ご注意1

この話はすでに張遼と結婚しているヒロインが、趙雲に好かれるお話です。
そういった設定に嫌悪感をもつ方もいると思うので、注意書きをさせて頂きました。
ちなみに、この話は本気・・・のほうです。
とくにパートナーである張遼の立場で物語を読み進めるとかなーーり嫌な思いになることができます(苦笑)
合わない方はブラウザバックで。

元ネタは一般主婦が話した不倫ネットニュースから触発されて。
管理人には体験経験がございませんので、想像力のみで書いております。
ありゃ?と思う部分もあるかと思いますが、流してくださいませ。

ご注意2

年齢設定を弄っております。
書き始めて配役をして、ラストまでの流れを汲んでから年齢差を確認したアホ管理人ですみません。
趙雲、張遼・・・28くらい
馬超・・・趙雲たちのちょい下
諸葛亮・・・馬超より下
曹操、夏候惇あたりは、まあ、無双の見た目のままの年齢設定で。
軍師で諸葛亮の代わりも考えたんですが、諸葛亮が居る前提の趙雲vs張遼で書きたいので、このままでいきます。
この三人がまともに顔をそろえる頃、皆さんかなりいい御年なんですが。
そもそも、趙雲と張遼が顔を合わせる戦いがあるのか?という疑問も・・・。虎牢関とか。
でも諸葛亮が181年生まれだから9歳。
諸葛亮が劉備へ200年以降の仕官したらしいので、そうなると出会うのは赤壁のころで40後半くらい?さすがに誰か隣にいるだろう。
一夫多妻制だけど、50のおっさんが一目ぼれで戦場放り出しって無理があるかな、と。
戦の場所は決めておりません。山と川がある戦場で、魏vs蜀で拮抗状態が続いてる戦の設定です。

では、本編です。
途中でヒロイン視点から趙雲視点へ切り替わります。












恋とは落ちるものだと、初めて知った。











斬りむすんだ刃はギリギリと鳴いて、火花が散った。
道々には返り討ちにして転がしてきた屍。残る追手はあと一人。
しつこく食らいついてくるその者を撒くことを諦め、対峙して何度となく斬りむすんでいるが、なかなか腕がよくて決着がつかない。
遠くで爆発音がこだました。
それに驚いたんだろう。
草むらから飛び出してきた獣に、一瞬、その者の気が取られたのを見逃さなかった。
「ぐうっ」
力いっぱい弾き飛ばした得物は空を舞い、月明かりにきらめいた。
いまだ!
丸腰となったその者にすかさずとどめをさそうと大地を蹴った。
私の刃がその者に吸い込まれたとき、相手の胸元からこぼれた爆薬が見えて、意図に気づいてとっさに後ろへ飛び下がったが、遅かった。
暗闇を炎が照らし、熱さと衝撃に襲われる。
爆風のあおりをまともに受けてしまい、近くの木まで体が吹っ飛ばされた。
「ぐっ・・・」
受け身を取れなかったので、叩きつけられた時ミシリと体が嫌な音を立てた。
骨にひびがいったかもしれない。
ここで気を失うわけにはいかない。
そうわかっていても体はいうことを聞いてくれなかった。
重い体を支えることはできなくて、グラグラと視界が揺れて、暗転した。












(side 趙雲)

木に寄りかかっているその者に息があるのはわかっていた。
いつもなら誰かに刃を突き立てることも躊躇などしない。
それが男であろうが女であろうが、殿の創る太平の世を築くため。今戦が必要なのだから。
捕虜として連れて行こうと思ったのも、強い理由があってのことではなかった。
「ぶん、えん・・・」
けっして大きくなかったその声は、私の耳に届いてしまった。
ぞくり、と何かを感じ取った。
駆け寄り、その体を支えて、今度は息をのんだ。
月明かりに照らされるその顔。柔らかなその体。
ただ、心臓がなった。
「な、な、」
耳もとで心臓の鼓動が聞こえる。己の心臓がうるさくて、それ以上の言葉が出ない。
初めての経験だった。












