「好きだ‥」









確かに渋沢はそう言ったと思う。
聞き違いかと思って渋沢を見ると、渋沢は微笑んでが好きだと言ってくれた。
正直、嬉しかった。







私は俯いて精一杯、これ以上伸びないってくらい腕を伸ばした。
私も確かに渋沢が好き。だけどそれは…
「‥渋沢は‥‥友達だよ‥」
渋沢が好きだけど、それは一人の友達として。
私の答えに、ただ言いたかっただけだからと渋沢は笑ったけど、心にしこりみたいなものを感じた。









「で?は何をしに教室にきたんだ?」
机の中からノートを取り出した渋沢が振り返った。
「えっ?」
「何か忘れ物か?」
私は違うと首を振った。
「渋沢に臨時のときに配られたプリントを渡そうと思って‥あれ?」
そのとき、私は手の中にプリントがないことに気がついた。
私、プリントどこ置いてきたっけ?
ここを出たときは確かに持ってたよね?じゃあ、部室を出たときは‥?
?」
「ゴメン、渋沢。プリント、サッカー部の部室に置いてきちゃったみたい」
持って出た記憶がないもん。
つまりサッカー部の部室に置いてきたってことだよね。だからあの時、三上が声をかけたんだ。
ったく、気づいて止める気があったんならもっと気合入れて止めろっての!
ん?ってことは早く戻らないと笠井くんに鍵かけられちゃうってことじゃない?
「渋沢、急ごう!早く戻らないと笠井くんに鍵かけられちゃう!」
急がなきゃ急がなきゃと教室の戸口まで走って振り返ると、渋沢は私を見て苦しそうに笑っていた。
「?なんで笑ってるの?」
笑われている意味がわからなくて渋沢がいるところまで戻った。
私、なんか変なこと言った?
「いや。らしいなって思って」
「渋沢、言ってる意味がわからないんだけど」
「まぁ、気にするな」
渋沢は相変わらず笑っていた。
もっと追求したかったけど、時間がないのは知ってのとおり。
、急ぐんだろう?」
差し出された大きな手に自分の手を重ね、教室を出た。
早くしないと笠井が帰ってしまう依然に校舎に閉じ込められてしまうな。
シャレにならないことを話しながら廊下を走る。
そのどこか楽しそうな横顔を見て私はただ考えていた。
私、本当に渋沢を友達としてしか見てなかったかしら?
「渋沢、やっぱりさっきの返事訂正」
足もとに送っていた視線をそのままに、渋沢の視線を強く感じて。
「私も渋沢のこと好きみたいだわ」
























今も考えている逆ハーの続きを作っていて浮かんだ話。
はじめ、相手役は三上先輩でしたが、渋キャプのほうが寝顔を見る機会って少ないよねと思い、変更。
やっぱりこっちでよかったかなと思ってます。

2002/05/02





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