青く澄み切った空には雲一つなく、すがすがしい。
グラウンドへ行こうと歩いていると、人影が桜の木の下にあることに気づいた。
「あれは・・・」
遠目でも誰なのかわかったので、心を浮きだたせながら走り寄っていく。
「おはようございます、先輩」
一つしか年は違わないのに見上げるほどの大きな背中。後ろから声をかけると、渋沢先輩にふりかえってもらえた。
「ああ、おはよう」
あたたかく優しい風が、頬を撫でて心地いい。
その心地よさを増幅するのは先輩の表情。
、早いな。まだ朝練まで時間があるぞ?」
「そういう渋沢先輩だって、もう来てるじゃないですか」
「俺はキャプテンだからな」
「私はマネージャーだからです」
真似して答えると先輩は笑ってくれた。
ちょうどふわりと風でなびいて、桜の花びらが舞い降りてきた。
「桜、きれいに咲き誇りましたね」
「そうだな」
そういって二人で視線を桜に移す。
薄紅色に染まる桜は、ゆっくり左右に揺れながら、私たちを見下ろしている。
ここ数日ですっかり暖かくなった。
つい先日まで手がかじかむほど寒かったっていうのに。
「・・・」
桜を見上げながら、ひそかに思いを寄せる先輩の横顔も見つめる。
ひそかに抱くこの気持ちはまだ伝えられないけれど、またこうして渋沢先輩と一緒に見れたらうれしい。

「あ、はい、なんですか?」
突然名前を呼ばれて少し驚いていると、私を見つめながらやさしく微笑んだ。
「来年も一緒に桜を見ないか?」
「・・・!」
「卒業しても顔出すから」
もしかしたら同じことを考えてくれていたのかもしれない。
そう思ったらうれしくなって、私も微笑んだ。
「もちろんです」










また来年もその次も、先輩と春を迎えられたらうれしい・・・



















三上先輩で書きたかったけど、渋キャプのほうが書きやすかったので。中学生のキラキラを今書くのは難しいわ・・・

2022/04/04


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