愛を語るのは、口だけじゃないよ?





続・Un jour chuchoter l'amour





「た、ただいま帰りましたー」
「ん、お帰り」

疲れたような顔をして、でもほんのりと頬を赤く染めて、パーティーから帰ってきたカナダの額に、ちゅ、とキスをした。
それに照れたように顔を赤くし、それでもお返しにカナダは頬にキスをくれた。
どうしてもパーティーを抜けられないのは解っているから(何せ彼の誕生日なのだから)、大人しくカナダが帰ってくるのを待ってるよ、と告げたのは昨日の夜。
どうせ当日の夜はパーティーが催されるからカナダが帰ってくるの遅くなっちゃうし、だったら前日においしいごちそう作ってあげる、ってカナダが玄関のドアを開けた時に言えば、カナダは驚いたような、でもそれと同じくらい嬉しそうな顔をしたから、来たかいがあったと心の中で拳を握った。
その後は言った通りにおいしいご飯作ってあげて、一緒に食べて、特に何もしないで寝ちゃったんだけど。

だって、本番(?)は今日だし。

「疲れただろ?ホットミルク作ってあるけど飲む?」
「はい、いただきます」
「メイプルシロップもいっぱい入れたぞ」
「やった」

先に荷物置いて着替えてきます、なんて可愛らしい足音を立てて自室に戻っていくカナダを見送り、さてこの後はどうしようかな?と考える。
勿論、やることは一つだけど。



ことり。
空になったマグカップが、ローテーブルの上に置かれた。
中に入っていた甘く優しい味のするホットミルクは、ゆっくりとカナダが飲んでいて、今漸く飲み終えたところ。
ぴったりと横に寄り添って座るカナダのやわらかな髪の毛を梳いて上げると、くすぐったそうに眼を細め、甘えるように体重をこちらに預けてくる。
触れ合ったところの体温が、やたらと熱い気がするのは気のせいか?

「カナー、眠い?」
「んー、大丈夫…」

とろん、とうるんできた目は眠気を訴えていて、上手く舌が回ってないのも眠い証拠なのに、なんでそういう嘘を吐くのだろう。
でも、今寝られても困るのも事実で。

「カナ、朝お兄さんに言ったこと覚えてる?」
「んー…」

ふぁい、と欠伸を噛み殺しながらの返事にくすくすと笑みをこぼす。
いちいちやることがかわいすぎるのも考え物だ。

「たくさん愛をください、って言っただろう?」
「はい…」

顔にかかっていた髪の毛をひと房手にとり、耳にかけてやる。
そしてその手をそのまま耳殻をくすぐるように動かして。

「ん、」
「お兄さん、いっぱい愛を囁いたけどさ、やっぱり愛は言葉だけじゃ伝わらないと思うんだ」
「んぁ…フランスさ…」
「だからね…」

ベッドの上で、カナのこといっぱい愛してあげたいなー?

耳元で囁き、その真っ赤になったかわいらしい耳に、ちゅ、と口づける。
途端甲高い声を上げるカナに、にっこりと良くない笑みを浮かべて。

「カナダのことお兄さんに愛させて?」

止めとばかりにおもいっきり低く甘い声を出せば、カナダが小さく頷いたのが見えた。



腕に抱えていたカナダをベッドに横たえれば、スプリングか、ぎし、と軋んだ音を立てた。
その音に、びくり、と身をすくませるカナダに口づけを落とし、大丈夫、と囁く。

「今日はじっくりカナダのことを抱きたいから」

そう言って両手をカナダの顔の両脇につき、唇が触れ合うギリギリで訊ねれば、うろ、と視線を彷徨わせ、結局目を軽く伏せ、消え入りそうな声で、はい、と応えるのが聞こえた。
それがとてつもなくかわいくて、ゆっくりと唇を重ねる。
緩く開いた唇の隙間から舌を侵入させて、奥の方に縮こまっているカナダの舌にちょこんと触れ、擦り合わせる。

「ん…ん、」

鼻から息を逃す音と、唇の隙間から零れる吐息、くちゅりと響く水音が、熱を煽る。
ゆっくりと事を進めたいのに、ちょっとこれは難しいかな。
くちゅ、と唇を離せば、カナダが開きっぱなしにした唇の隙間から覗く赤い舌と自分の舌を銀の糸がつなぎ、けれども細く頼りないそれはすぐにプツンと切れてしまった。
ぼう、と熱に浮かされて顔を赤くしているカナダの柔らかな頬にキスを落とす。

