「誠二のこと、本当に遊びだったんですか?」
話があると笠井が突然押しかけてきたので、何かと思えば、話題はやっぱり藤代のことだった。
「だったらなんだっていうんだ?」
ギロっと笠井を睨みつける。
これ以上、藤代の話はしたくなかった。思い返したくもない。
終わった遊戯をいつまでも引きずるつもりはないから。
もう終わったことだから忘れたかった。
「遊びだというのなら先輩は、何でそんなに辛そうなんですか?」
辛そう?俺が?
「別に辛そうになんかしてねぇよ」
笠井は暫く俺を見つめていた。
俺も見つめ返したが、しばらくして目を逸らした。
なんとなく見ていられなかった。
「先輩」
振り向こうとしたらベッドの上に組み敷かれた。
「なっ‥」
目を見開いて笠井を見上げる。
「遊びなら誰でも相手できるんですか?」
「だったらなんだよ。退けよ!放せ!」
振り解こうと抵抗してもビクともしない。
こんな細い腕のどこにこんな力があるのか。
「じゃあ、俺の相手もしてくださいよ」
なに言ってんだ。と反論しようとしたら唇を塞がれた。
「?!」
自分の身に何が起きているのかわからず呆気にとられていると、笠井の舌がするりと口内に滑り込んできた。
「‥?!‥っん‥‥ふっ‥‥」
簡単に舌を絡め取られ、そのまま強く吸われる。
「んんっ!」
久しく感じていなかった感覚に身体が震える。
とつぜん浮遊感に襲われて、俺は笠井にしがみ付くしかなかった。





俺の口内をさんざん泳いで、ゆっくりと笠井が離れた。
俺たちの間に銀色の橋がかかる。
「はぁ‥はぁ‥」
苦しくて酸素を求めて大きく息をしようとしたらまた口を塞がれた。
「‥‥‥ンッ‥‥」
どんどん自分の身体から力が抜けていくのを感じる。
「‥‥っん‥ふ‥」
飲み下せなかったどちらのものかわからない唾液が口の端から零れた。
「‥か‥‥さい」
ぼやけた視界で名前を呼ぶ。
「遊びなら出来るでしょう?俺の相手。それとも誠二のこと本気でした?」
笠井は笑っているようだった。
「ば‥か言ってん‥じゃねぇ」
荒い息のまま悪態をつく。
本気なんかじゃない。本気なんかじゃ‥
「じゃあ、いいんですね?俺、止まりませんよ?」
「勝手に‥しろ」
身体の力を抜いて目を閉じた。





もう、すべてがどうでもよかった。




























あとがき

あぁ‥三上先輩、自暴自棄してる‥。
笠井くん役得?
藤代くんもキャプも居ないですしこのままだと三上先輩喰われちゃいますね

2002/01/21



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