クラスマッチ2日目。私の一日は昨日より早く始まった。
理由は簡単。昨日、お礼をしたいって言った私に渋沢が言った言葉。
なぜかよくわからないけど渋沢は私にお弁当作ってきてほしいんだって。
ここで問題が発生。私はべつに料理が嫌いってわけじゃない。だから作ろうと思えば作れる。
問題は昨日渋沢に分けてもらった渋沢が作ったというお弁当。
認めるのは悔しいんだけど、はっきりいって私の普段作るお弁当より見た目も味もずっとよかったんだよね‥
それによくよく考えてみれば、いつ聞いたか覚えていないけど、三上が渋沢の趣味は料理だって言っていた気がするし。
運動はできるし、料理はできるし、成績もいいし、手先も器用だし、性格もいい‥かどうかはわからないけどルックスはいいし。
ホント渋沢ってオールマイティになんでもこなせる奴の代名詞みたいな奴。
女子がどこかのアイドル並にキャーキャー言うほど人気があるのも納得がいくわ。
……って改めて納得してる場合じゃないか。
「私、負けず嫌いなのよね」
その私が昨日、あれだけ美味しいものをもらってしまったんだもの。気合いが入ってしまうのも仕方ないこと。
私は普段のお弁当を作るときの倍くらいの時間と100倍くらい気合いを入れて食べられる芸術品を作り上げた。
玉子焼きだって綺麗に焦げ目がつくように細心の注意をはらったし、サラダだって甘すぎずしょっぱすぎずを目指して絶妙な味。
これなら渋沢にも誰にでも渡せるわ!
自分でそう納得した上で私はいつも通り時計を見上げた。
この瞬間、昨日と変わらない朝に戻った。









朝の名残を多少引きずりながらも私は昨日と同じように学校内を走り回った。
ま、昨日に比べたらずっと少ないけどね。
午前中は自分の試合とクラスの応援でドタバタ(というほどでもないけど)していて渋沢とまったく顔を合わせなかった。
試合は見ていないけど時折入る試合結果の放送と、正面玄関にデカデカと貼ってある模造紙で順調に勝ち上がってるらしいということがわかる。
「こりゃ、三上の言ったとおりになるみたいね」
模造紙を見上げながら呟いたら12時を知らせる音楽が流れた。
「あ、三上、近藤。渋沢、どこにいるか知らない?」
ちょうどよく通りかかった二人に声をかけた。
「渋沢ならあっちの水飲み場にいたけど」
体育館のほうを指差した近藤にサンキューと礼を言って、私は一直線に水飲み場へ向かった。
もちろん例の約束のお弁当を取りにいってからね。
「渋沢〜約束通り作ってきたよ」
私は微笑みながら渋沢にもってきた物を見せた。
「ね、どこで食べる?」
クラスが違うから教室でってわけにいかない。それにこんなに天気がいいんだし。
「そうだな。涼しいだろうから北庭にでも行かないか?」
渋沢の提案に私は頷いた。







絶対に誰かいるだろうなと思ってきてみると、北庭には誰もいなかった。
といっても、遠くからワーとかキャーとか痛ーとか色々聞こえるから静かというワケじゃなかったけど。
「あの下に座ろうよ」
私は一番大きく見えた木を指差すと、渋沢の答えを聞かずに走り出した。
誰かに取られるってわけでもないのに何故走ってしまったのか私にもわからない。
「珍しく誰もいないんだな」
周りを見渡しながら渋沢がゆっくりと歩いてくる。
「そうだね。誰かいるかと思ってたんだけど」
パカパカと手際よく(って自分で言うのも変だけど)お弁当のフタを外していく。
「美味しそうだな」
「当たり前。自信作だよ」
これ以上ないってくらい気合い入れて作ったんだから。
「はい、食べてみて」
いただきますとちゃんと手を合わせてから食べるから笑いそうになった。
渋沢がやるとなんか可愛くみえる‥(笑)
「どう?」
味見はしっかりしたから変ってことはないと思うんだけど。
「美味いよ。は料理上手だな」
「渋沢キャプテンには遠く及びませんけどね」
私たちは顔を見合わせて笑い合った。
「すまなかったな。作るの大変だっただろう?」
「料理は嫌いじゃないし。作るより持ってくるほうが大変だったよ」
重くてさというと渋沢に謝られた。
「もう、いちいち謝らないでよ」
私のほうから無理やり頼んだようなものだったし。
「だいたいどれくらい作ればよかったのかわからなかったんだけど、ちょっと多いかな?」
「いや、それじゃ少ねぇよ」
どこからか聞こえた声に振り返って見れば三上と笠井くんとがこちらに歩いてくる。
正確には笠井くんは三上に引きずられてだけど。
「なんで俺らに声かけてくれねぇワケ?」
「二人だけで食べてるなんてずいぶんお熱いじゃ〜ん」
「そんなんじゃないわよ」
ほらね。だから絶っ対声かけたくなかったのよ。茶化すに決まってるもの。ったく暇人どもめ。
先輩、キャプテン、すみません」
「やだ、謝らなくていいよ、笠井くん」
いいよねと渋沢に聞くと渋沢は頷いてくれた。
「ねぇ、笠井くん。よかったら食べて感想聞かせてくれない?」
いただきますとちゃんと手を合わせてから食べるからまた笑いそうになった。
笠井くんも、それやるとすごく可愛いんだってば‥(笑)
「どう?」
「すごく美味しいです」
「ありがとう。そう言ってもらえると頑張って作った甲斐があるわ」
自分が作ったものを美味しいと言って食べてもらえる。これって本当に嬉しいことよね。
「こっちも食べてみて」
「おいおい、笠井ばかりズルイんじゃねぇ?」
「そうそう。俺らには勧めてもくれないのにさ」
「アンタたちは勧めなくても勝手に食べてるじゃない」
言いたい放題のガキ二人にピシャリと一言。
だって本当のことだもの。べつに食べてるのを取り上げてるわけじゃないんだから、お礼は言われても文句を言われる筋合いはないわ。
の意見が正論だな」
「もとを言えば渋沢が黙っていたからだろ?三上が言わなきゃ知らないまま俺、また昼飯がパンだったんだぜ」
栄養失調になったらどうしてくれるんだと言うに呆れた。
「それなら自分でお弁当作ってくればいいじゃないですか?」
「笠井、わかってねぇな。そんな面倒なこと、ができるわけねぇだろ」
「うんうん。俺のことがよくわかってるね〜三上くん」
嬉しくねぇよと嫌そうにいう三上と嬉しそうに笑うを見て、渋沢と私は思わず溜め息を吐いた。







そんなかんじで結局そのまま5人でお昼ごはんをとった。
だから最後は三上の言ったとおりやっぱり足りない感じになった。
もともと渋沢のためだけに作ってきたんだから当たり前のことなんだけど。
「……………………」
いや、べつに渋沢と二人が良かったとか、そういうわけじゃないんだけどさ。
なんかちょっと悲しいというかなんて言っていいのか。
私自身、よくわからない蟠りみたいなものが心に残った。

















ここでやっとヒロインの気持ちに変化が(?) 次へ行く前に『リトルリトル β』へお進みください

2002/07/04



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