「ん、ふらす、さん…」
「かわいい、カナダ」

ちょっとだけ視線を合わせてくれたけど、困ったような泣きそうな顔をしてしまったので、あやすように目元にもキスを落として。
指はするするとカナダの細く柔い首筋をなぞり、シャツのボタンをはずしていく。
ボタンを外し終えシャツを肌蹴させれば、白く肌理の細かい肌が表れて目にまぶしい。
身にまとっていたものがなくなったせいか、ふるりと身を震わせるカナダにぴたりと身を重ね、首筋に顔を埋める。

「はぁ、カナダの匂いだ…」
「何言ってるんですか、…ん」

甘くてふんわりとしたこの匂いは、カナダのものだと思うけど。
ぺろり、と首筋を舐め、ちゅ、と吸いつく。
白い肌に、赤く汚した痕が綺麗に映え、それに気をよくし、いくつもいくつも残していく。
手持無沙汰な指先は、ツン、と立ち上がった胸の突起へ。

「やぁっ、あ…」

くり、と摘まめば可愛らしい声が上がり、もっと聞きたくて執拗に突起を捏ねる。
痕を残すのに専念していた唇も、突起をいじめるのを手伝って。

「そこ、ばっか…、ぁ、いゃ…、ぁん」
「あー…、こっちもかぁ」
「ひぁっ…!」

もじもじと膝を擦り合わせるのを見逃さず、スラックスの上からでもわかる膨らみに、手を這わす。
きゅ、と力を込めれば、びくん、とカナダの細腰が跳ねた。
いい加減邪魔だよなー、なんてベルトのバックルを外し、スラックスを下着ごと抜き取る。

「やっ…、だめ…」
「こーら、足閉じないの」

膝を閉じようとするのを体を割り込ませることで防ぎ、昂ぶっているカナダ自身を撫でる。

「ひゃぁっ、あ…」

軽く撫でただけなのに、びくびく、と反応を返すそれからは透明な先走りがこぼれ始める。
それを塗り拡げるように、ぐちゅ、と手を動かせば、カナダからはひっきりなしに可愛い声が上がる。

「ホント…かわいすぎ」
「やっ…!だめっ…だ、ぁっ…」

身をかがめてカナダの中心に舌を這わせ、口に含むと、今までよりも切羽詰まった声を出すカナダの声を無視して。
裏筋を舌を当てながら擦り、ぢゅ、と吸い上げる。

「あっ、ふらす…、はぁっ、ぁっ…!」

頭を離そうとカナダの細い指が髪の毛に絡むが、それは放すには力が弱い。
そんなの何の抵抗にもならないのに、と先端の孔にぐりぐりと舌を押しこみ、溢れてくる精液を飲み下す。

「もっ…ホント…はな、て、ぁっ…!」

びくびくとカナダの太ももが痙攣し始め、ああ、もう限界が近いのかな?
カナダは気付いていないだろうけど、さっきまでは髪に絡ませているだけだった手が、今では頭を押し付けるように力が込められている。
無意識ってすごいな、って思い、カナダがイけるように今まで以上にカナダを深く咥えこんで先端に吸いつく。

「ぁっ、出ちゃ…、あっ、あぁっ!」

背をしならせて射精したカナダの放ったものを嚥下し、その後も数回吸いつき、残っていたものを搾りとる。
ぺろり、と周りを綺麗に舐めとれば、顔を真っ赤にして目に涙を浮かべたカナダと目が合う。

「出ちゃ…って、ふっ…、ったのに…」
「ごめん、泣かないで」

ひっく、としゃくり上げ始めたカナダを必死で宥め、顔じゅうにキスをふらす。
カナダもそこまで泣くつもりはなかったようだけど、堪えられないようで、うー、と小さな子供のように顔を歪めている。

「うん、お兄さんが悪かったから…、ね、」

ぽんぽん、とあやすように頭を撫でてやり、額にキスを落とす。
ちょっと落ち着いてきたカナダは、それでも目には涙がたまっていて、ぎゅ、と俺のシャツを掴んだ。

「カーナ、ね」

体を寄せれば、ぎゅ、とすり寄って来て、ああ、機嫌は直ったのかな?
でも、別に初めてフェラしたわけじゃないのに、なんて思っても言ってはいけない。
カナダを抱きしめるのは片手に任せて、空いた手を奥の窄まりの方へ這わす。
触れたそこは、きゅ、と締まり、カナダはびく、と身を跳ねさせた。

