「姉ちゃん!」
「一馬、どうやってここに?」
「風祭に案内してもらったんだよ」
「風祭?」
見れば端っこのほうに小さくなっている背の低い男の子が一人。
見たことがない顔。
どうもと頭を下げられたので私も頭を下げた。
どうやら彼が案内してくれた風祭くんらしい。
さん、大丈夫だった?」
「もちろん俺もいるよ〜」
一馬の後ろ。少し開いた玄関の戸から出てきた男の子に私はもっと驚いた。
「!英士くん。結人くんも。どうして‥」
「一馬から見てなくてもわかるほどの焦った声で電話がかかってきてね」
「そうそう。『草晴寺って知ってるか?早くしないと姉ちゃんが襲われる!』ってな」
これには私も隣にいた成樹くんも吹き出してしまった。
お、襲われるって‥
確かにそうもとれなくない電話の内容だったかもしれないけど‥。
「それでわざわざ迎えに来てくれたの?」
「当ったり前じゃん。俺、さんのことスゲー大事に想ってるもん」
「ありがとう、結人くん。私も結人くんのこと大事に思ってるよ」
にっこりと結人くんに微笑むと、成樹くんにかるく服を引っ張られた。
「成樹くん?」
「‥とりあえず、姉ちゃん、帰るよ」
「え、ちょっ‥ちょっと待って」
反対にぐいぐいと袖を引っ張る一馬に慌てた。
「まだの服が乾いとらんのや。だいたいやってそのままじゃ帰れへんやろ?」
成樹くんが一馬の腕をつかむと、ふいっとそっぽを向いて私の袖を放した。
「じゃ、さん。その間、できればどういうことがあったか説明してほしいんだけど」
いい?と尋ねられて反射的に頷いていた。
っていうか英士くん、顔は笑ってるけどなんか目が笑ってない気がするんだけど。なんていうかまるで貼り付けたかのような笑顔がすごく迫力あって怖いというか。
これは無言の圧力?
さっきの成樹くんの視線みたい。結人くんや一馬からもビシバシ感じるけど。







あの端っ子にいた子(風祭くんって子ね)成樹くんが上がっていけって言ったんだけど
「じゃ、僕はこれで」って笑顔で、引き留める間もなくさっさと帰っちゃって。
なんか見捨てられたような気がするんだけど。
ま、なんとなくギスギスしたような雰囲気だったし、彼からしてみればこれ以上巻き込まれるのはゴメンってところかしら?
どっちにしても私でもそうするだろうからあまり責められない。
風祭くん以外は成樹くんの部屋に戻り、私は英士くんたちに今日あったことを話した。
彼氏と別れたこともね。なんか既に私の中ではふっ切れていたから苦はあまり感じなかった。
まだ別れて一日経ってないのに、我ながら立ち直りが早いなぁと思う。
そうなれたのは成樹くんのおかげも当然あるけど。
「だから言ったのにさ、あんな奴やめておいたほうがいいって」
英士くんの呆れたような口調に頭が上がらない。
「はいはい、英士サマ。まったくその通りですみませんね〜」
あー‥なんかしゃくだなぁ。
年下の子に頭が上がらないのって(っていっても一つだけだけど)
でも、いつかの英士くんが言ったとおりだし。
見た目だけじゃなくて英士くんは私よりずっと大人って感じがするんだよね。成樹くんもだけど。
結人くんは同い年って感じで一番ガキっぽいのはやっぱり一馬かな。
ま、それはそれで一馬らしくていいんだけど。
「じゃ、いま俺がさんをもらっても問題ないわけだね?」
……は?もらう?いま英士くん『もらう』って言った?
「なに言ってるの?英士くん」
「それはダメやで。俺が先に言ったんやからな」
「二人だけで話しすんなよ。だいたい後先を言うなら俺が一番最初だろ?ね、さん」
「結人くんもなに‥」
言うたよな?拾ってくれるか?って」
「う、うん」
いや、確かに言ったけど。
「俺、さんを譲る気ねぇよ。ずっと一緒にいて、ずっっと待ってたんだからな」
「俺も譲れないね。とつぜん現れたヤツにとられるなんて冗談じゃないよ」
「一緒にいた時間の長さなんか関係あらへん。俺はが好きや。譲る気も負ける気もないで」
「おい、そっちで勝手に話を進めんな!姉ちゃんは俺のだ!」
「えっとぉ……ι」









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もらい手がたくさんいてくれた場合
捨て猫は いったいどうすればいいんでしょうか?
















どうすればいいんでしょう?だいたい早い者勝ちですよね?

2002/07/19



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