※入場の順番と教室の席順などもそうなんですが、
50音順でも背の順でも絶対かみ合わないと思うんです。
(っていうか、かみ合ったほうがスゴイ?)
こればっかりは仕方ないんで目瞑って下さいね‥。














春。四月。入学式。
さーくら咲いたら一年生〜‥じゃないけど、まるで漫画みたいに満開の桜。
見上げた空もきれいに澄み渡っていて幸先いいかもvvなんて思った。
‥‥後から考えれば全然良くなかったんだけどさ。





そんなことは露とも知らない私は相変わらず浮かれ気分のままだった。
クラスの掲示はきっと玄関だよね。
嫌だなとは思いつつ、人が込み合っている玄関へと向かった。
私はA組か。は‥C組か。は‥同じC組。も、も違うクラス。
せっかく同じ学校にきたのに仲の良かった友達とはクラスがバラバラか。
バラバラっていうより私だけ孤立?
‥まぁ、仕方ないよね。一緒になる確率のほうが低いんだから。
2年になればクラス替えがあるし、気にしないでおこう。
せっかく始まった新生活。いきなり暗くなんてなりたくない。
さて、いつまでも一人でこんな所に突っ立っていても仕方ないし、
他の人のお邪魔だし教室に行こう。
えっとA組だから‥考えるまでもなく一番端だよね。





隣の席の子、誰かな?
っと、その前に私の席はどこ?
えっと‥‥‥あっ、あった!
あれ?隣、誰もいないや。
いないっていうより席がない。
そっか、ウチのクラスは奇数だから一人になっちゃう子がいるんだ。
うん。理由はわかった。
それはいいけどなんでよりによって私なのよ‥。
隣の席の子と仲良くなっていこうと思ったのに‥
はぁ、思いっきり出鼻くじかれた気分だわ‥。





『新入生の皆さんは入場してください。』


明るい音楽と共に流れた校内放送にしたがって、廊下に出た。
名簿順にって黒板に書いてあったから私は真ん中のほうなはず。
そう思って列の後ろのほうへと歩いていくと‥
あれ?私、一番後ろなの?
一番後ろは嫌いだけど、これは仕方のないことで。
気にしない。気にしない。



まだ体育館入場には時間があるよね。
かなりゆっくり動いてるし。だれか話し相手いないかな?
隣の男の子を見ると、何やら女の子と楽しそうに話している。
名前で呼び合ってるみたいだし、この二人付き合っているのかな?
じゃあ、お邪魔しちゃ悪いよね。



「こんにちわ」
トントンと背中を叩いてひとつ前に並んでいる男の子に声をかけた。
私って変に緊張しちゃうから男の子にはあんまり話し掛けないほうなんだけど、
なんか黙っているともっと緊張しちゃいそうだから。
「こんにちわ。名前は?」
「私は
「俺は笠井 竹巳。よろしくさん」
笠井くんは笑って自己紹介してくれた。
おっ、なんか話しやすいかも。
「やだよね、最後のほうって」
「視線が集まるから?」
「まぁね」
「でも、一番最初っていうのも嫌じゃない?」
「そうだね。やっぱり一番いいのは真ん中だよね。
 私、チビだから‥笠井くん大きいね。身長いくつ?」
「俺はね……」
なんて少し話していただけなのにあっという間に体育館の入り口が。
A組から入場なんだから当たり前なんだけど、もう少し話していたかったな。



あぁ、もうすぐ私の入場する番がくる。
こういう瞬間って異常なまでに緊張するのよね。
なんかみんながみんな、私を見ているような気がして。
‥自意識過剰だってわかってるんだけどさ。



入場したら出来る限り人を見ないように遠くを見ていた。
そして、ふと視線が自分が座るであろう席のほうにいった。
んっ?
「‥‥‥‥‥‥‥」
あの〜なんかスッゴク嫌な予感がするんですけど。
嘘だよね?頼むから誰か嘘だと言って!
そんな私の願いも虚しく。
席に近づくにつれて、その嫌な予感が現実のものとなっていく。
やっぱり思ったとおり‥?
あの様子だとどうみても席が一つ足りない。
私の前に歩いている人が四人。空いてる席も四つ。どう数えても四つ。
「‥‥‥‥‥‥‥」
先輩方、入学式早々嫌がらせですか?
いったい私にどうしろというのですか?
まさか入学式中私に立っていろとでも言うのですか?!
準備係の先輩方、椅子の数ちゃんと数えてください!!
心の中で姿のない(というか知らない)椅子を用意した
準備係の先輩方に今さら文句をいっても仕方あるまい。
そんなことより。
さて、どうしようか。問題はそれだ。
まさかB組のところに座るってわけにもいかないし、
出来る限りゆっくり歩いて時間を稼ぐっていう手もあるけど、
隣の子に合わせなきゃ変だし。
なんて考えている間にどんどん椅子への距離がなくなっていく。
ああ!もう着いちゃう!マジでどうしよう!なんとかしないと!
さん、俺のところに座りなよ」
席の前まで行くと、半ばパニックになっている私に小さく笠井くんが言った。
その言葉で私は冷静さを取り戻した。
確かにココで突っ立っていると嫌でも目立つだろう。
「ごめんね」
小さく笠井くんに聞こえる程度で謝ると一緒に座らせてもらった。
はぁ‥なんとか助かった。入学式早々、心臓に悪いよ。
さん、もう少しこっち来ないと落ちるよ」
「平気へいき」
心配してくれる笠井くんに笑って返す。
だいたい私より笠井くんのほうが体が大きいんだから半分ずつ座ったら
私、場所とりすぎでしょ?
「なに、遠慮してるの」
ぐいって引き寄せられて本当に密着状態。
これはくっ付きすぎなのでは?と思ったけど、もちろん言わなかった。
ううん。言えなかった。
心臓がドキドキしちゃっててそれどころじゃなかったから。





結局そのまま笠井くんと入学式を受けた。
最後まで一緒の椅子にくっついて座って。
退場した後にもう一度笠井くんにお礼を言った。
笠井くんはなんでもないよ、って言ってくれたけど本当に助かった。





入学式が終わると、(たぶん準備係の)先生が
すっ飛んできて必死に謝ってくれた。
間違えちゃってゴメンね、とか。今度から絶対気をつけるから、とか。
なんかいっぱい謝られちゃって、謝られすぎて逆に困った。
もういいです、って何回言ったかわからない。





一騒動あったけど、なんとかなった入学式。


明日から始まるバラ色(?)中学生生活に大きな期待!
でも、ちょっと不安だったり‥。
だって始まり方が始まり方だからね。

















入学式の話、これは本当に実話です‥。
そしてメチャクチャ焦ったのも本当です。
なにが悲しくて入学式からこんな目に‥と思いました。
っていうか、これってドリなのかしら?(汗)

2002/03/27



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