「飽きぬか?」

無心にそれを見上げてどのくらい時間がたっていただろう。
呆けていたところへかけられた声。美髯公の二つ名をお持ちの関羽殿だった。
「飽きません。空は美しいですから」
「そうか?拙者には空は、いつも同じに見えるが?」
「そんなことはありませんわ」
苦笑いをして空へと視線を戻した。
「朝日から光が広がっていくところも、昼間の抜けるような青も、夕暮れの闇が混じるときも、毎日変わるものです」
刻一刻と雲は流れ、鳥や雲が空を彩る。
「私たち、人間だって同じです。いつもと同じように思っていても、ちょっとした仕草や話し方やその間や空気で変わって見える」
西の空が茜色から変わって紺色のベールが広がりだしている。
赤紫色のなかに白い星が瞬いているのが見える。
もうまもなく闇に染まって、月がなければ顔も見えなくなってしまうだろう。
「ありがとうございます、関羽殿」
?」
「私を気にかけてきてくれたのでしょう?」
「どこか元気がなかったように見受けられたのでな」
「昔の夢を見たんです、父様が斬られるところを」




あれは夢ではなく現実。
西涼の地を離れ、いくつもの戦場を駆けているというのに、今でも飛び散る血の鮮やかさも匂いも離れてはくれない。
どれだけ拭い去ろうとしても、きっと、忘れることなんてないだろう。
「以前はあの時の私に今ほどの力があれば、と思っていました」
そうしたら父様を助けられた。
父様は死ななかった。一族も、助けられたかもしれない。
「でも、そうだったら出会えませんでした。殿にも、みんなにも。だから、今は後悔しておりません」
父様がいなくなってしまったのは悲しい。とても悲しい。
でも、馬超とともに蜀に来て、新たな仲間ができて、今は幸せだと思う。
だから、大丈夫。
「そのみなの中に拙者も入っているのか?」
「もちろん、関羽殿にも」
空はわずかに、朱色を残すのみとなって、もう太陽は眠りについたことだろう。
これから月や星たちが踊り、夜空を彩る時間となる。
もう少し見ていたいが、今宵は宴の日。そろそろ刻限なのだろう。
「そろそろ宴の時間なのでしょう?関羽殿にお手間を取らせてしまいましたね。ごめんなさい」
「まだ刻限ではないから気にすることはない。拙者には空の違いはわからぬが、の違いはわかるからな。いつでも呼びに来よう」
「ありがとうございます」
「もっと持ってこーい!!!」
突然どこからか響いた張飛殿の声にびっくりして、関羽殿と顔を見合わせてしまった。
「今のお声は張飛殿ですよね?」
「あやつはもう飲んでおるのか。翼徳のやつ、仕方がないな」
「そのようですね。私たちも急いで参りましょうか」
ともに苦笑いをして、立ち上がった。
張飛殿はお酒好きで有名だ。
止めに入らなければ、宴の酒を飲み干されてしまうかもしれない。
宴席が設けられた室へ向かっていこうとしたところ、腕を引かれた。
「関羽殿?」
、次に空を見上げるときは拙者にも声をかけてほしい」
「それはかまいませんけど、関羽殿は空にご興味がないのでしょう?」
の隣で空を見上げるそなたを見ていたいのだ」
「え?」
それは、どういう意味、なんでしょうか?
ドキドキと早鐘を打ちだす心臓。きっと頬は赤いに違いない。
「いかがだろうか?」
私を見下ろすその瞳には鮮やかな星が瞬いていた。
















天体観測といえばBUMP OF CHICKENですが、天体というより空見てるだけの夢という。
カクか諸葛亮でいこうかなって思ったんですけど、諸葛亮は博識だからヒロインより空に詳しそうですし、カクはクがでないのが許せなくて関羽に。
当初は封神演技の天化夢だったんですが、封神演技スイッチが入らず。いつか完成させますよ、いつか。
でも当時、一番押しは夢じゃなかったな。たしかノーマル。

2020/2/13



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