なんだろ?警告音?
わからないけど何かのシグナルみたいなものがずっと私のなかで鳴り響いてる。
すごく小さいもので、今にも消えそうだけど消えない。
消えてほしいと思う半面、消えてしまったら怖いとも思う。














歩いていった方向と勘から中庭に行ったんだと思ったのに、二人の姿どころか誰もいない。
ここじゃないとすると裏庭ってことかな。
パッと方向転換して走り出し、角を曲がったら目の前が真っ暗で浮遊感。
「きゃあ!」
「うわっ!」
かなりのスピードで走ってたし、なにより人がいるなんて思わなかったから。
校舎の角、出会い頭に人とぶつかり私は思い切り吹っ飛んだ。
「大丈夫か?
「うん。まぁ、なんとか」
ちょっと肘とかお尻とかがジンジン痛むけど。
顔ひきつってるかも‥と思いながら差し出された手を掴んで立ち上がる。
服についた土を払っていて気づき、今さらだけど尋ねた。
「…あれ?は?」
そういえば声がしないと思ってみたらの姿がない。
ぜったい一緒にいるんだと思ってたから少し拍子ぬけしてしまった。
さんなら先にグランドへ戻ったが?」
会わなかったか?と聞かれて頷いた。
どこですれ違ったんだろ?中庭に寄ったときかな?
「今から追いかければ間に合うぞ」
「あ、違うの。に用があったわけじゃなくて、渋沢に」
「俺に?」
「うん。話があるの。聞いてくれる?」
渋沢はなにも言わずに、ただ私の言葉を待っている。私は一つ深呼吸をして渋沢に背を向けた。
「私ね、今日、ちゃんから相談を受けたの」
もちろん内容は言わない。
言わなくても渋沢はわかるかもしれないけど。
「その時ちゃんに言った言葉をに言い返されちゃってね。ずっとその言葉の意味を考えてた。なんでがそんなことを言ったのか」
は私になにを言いたかったのか。なにに気づかせたかったのか。
「さっき体育館で渋沢との姿を見てて鳥肌がたった。やっと気がついたの」
恐ろしいほど前からあったこの感情に。今さら認めても手遅れかもしれないけど。
「私は…」
、その続きを聞く前に俺の話も聞いてくれないか?」
私は黙って頷いた。ありがとうと言うと渋沢はさっき私がしたみたいに深呼吸を一つした。
「俺は昔からサッカーが好きで、ずっとサッカーしか見てこなかったんだ」
渋沢の言葉にビクっと体が跳ねた。知っていたのに今の今まで忘れていた。
三上も渋沢もそれを理由に女の子の告白を断ってるってこと。
じゃ、やっぱり‥
「俺は2年のときからレギュラーで、いろんな場所に行っていろんな相手と試合をやった。そのとき、マネージャーでもないのに必ず応援に来てくれた子が一人だけいたんだ。俺はその子が気になり始めて。でもその子は俺の親友ととても仲が良くて、俺の気持ちに気づいてはくれなかった。諦めようかと思った」
「渋沢、それって‥」
が好きなんだ」
嬉しいという感情はなかった。
ただ今の渋沢の言葉が信じられなくて。嘘みたいで。
「‥ゴメン、渋沢。もう一回言ってくれない?」
都合のいい幻聴?とかボヤけた頭で思って。そんな私を渋沢は笑っていた。
「俺はが好きだよ。俺と付き合ってください」
「嘘じゃなくて?」
「嘘でも冗談でもないよ」
本当に?
なにも言えなくて。どうすればいいのか考えられなくて。泣きながら渋沢に抱きついていた。
、返事はもらえないのかな?」
上から渋沢の困ったような声が聞こえる。私は首を振った。
ちゃんと笑って答えたかったけど涙が止まらなくて。泣き顔なんて見せられなかったから抱きついたまま答えた。
「こちらこそよろしくお願いします‥」











『全校の皆さんに連絡します。閉会式が始まりますので北グランドへ集合してください。繰り返します。』
時間だ。閉会式が始まる。
今から走っていけばギリギリで間に合うかもしれない。
渋沢を見上げたら目が合った。
たぶん、その瞬間、私と渋沢は同じことを考えたんだと思う。
「渋沢がいないと目立つよ」
「それはだって同じだと思うぞ」
「やっぱり怒られちゃう、よね?」
「たぶんな。戻るか?」
私は首を振った。
渋沢は私がそう答えるとわかっていたみたいで笑っただけだった。

















ヒロインの性格変わってないか?ってツッコミはなしで(滝汗)

2002/07/16



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