何もわからないままだけど

たった一つだけわかること



貴方との出会い

それはきっと雨からの贈り物‥
















次の日。昨日までの雨が嘘のように澄み切った青空が広がった。
結人や一馬は、やっとサッカーが出来る!
って喜んでいたけど、俺はあまり嬉しくなかった。
それが何故なのかはわからない。
試合にも大して集中できなくて監督に怒られてしまった。
でも俺の頭を占めていたのは昨日の自分の不可解な行動。
あれは何だったんだろう。
あの時は、ただ先輩にキスしたいと思った。
でも、どうして?
そして、この靄がかかった感情はいったい何?





練習の休憩時間。
思ったとおり結人と一馬が俺のところにやってきた。
「英士、今日はどうしたんだよ。なんかお前らしくないぜ」
結人に指摘されて確かにそうかもしれないと納得してしまった。
「なんかあったのか?」
「別に。なんにもないよ」
心配気に聞いてくる一馬に笑って返す。
「なんにもないってことはねぇだろ?今日の英士のプレー、絶対変だ」
「俺たちじゃ力にならないかもしれないけどさ、聞くぐらいはできるんだから話してくれねぇ?」
そのまま二人に問いつめられ(心配され)て。
俺は仕方なくこの二日間のことを話した。
もちろん先輩とキスしたってことだけ抜かして。
「英士。お前、その先輩のこと好きなんじゃねぇの?」
「そうじゃないと思うんだけど‥」
俺だって人を好きになったことがないわけじゃない。
初恋でもこんな気持ちにはならなかった。
だから戸惑ってる。
この感情は『好き』とは違う。
『好き』はこんなに苦しくなかったから。
でもただの『興味』で片付けるにはあまりにも重すぎる。

鉛のように重くて
霞みのように軽くて
呼吸が出来ないほど苦しくて
とろけるほどに甘い
矛盾だらけの靄がかかった感情。

どうしたらいいのかわからない。
自分がどうしたいのかもわからない。
「‥‥もう一度会って確認してみればいいんじゃねぇ?」
「俺もそう思う」
一馬の言葉に賛成する結人。
「確認って?」
「だからその‥先輩だっけ?その先輩が好きなのかどうなのかさ。会って確認してみろよ」
会うだけで確認できるんだろうか?
「悩んでても仕方ないって。っつうことで、ほら!」
ドン!と勢いよく背中を押され、驚いて結人を見る。
「えっ、確認って今から?」
だって、まだ練習は終わってない。
「そんな調子のままで出てもまた怒られるのが関の山だろ?」
「思い立ったら即行動!こっちは誤魔化しておいてやるから行ってこいよ、英士」
一馬が差し出してくれた鞄を受け取る。
「‥サンキュ‥」
二人の親友に感謝して俺は走り出した。
















to be continued…













あとがき

ということで同じ時刻の英士くん視点でした。
あぁ、英士くんが偽者になってるし
結人&一馬、本当に出張ってる‥ι
会話してる場所はみなさんのご想像にお任せします。

2002/02/04



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