「ね、続きしていい?」

綺麗にしきれなかった精液が伝ったそこは、ゆるゆると撫でればひく、と反応を返してくる。
あぅ、とカナダからは可愛らしい声がもれ、恥ずかしさに眉を寄せて、して…ください、と消え入りそうな声が聞こえた。
許可も貰ったし、とさっきよりも指の動きを大胆なものにし、一本目の指を潜り込ませる。

「くぁ…あっ…!」

きつそうに顔を歪ませるカナダにキスを落とし、やわやわと内壁を撫でる。
ひくん、ひくん、と震えるそこにもう一本指を増やし、バラバラに動かす。
たまに気まぐれにしこりの部分を撫でると、ひぁん!とカナダから甲高い声が漏れた。

「すごい…きゅうきゅう締め付けてくる」
「あ…、そんな…ぁっ、いわ、な…で」

耳元で囁けば耐えられない、とカナダはふるふると頭を振る。
この分なら…と三本目の指をいれ、流石に少し苦しそうに寄せた眉根にキスを落とす。
ぐちゅぐちゅと、前から零れてきた精液で淫猥な水音が秘処から零れ、それに煽られっぱなしの自分の昂ぶりももう限界を訴えている。

「カナ…ごめん、挿れたい」

完全に形を変えた自身をカナダの腰に押し付け訴えると、カナダは顔を真っ赤にした。

「ごめん、いい?」
「ぁ…、下さい…ふらんす、さんの」

真っ赤になりながら、それでも可愛らしい事を言ってくれるカナダにメルシ、と口づけ、中に入ったままだった指を引き抜く。
抜くときに、ひくん、と一度収縮したそこに、期待が高まる。
ここにきてようやく服を脱ぎ、カナダの顔を見下ろす。

「カナ…」
「んっ…」

膝を割り開き、ひた、と息づいているそこに自身を押しあてる。
そのままゆっくりと腰を推し進めていく。

「…っきつい?」
「ん、へき…です…」

ぐ、と押し込んだそれをぎちぎちと締め付けてくるカナダの内壁に、思わず腰を動かしそうになったけど、我慢、我慢。
深く息を吐きだし、カナダが落ち着くのを待つ。
ぎゅうぎゅうと締め付ける内壁に、危うく一気に突っ込みそうになった自分を宥められたのは、我ながらよくやったと思う。
ぐちゃぐちゃになるほど解した中は、それでも締め付ける力を緩めずに、カナダが頑張って力を抜こうとしている。

「ん…ん…」

少し緩んだタイミングを見計らってゆっくりと腰を引けば、カナダの細腰がびくりと跳ねた。

「やっ…あ、あっ」
「んー、まだ駄目かな?」
「あ、だい、じょぶ…やぁ、っあ…」

前へ刺激を送りながら腰を動かせば、カナダからは高い声が上がり、そのまま腰を動かす。
浅く出し入れし、カナダのいいところを探りながら擦れば、ひぁっ、と今まで以上にカナダの高い声が上がる。

「ここ?」
「んぁっ、そこ……やぁっ、ぁ」
「えー、カナの、いいところでしょ?」
「あっ…、だって、も…」

イキそう…なんて、小さく呟かれ、肩にしがみつかれれば、こっちだって頑張るしかないのに。
そんなのわからずにやっているカナダが恨めしい。

「いい、よ、イっても」
「や、あっ…ぁん……ん」
「その代わり、お兄さんの、受け止めて、ね」
「んぁぁっ……!」

より深く腰を押しつければ、カナダは背をしならせて、欲を吐きだした。
それに続いて中の急激な締め付けを感じながら、カナダの奥に欲を注ぎこんだ。



その後カナダが気を失うまで付き合わせてしまい、流石にやりすぎた、なんて思うけれど。
でも、カナダがいいって言ってくれたし、愛をいっぱい与えるためには仕方のないことだった、と自分を正当化する。
今はすよすよとかわいらしい寝息を立てているカナダにそっと口づける。



Cher enfant,Bon Anniversaire







09/07/02
あー…誕生日過ぎてしまったけどUn jour chuchoter l'amourの続きです。
まぁ、Hしてたら日付変わっちゃったよー、ってことで (最悪
当サイトで甘々なHなんて珍しい気がして、書いててもだもだしてました。
2回くらい書き直してしまった…
090702



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