ついに3日目。前々から準備や打ち合わせしてきたクラスマッチも今日で終わり、なんて。
なんかホッとするような、ちょっと寂しいような複雑な気持ち。
文化祭の時もきっと同じことを感じるんだろうな。
なんて思いながら一人でノコノコと歩いていたら、いきなり後ろから背中をバンと叩かれた。
「おはようございます、センパイ」
笑顔で挨拶してくれたのは藤代の彼女のちゃんだった。
朝から元気いいわね〜
「おはよう、ちゃん。‥あれ?藤代は?」
そう聞いたとき、ちゃんの表情が少し曇った気がした。ほんの一瞬だったから私の見間違いかもしれないけれど。
「誠二くんは試合です」
「ちゃん、応援に行かなくていいの?」
「私、センパイの応援したいんです。ぜったい優勝してくださいね!センパイ」
私たちに勝ったんですからと言うちゃんからどこか泣きそうな雰囲気を感じる。顔は確かに笑っているんだけど。
「わかってるわ。ちゃんと勝つからね」
私は気づかないふりをして、いつものように笑って返した。
体育館に行くと、すでには来ていた。しかも仁王立ちでご立腹の様子。
「遅いわよ、」
あのね、私が遅いんじゃなくてが早すぎるのよ。まだ相手の子たち来てないじゃない。
「さぁ、早く練習しよう。ぜったいに勝とうね。2年なんかに負けられないわよ」
おぉ!がメラメラと燃えている。
そういえばは去年もバドミントン選んで、ブロックの決勝で1年に負けた〜って言ってたっけ。
このクラスに負けたのかしら?
「……だから。?ちょっと!私の話、ちゃんと聞いてる?」
「あ、はいはい。聞いてます、聞いてますよ。がんばって勝とうね」
の気迫に押されながら私はラケットを手に取った。
「バドミントン。準々決勝第1試合。Aブロック代表2-7対Dブロック代表3-3の試合を始めます」
「お願いします」
かるく礼をしてがコートの左側、私が右側に入った。サーブはジャンケンで決めて、2年生から。
私ってどうもジャンケン弱いなぁ。
「ねぇ、、次の…」
「次の試合からは私がジャンケンするわ」
あはは、わかってたの。じゃ、お願いしますね。
「行きます」
サーブは下から打つのが鉄則だから、比較的とりやすい。楽勝楽勝とか思ってたら。
「あら‥」
からぶっちゃった。自分でやっておいてなんだけど、こういうのって出鼻をくじくよね。
「ゴメン、」
「」
「ゴメン」
「‥」
だからゴメンってば〜
はじめにサーブするほうはファーストサーブだけだから、すぐにこちらにまわってきた。
相手のシャトルのスピードは早くて強くて、とても2年とは思えない。
場所も入ってるかどうかのライン際や、打ち返しにくいところにばかり打たれてる気がするからたぶん経験者なんだと思う。
そうでもなければ2年でここまで勝ちあがってはこれないだろうし。
う〜ん。さすがにブロックを勝ち抜いてきただけのことはあるな。
な〜んて感心してる場合じゃないよね。こっちは今年が最後なんだから、優勝したいもの。
試合はジュース有りの11点マッチ。
2年生のミスが続き7対3で優勢にたてて、このままならいけると思ったころ、今度はがミスしはじめた。
ヤバいな。こういうのってミスし始めるとハマっちゃうんだよね。
も同じことを思ったらしく、なんとかしようと焦ってるみたい。
こういうときこそ私がフォローにまわらないとね。
なーんて、冷静に考えていられたかというとそうじゃなかった。
とにかくきたものを打ち返す。それだけで精一杯だった。
10対9の一点リードでむかえたセカンド[私の]サーブ。
無理だろうと思って振ったラケットに当たり、シャトルはネットの上ギリギリを飛んで落ちた。
「ゲームセット」
「センパイ、おめでとうございます。スゴかったです。よくあんなの打てましたね〜」
「まぐれよ。それに最後があれじゃショボいわ」
あれだけバシバシ打って熱戦だったのに、最後はチョンとネット際に返すだなんて。
ショボいっていうより卑怯?あれってたしかヘアピンとか言うんだったっけ?
「あら、見た目ショボいからってバカにしちゃダメですよ。力加減が難しいし。私にはできないんですから、やっぱりセンパイはスゴイです」
「ありがとう」
嬉しいんだけど、あまりスゴイスゴイと連呼されるとお世辞とわかっていても照れてしまう。
スゴイスゴイと笑って話しているちゃんの顔が一瞬だけ曇った気がして、私は深く考えず反射的に聞いていた。
「ちゃん。いったいどうしたの?」
「…………………」
朝もおかしいと思ったけど、やっぱり間違いないみたいだった。
ちゃん、なんか空元気な感じがしたから。
「‥やっぱりわかりますか?」
「わかるわ。なにか悩み事ね?私でよかったら相談にのるわよ」
「お願いします」
すみません。私、バドミントンの試合は出たことが一度もないのでルール間違ってるかも‥
2002/08/31
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