「では、失礼する」
総大将の諸葛亮殿に今日の戦の報告をして、馬超と入れ違いに割り当てられた幕舎へと戻った。
他に切り捨てた彼女の部下であろう者たちは報告済みだ。
すれ違った警備の兵士に労いの言葉をかけて、垂れ幕をくぐった。
中にいるのは腹心の部下であり、私の部下で唯一の女性である未衣。
その視線にうなずいて、更に奥へと進む。
幕舎の一番奥。
私用に用意された寝台の上に眠る女性。
その寝台の傍らへ膝をついた。
熱に浮かされたまま、なかなか目を覚まさない。汗で張り付いたその髪をはらったが、反応はない。
本来、それは自分の役目ではない。そして、彼女がいるべき場所もここではない。
彼女の口から洩れるのは荒い息。傷口からの熱で、苦しいのだろう。
我が隊の救護の者に見せたら打ち身と切り傷はかなりあるが、内臓や骨には異常がないとの診断だった。
「あなたを、渡せない」
渡したくない。誰にも。
殿に誓う忠誠も、殿が信じる仁徳の世を目指す意思も、何一つ己のなかでは揺らがないのに。
殿のために戦場に立つ、その思いも意思も変わらないのに。
それでも、今は、ここにいたい。
ただ、あなたをみていたい。
ただ、あなたのそばにいたい。
殿」
あなたが誰なのか、わかっているのに。
わかってもなお、変わらない。この心は少しも動かない。
殿」
ぬるくなってしまっていた額の布を冷やそうとはずすと、待ち望んでいたまぶたが揺れた。
「・・・ん・・・・・・」
「気が付かれたか?」
「・・・う・・・・・ここ、・・・は?」
「ここは蜀軍の私の幕舎。あなたは怪我を負っていたので私が運びました」
ぼーっと空をさまよっていた視線にだんだんと光が戻ってくるのがわかった。
起き上がろうとして走った痛みに、彼女の口から苦悶の声がこぼれた。
「まだ起き上がるのは無理です」
抑えきれぬ痛みに震える彼女の体を手で制して、再び寝台へと体を横たえさせた。
眉間にしわを寄せたまま、視線だけであたりを窺っている。
「無理はなさらずに休んでいてください。不自由があれば言ってほしい。出来るかぎり対応します」
「あなたは?」
「私は趙雲と申すものです」
「・・・・どういう、つもりですか?」
声のトーンが低くなった。
どうしてこうなっているのか理解できないんだろう。
いったいなんのつもりなのか。
私の意図が読めないから、内心を探り、真意を読み取ろうとしているのがわかる。
「私が、魏軍の者であることは、おわかりでしょう?」
これは捕虜に対する待遇ではない。
そう、その表情は告げていた。
「えぇ」
確かにそのとおりだ。
怪我をしていようが捕虜は縄でつなぎ、警備兵の元で監視するのが常なのだから。
扱いの程度に多少違いはあれど、どこの軍も変わらないだろう。
少なくとも、手当てして寝台へ寝かせておくなどあり得ないことだ。
なぜか?
伝えても、きっと伝えきれない。
あなたがいれば、なんて。
いま伝えても信じてもらえないだろう。
そうわかっていて、でも己にできる事は、ただそれを伝えることだけだ。
嘘偽りなく心のうちを伝えた。
「あなたを、死なせたくなかったのです」
「え?」
私たちは敵同士。だから今戦っている。
でもあの時、敵だとか、味方だとか考えられなかった。
あなたを助けたかった。あなたを死なせたくなかった。
ただ、あなたのそばにいたかった。
それがここにあなたを招き入れた理由。そして、報告しなかった理由だ。
今も変わらない。
殿」
名を呼ぶと彼女の目が見開いた。
私が名を知っているのが意外、だっただろうか。
うつろな意識の彼女の口からこぼれた字は、敵軍の将である張遼殿の名だった。
名だけ聞いたことがある。
張遼殿の妻。殿。
曹操殿の娘だと聞いたことがあったが、その姿を見たのは初めてであった。
「趙雲殿が、私をご存知とは、思いませんでした」
「曹操殿のご息女ですね?」
確認のため問いかけると、スッと彼女の目から冷たさがにじみ出た。
警戒色を強めたのがわかる。
「誤解なさらないでください。捕虜としてではなく、あなたを助けたかっただけです」
傷ついているあなたを助けたかった。
ただ、あなたのそばにいたかった。それだけだ。
「・・・あなたは、私が何者か、わかっていてなお、ここへ連れて来たのですか?」
「はい」
「縄も、打たず?」
「はい」
「ただ手当てをしてくださった?」
「そうです」
「捕虜としてではなく?」
「そうです」
問いに答えれば答えるほど、色濃く疑念の視線へと変わっていく。
「どうぞ、ゆっくりお休みください」
「信じられない、わ」
その口から紡がれる、すべてが愛しいなんて、きっと信じてもらえないだろう。
それでもいい。 あなたのそばにいられるのであれば。






恋とはするものではない。
おちるもの。
おちてしまったら抗う術などなかった。



















ということで始まりました。張遼妻趙雲夢(をい)
寝取にしても不倫にしても、どうしたって張遼が不幸になるという。・・・張遼好きですよ、ほんとに。ほぼ出てきませんが。
イメージ曲は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの「花火」
ちなみに趙雲妻張遼夢のほうは「コスモス」です。
けっして三代目のファンでも回し者ではございませんが、たまたまかかっていたのを聞いてリピしながら執筆しちゃいました。
作曲者が同じなのかな?三代目やEXILEは聞いてて気に入る曲が結構あります。恋と愛とか冬空とかベストフレンドガールとか。・・・片恋や振られ曲ばかり?(笑)
このストーリーは悲恋予定ですが、キャラ次第です。さぁ、苦悩して悶えてくれ、趙雲。

2019/11/20



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