そ の 後





互いに互いを貪り合うような、獣のような口付けを交わし、縺れ合いながらベッドに倒れこむ。
二人分の体重を勢いとともに受け止めたスプリングはきし、と非難めいた音をたてたが、荒い息遣いが色濃く木霊する部屋では全く気にならない。

「盛ってるな…」
「どっちがだよ」

シャツのボタンを外されながら耳元で囁かれ、耳を擽るその刺激に体がぴくりと反応する。
くすくすと頭上で笑っているフランスの髪を少し力を込めて引けば、いたい、と睨まれるが気にしない。

「もう、そんなことしないの」

かちゃり、とベルトのバックルを外し、ジー、とファスナーが下ろされる音が響く。
現われた下着の上からきゅ、と自身を握りこまれ、大袈裟に太股がはねてしまい更にフランスの笑みが深くなった。
もうこうやって体を重ね合うのも何度目になるかわからないが、互いにイイところを知り尽くしているだけあって的確に欲が煽られる。
下着に侵入した手にじかに握りこまれ、腰がずん、と重くなる。
は、と熱い息を吐き出した俺の顔をちらりと窺ったフランスは口元に弧を描き、

「んー、上司に接待頼まれたけど、これもはいるのかね?」

…とりあえずその脂下がった顔に拳をぶち込んだ。

 
 
なんだかんだ慌ててフランスに行く用意をし、フランスの自宅に着いたのは大分夜が更けた頃。
駅からフランスが車を運転してきたが、車中では互いに疲れきっていてまともに会話すらしなかった。

「どうぞ…」

家の鍵を開け、扉を開き少し畏まった様に促すフランスの顔にはうっすらと疲れが滲んでいて、全然様になっていない。
そんな小細工なんていらないからさっさと家に入ればいいのに、とフランスの脇を通り抜けそう思う。
勝手知ったるなんとやらでリビングに向かい、ジャケットをソファーの背にかけ、ネクタイを引き抜く。

「あら坊ちゃん、積極的ね」

シャツの一番上のボタンを外し、どっかりとソファーに腰掛ければ後ろから遅れて入ってきたフランスにによによと笑い掛けられる。

「ネクタイ外しただけだろ」
「手付きがいやらしかった」
「死ね」

付き合ってられないとばかりに頭を後ろに下げソファーの背に預ける形にし、眩い照明から守るように手で目を覆う。
その暗さが心地よく、疲れた体はこのまま眠って休ませようとしている。
坊ちゃん此処で寝ないでねー、なんて声が聞こえたが構うものか。
俺がどこで寝ようが俺の勝手だろ。
ふと、目を覆う暗闇が更に色濃くなったように感じ不思議に思うも、唇に落とされた感覚にその正体を知る。
文句を言おうとして開いた口にヌルリ、と肉厚な舌が侵入し、奥の方で縮こまっていた舌に絡む。
顔をそむけてその口付けから逃れようとするが、いつの間にかがっちりと頭を固定されていてそれもかなわない。

「ん…んぅ」

疲れと眠気でうまく舌を動かす事が出来ないが、やられっぱなしも嫌なのでお返し、とその肉厚の下にちゅう、と吸い付き絡ませ合う。

「ふっ…ぁ…」

くちゅり、と淫猥な音を響かせ離れていった唇から覗く紅い舌と自分の舌は銀の糸で繋がっており、その糸をぼやけた頭で見つめていれば不意にぷつん、と切れてしまい後にはにやけているが熱に浮かされているひげ面が残った。
ああでも熱に浮かされているが実はにやけていないのかもしれない。
逆光で表情がよく分からず、でもきっとにやけているんだろうな、とぼーっと思う。

「イギリス、眠いの?」

こく、と一つ頷けばフランスはふ、と笑った気がしたが気のせいかもしれない。
フランスの体が横に退き、それまで遮っていた照明がじかに目に当てられ、強く眼を閉じる。
目蓋の裏には明るさが残っていたものの先程と同じように暗闇に包まれほっとする。
だがそれも束の間、突然体が宙に浮き、なっ、と体を捩ろうとする。

「こーら、暴れないの」

背中と膝の下に腕をいれられ横抱きに抱えあげられる俗にいう『お姫様だっこ』をされているらしく、暴れたせいで不安定になった体をよっ、という掛け声とともに抱え直される。

「何すんだよ」

しょぼしょぼとする目をこじ開け、横を向けばすぐ傍にあるフランスの顔を睨みつける。

「だって、イギリス眠いんだろ?」
「寝みぃよ」
「じゃあ…」

ベッド行こう?
にっこりと微笑まれたそれを今度は完全に捉えることができ、その言葉に含まれる不穏な意味を理解した。



「ひっ…」
「っ…痛い?」

ずず、っとゆっくり押し入ってくるそれに詰めていた息を吐き出し、それに合わせて内壁が緩む。
埋め込まれたそれは熱く、体内でどくどくと脈打ちその存在を強く主張している。

「あー…、なんか久々ー」
「ば、かぁっ…」

ゆるゆると腰を回され、擦れる感覚に背筋に何かが這いあがる。
逃げを打とうとする腰はフランスにがっちりと掴まれていて動かすことができず、その些細な揺れにも甘い声をあげてしまう。
自業自得だが…、死にたい。

「こっちも…すごいことになってるね」
「やっ、さわん、なぁっ…」
「えー、触ってほしそうだよー」

ここ、とさっきからだらだらと液を溢れさせている自身を握りこまれ、高い声が上がる。
もう先端の方からは白っぽいようなものが溢れ、そろそろ限界がくる。

「ふらぁ、ぁ、もっ…」
「もう?」
「うっ、さ…」

ちょっと驚いたような声を上げられたけど…いつもなら先に一回イかされて、その後あー…なのに、今日はまだイってないから仕様がないだろ。
揺さぶられながら扱かれ、本当にもう堪えることができそうにない。

「あぁっ、も、ほんっ、と、だめぇ…」

ぎゅ、とフランスの体にしがみ付き、すがりついた肩口に爪痕を残す。
 
「っイギリス…、もうちょっと、我慢して」
「ひぁっ…、や、無理…ぃ」

あと少しでイク、と言うところで根元を握りこまれ、熱をせき止められる。
いき場を失った熱がぐるぐると渦巻いていて、その感覚に頭が真っ白になる。
それなのにフランスはがつがつと腰を打ち付けてきて、それがいいところに擦れあけっぱなしの口からは嬌声が零れる。

「ああっ、ふら…す、、ぁ、やぁっ」
「すっげ…、締まる…」

荒い息の合間で囁かれた言葉に熱は上がり、内壁がより強く締まる。
うっ、と息を詰めたフランスに、堪えないでさっさとイケ、と思うがこらえやがった。

「あーもう、お前の中、気持ち良すぎて、ずっと入ってたい!」
「ほざ…けっ」
「でも…」
 
今日は眠らせない。
そう言って一際強くフランスが腰を打ち付けたと同時に戒めていた指が外され、奥で熱が弾けるのを感じた。
イった余韻でぼう、とする頭は再び眠気を運んできた。
それに委ねてしまおうとするのに、今熱を吐き出したばかりのフランスが硬度を取り戻していくのを感じて…

「えっ?」


にっこりと微笑んだフランスはゆっくりと腰を動かし始めた。 







09/04/13
特にコメントすることはありませんが…何かすみません。
全然エロくねぇ!

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