はじまりは

ほんの些細なきっかけだった



ほら、雨音が聞こえる‥

二人にだけ聞こえる雨音が‥


















「さん？なんか顔赤いわよ。大丈夫？」
本を戻してきた子の顔が赤いので心配して声をかける。
「あ、はい。平気です」
相変わらず赤い顔のままだが、小さく答えた。
「あの子、さんの彼氏？」
「ち、違います！」
別に揶揄る気は全然なかったのだが、さんは力一杯否定した。
「２年の郭 英士先輩ですよ。先輩も知ってますよね？」
「‥えぇ」
小さく答えを返して窓際の椅子に座っている彼を見る。
はっきりいって興味なんかなかった。
化粧品の話、芸能人の話、そして恋愛の話。
くだらないとしか思えない友人たちの会話の中でたまに出てくる名前。
２年生の郭 英士。
我が学校一番の美男子と呼ばれている男の子。
成績も優秀で運動センスも抜群‥‥らしい。
ふーん。彼があの郭 英士くん。







「じゃあ、先輩。私、先に失礼させていただきますね」
「あ、うん。ご苦労さま」
パタン‥と小さくドアの閉まる音が響いた。
さて、やることもないし、課題でもやってしまおうか。
課題などをやるとき、ここほど便利な場所はない。
さっさと済ませてゆっくり本を読もう。
カウンターを出て、とりあえず必要な資料を取りにいく。
確かこの通りだったはずよね。
探していた資料を見つけ、取ろうとするが、あとちょっとのところで手が届かない。
私は決して背が低いほうではないのだけれど。
‥仕方ない。踏み台を持ってくるしかないか。
「俺、取りましょうか？」
突然かかった声に驚いて振り返る。
立っていたのは座っていたはずの郭 英士くん。
「届かないんでしょう？俺が取りますよ。どれですか？」
「あの青い背表紙の本よ」
と目当ての本を指差す。
「これですか？」
郭 英士くんは簡単にそれを取った。
私より背が高いのだから当たり前だけれど。
「えぇ、ありがとう」
差し出された本を受け取る。
「いいえ。先輩」
あれ？なんで私の名前知ってるんだろう。









雨は止まないまま‥

魔法がかかったことにまだ気づかない。

















to　be　continued…













あとがき

すみません。とっっても短くなってしまいました。
クールっていったいどう描けばクールに？？
わからないのに書いてるバカな私を許してくださ〜い

2002/01/21

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