本当に傍にいてほしいと願う人はたった一人
伝えたいけど伝えられない だけど一人は耐えられない
だから代わりを求める 都合よく告ってくる奴を受け入れる
だって俺はそんなに強くねぇから














「もう別れようよ」
次の授業一緒にサボろうと笑って言ってた彼女が屋上にきてからの第一声がそれだった。
あぁ、もう彼女じゃなくて元彼女か。
霞がかかったような頭の中でどうでもいいことを訂正する。
その後も元彼女は何か色々と文句みたいなことを言っていたけど、頭にはろくに入ってこなかった。
こういうときに言われる言葉はだいたい決まってる。どれも心には響かない。
前の彼女の噂より素っ気無いねには多少ダメージ受けたけど。
一通り言いたいことを言い終えたのか、元彼女はさよならといって背を向けた。
俺は何も言わず、元彼女の背中を見えなくなるまでみつめた。
確かに好きだったけど後ろ髪に引かれるような想いはない。また過去になるだけだ。
我ながら素っ気無いと笑って、ふと見上げたらと同じクラスのがこっちを見ていた。

「‥なに見てんだよ」

悪趣味と笑って言ったけど、いつもどおりに笑えていたかは自信がない。
に見られたと思うと胸が痛くて仕方なかった。
だからとりあえず笑ってごまかした。







はいい。一緒にいても全然苦を感じない。
だから傍にいて欲しいと感じるのかもしれない。
誰よりも近くに感じられる友達なのに誰よりも遠くに感じてる女。





「好きで見てたわけじゃないわよ」
表情、態度からできれば見たくなんかなかったと言外に告げる。
俺も見られたくなかったんだけど。
「人がフラれるのを見るのは居心地悪いか?」
笑っていつもどおりを装ったけど、は眉を顰めたまま。
「落ち込んでないの?」
「別に」
どこか心配気に言うに淡々と答えた。
突っ立っているのが馬鹿らしく感じてを見ずに隣に座った。
落ち込んでなんかいない。どうせ代わりでしかないんだから。
そのままは黙ってしまった。俺も何も言わなかった。







そっとの肩に頭を預けた。
ただ変えようとした体勢が崩れてしまっただけだったのだけど。
都合よく起きた出来事に合わせて、俺はそのまま寝たフリを決めこんだ。
「三上?」
は俺を起こそうとしたけど俺はそのまま寝たフリを通した。
だってこんなの俺らしくねえってお前は言うだろ?
いつもは軽口たたいて喧嘩したりしてんのに、普通の友達してんのにさ。



理由はきっと代わりがいないから。
傍にいてくれる奴が、お前の代わりがいないから。
いつか言える?俺はお前が好きなんだって。









未来に怯え、偽りの自分を演じる二人に相応しい名は臆病者‥
そして二人の臆病者は今日も寄り添う。
互いの心中を知らぬまま…
















結局この二人、同じようなこと考えてるんですよね。

2002/04/29



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