「ねえ、なにをそんなにイラついてるわけ?」
ピリピリした空気に耐えかねて、俺は嫌だなと思いながら口を開いた。
「イラついてなんかねえよ」
プイっとそっぽを向いた三上に溜め息を吐いた。
嘘だってバレバレ。まぁ、聞かなくてもだいたい想像がつくけどね。
「来る途中、水野にでも会った?」
俺の問いにピクっと反応を返す。
ホント、わかりやすいというか素直というか。
「うるせえ。関係ねえだろ」
「‥‥別にいいけどね」
俺も水野のこと好きじゃないし。三上ほど嫌ってもないけど。
俺は読みかけの雑誌を退かして三上に覆い被さった。
「おい、なんだよ」
「水野に会ったこと、忘れたいでしょ?」
俺の言いたいことがわからないらしく、首を傾げる。
三上って妙なところだけ鈍いよね。そこが可愛いんだけど。
「だから。俺が忘れさせてあげるって言ってんの」
首筋に顔を埋めて囁くとピクリと三上の身体が震えた。
もう何回もやってるのに、やる度にいちいち反応するからホント楽しい。既に病つきになってる。
俺はそのまま唇を這わせた。三上に抵抗する気配は感じない。
どこかホッとしている自分を笑ってボタンに手をかけたらぐいっと押し返された。
「?どうしたの?」
「それはこっちのセリフだって。お前こそどうしたんだ?」
なんか郭らしくねえ感じがするぜと付け足す三上にまた溜め息。
まったく。変なところだけ鋭くなくてもいいのに。
「別に。ちょっとおもしろくないと思っただけ」
素直に答えつつ、頬から首へと手を遊ばせる。三上は驚いたように俺を見て笑った。
「なに?それって妬いてるわけ?」
ガラじゃないと言う三上につられて俺もかるく笑った。
まぁ、そうかもしれない。
自分でもそう思ったから敢えて否定の言葉を口にしなかった。
何も言わない俺を見て、三上からの触れるだけのキス。
さすがにこれには俺も驚いた。できるかぎり顔には出さなかったけど。
「三上からなんて珍しいね。どうしたの?」
「訊くなよ。お前ならわかるだろ?」









うん そうだね

今はただ 雨のせいにしておこうか
















考えたのは三郭のほうが先なのに、形になったのは郭三のほうが先‥

2002/05/05



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