知っちゃった。
知っちゃったら知らなかった時には戻れない。
あぁ、もう、本当に。
・・・どうしよう。
「甘寧」
そこそこひろーい部屋で、同じ場所に座ってひっつく二人。
後ろから抱きしめてるのは、ただのバカから恋人になった甘寧。
「あん？どうした？」
どうしたじゃないわよ。
「いや、あのさ・・・」
「なんだよ？」
なんだよ、じゃなくて。
「、顔赤いぞ？」
そりゃ、アンタが抱きついてるからです。
「とりあえず、あの、ちょっと離れて」
そう、そばに座って、ただくっついてるだけ。それだけなんだけど、今のアタシには刺激が強い。
甘寧っていつも上は着てないから、抱きしめられると肌が直接あたる。
こんなのはアタシたちが付き合い出す前から日常茶飯事で、意識はしてたけど前はなんともなかった。
うっとうしいって本気で殴りとばしたりしてた。
でも、今は違う。
その肌を知ってしまったアタシは、否が応でも意識も、反応もしてしまっているわけで。
甘寧が後ろにいてくれてよかった。とてもじゃないけど、甘寧の顔が見れません。
「おい、おめぇ変じゃねえか？」
「べつに変じゃないよ」
変でしょうね、そんなことはアタシが一番わかってる。
「おめぇ、大丈夫か？」
「大丈夫よ、とりあえずちょっと離れて」
大丈夫じゃない。大丈夫じゃないからお願い離れて。
でも離れたら顔が見られる？
もう、この際、見られてもいい。からかわれるだろうし、アタシは顔見れないけど。
「？」
・・・
やばい。
甘寧の吐息を。甘寧の熱さを。思い出してしまった。
アタシのばかぁーーー！
ボワッと一気に頬が熱くなる。絶対、今のアタシは顔が真っ赤だ。
あーもうアタシのバカバカバカー！
と、とりあえずなんか違うこと考えなきゃ！
えっと、えっと。そうだ、明日の調練のことにしよう。
えっと、明日はたしか呂蒙様と一緒だ。呂蒙様だから、えっと、だから朝は弓じゃなくて戟を用意して・・・
「おい」
「ぁん」
耳にかかったわずかな吐息にピクリと震えて、変な声が出てしまった。
ハッとして慌てて口を押さえたけど、聞こえた・・・よね？
「、おめぇまさか」
ニヤリと笑ったその顔は、まるで・・・悪魔のようですよ、甘寧さん。
「なんでもないっ」
もう！もう！恥ずかしい！
誤魔化して立ち上がろうとしたけど、甘寧は許してくれなかった。
絡みついたままの腕に引き寄せられて、あごを掴まれて、甘寧の顔が近づいてくる。
何をされるのか、わかっているのにその誘惑に勝てない。
条件反射のように、目を伏せる。合わさった唇は柔らかくて温かくて。
あぁ、やっぱり気持ちいい。もっと甘寧を感じたくなる。
「いい顔してんな」
「どんな顔よ？」
「もっと俺がほしいって顔」
そんなうれしそうな楽しそうな顔して言われると悔しいけど、否定は出来ない。
むしろ、なんで甘寧は平気なんだろう。意識してるアタシが変なのかな？
「なに気にしてんだ？」
「ぁ、だってッ」
天井と甘寧を見上げながら抗議の声を上げる。
アタシばっかり甘寧を意識してて。アタシばっかりが変になってて。
甘寧が触っていくところが熱くなって、淫らなアタシを引き出していく。
触れられれば触れられるだけ、どんどんアタシは変わっていく。
あんなに恥ずかしいって思っていたのに、欲が強くなって、我慢できなくなる。
「口、開けて」
甘寧が、欲しいって言おうとしたのに唇を塞がれる。
ギラギラとした欲に濡れたその瞳で見られることすら、歓喜してる。
突き出してしまった胸を吸い付かれたらもう言葉にならないくらい気持ちいい。
「んんっはぁ」
気持ちいいのに、下がムズムズしていて満たされない。
足りない。アタシ、足りない。はやく。
「ぁん、甘寧っ、お願い」
欲しいの言葉の代わりに名を呼んだ。
「興覇だ」
「こう、は、・・・アッ」
「欲しいんだろ？」
ほしい。
問われた願いに素直に頷いて、腰を揺らしてねだりながら興覇を誘う。
クチュリと音が聞こえて、覚えがある熱を飲み込んでいく。
大きくて苦しくて息がつまりそうなのに、でもそれ以上に満たしていく熱がうれしい。
「こう、は、アタシ、変じゃ、ない？」
「どこがだよ？」
「や、だって、え」
もっと興覇がほしい。満たされているのに足りないの。
ズブとかズチュとか、すごい水音がしてるけど、腰が止まらない。
もっともっと欲しい。
「ぁん、こうはっ」
「俺が好きか？」
「あぁん！すきぃっ・・・」
「俺はずっと、だけがほしいんだから」
「あぁん！あんっ」
「もっと俺だけを求めて狂っちまえよ」
あぁ、狂っちゃう。
くっそぅ。もっと甘寧の色気を出したいもんです。うー・・・
2019/10/4