嫌というほど思いしらせてやりたい



















やるべきことはすべて済ませて、あとは寝るだけというこの状況。
不意によぎった映像に、頭のなかを支配されるまでの時間は僅かなもので。
マズイと思ったときには手遅れ。
打ち寄せる波のように、止めようがなく流されるしかない。
たまに体の奥底から沸き上がってくる衝動。
ぶつかることしか知らないこれは、欲求不満じゃないことだけは確か。














「………アイツがいなくて正解だな」









ベッドの端に腰かけて手を組んで、思わず笑ってしまう。
コントロールができない、というのが妥当なところだろうか。
今の自分は彼になにをしてしまうかわからない、なんて。
















「誰がいなくて正解だって?」
















独り言への返答に驚いてふりかえると、窓に寄りかかって蛮がこっちを見ていた。
暗色のカーテンを翻し、月光を浴びる姿は美しいとしか言える言葉はなく、ゾクゾクとした。









「………美堂、いつの間に…?」
「今さっき。鍵かかってなかったから勝手に入らせてもらった」




ゆっくりと歩み寄ってくる蛮に、反射的に立ち上がった。

















ヤバイ。

















いつもならなんのことはないこの距離で、すでに鳴り響く警鐘。
もう限りなく危険信号に近い。









「美堂、テメーもう帰れ」
「あぁ?せっかく俺サマが逢いに来てやったっていうのに、茶の一つも出さねぇどころか、もう追い返すのか?」









眉間に皺をよせて、腕を組んで、見てわかるように明らかに機嫌は悪そうで。
本当にわかっていないのか、わかっていて気づかないふりをしているのか。
頭と勘の良いこの男のことだ。恐らくは後者だろう。









「美堂、帰れって」
「ヤ〜だね。テメーに命令される筋合いはねぇ」

















「……………どうなっても、しらねぇぞ………」












獲物を狙うような鋭い視線も、低く落ちた声にも、自覚はなかった。
闇のなかで煌めく瞳は、明らかな狂喜を映していた。

























いいところ(爆)直前で切ってすみません。書いてて恥ずかしいけど、楽しいっす〜(死)

2003/01/22



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