
「だよな………あ」
 その声に視線を上官に戻す。するとギルヴァイス様はフラフラと歩いて行った。方向からして、多分自室だろう。
 ホッとした所で、俺達は会話を再会して歩き始めた。



名も無い悪魔兵の視点な上に激短…(汗)
凹んで暗い雰囲気のギルを書きたかったんです。



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