いくら見てても飽きない。
そんなことって本当にあるんだよな。













ちょっと仕事がしたい。
そう言った志保にうなずいて、俺は志保の顔を見るため、ソファに陣取った。
パソコンを見つめてキーボードをたたく音は止まらない。
真剣な横顔。
照れるから、と怒る顔ももちろん見ていたいのだけど。
どれだけ無遠慮に見つめても、怒られたりしないのもうれしい。
至福のとき。
幸せだよなー
一人にやけながらそのまま見つめていたけれど、白いスケッチブックが目に入って、いいことを思いつく。
「なぁ、これ借りてもいいか?」
「ん?えぇ、いいわよ」
志保の許可をもらって、スケッチブックをめくった。
勝手に借りた鉛筆を真っ白なキャンバスに走らせてラインを描いていく。
鉛筆の先から生まれていく彼女はやっぱり愛おしくて。
夢中で俺は鉛筆を走らせていた。








最後の端を消しゴムで消して、大きく伸びをした。
うん。
我ながらうまく描けてると思う。
なにより。
俺が志保のこと好きだってのがダダ漏れだよな。
自分で描いたものを見つめながら、思わず苦笑いする。
さっき書いた少し笑ってる顔も。
その前に書いたまっすぐ見つめてる顔も。
いま描き終わったこのしかめっ面も。
顎に手を添えて考え込む顔も。
みんなみんな。
志保への好きがあふれていた。
なんだか少し照れくさい気もするけど。
まぁ、そう思って書いているんだから仕方がないよな。
いまだパソコンとにらめっこしてる志保を見つめて笑みがこぼれた。
これを見せたら彼女は喜んでくれるだろうか。
俺のこめられた思いに気づくだろうか。




・・・好きだぜ。




「今なにか言った?」
「いや、言ってない。これから言おうと思ってた」
「なに?」
「志保が好きだって」
ちょっと驚いた顔をして、頬を染めるとやさしく微笑んだ。
あぁ、かわいいな。
「ありがとう」
「終わったのか?」
「うん、大丈夫。待たせてごめんなさい。何か飲む?」
「いいって、疲れただろ?俺がなにか持ってきてやるよ。そこ座っておけ」
鉛筆とスケッチブックをテーブルの上においてキッチンまで来た。
志保のカップはどこだ?
彼女のお気に入りを探して食器棚を開けようとしたら、背中に衝撃が走った。
「ぉわっ、どうした?」
「・・・・」
背中をひねってみてみると、俺の背中には志保が張りついていて。
髪から見えたその耳は少し赤い。
「・・・あ、見た?」
「見たわ」
「俺の気持ち、伝わった?」
「えぇ、バッチリね」
「そっか。そりゃよかった」
志保の顔が見たくて、正面から抱きしめる。
「ありがとう。私も新一が好きよ」
真っ赤な顔をしたかわいいかわいい彼女の額に、お礼のキスを落とした。






















管理人は美術2だったので、思いが伝わるような絵を描いてみたいもんです。
この二人って甘すぎて書いてて照れくさいな・・・。

2019/10/15



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