きっと、僕がそれに気づく前から すべては決まっていたんでしょう



















「もしもし?美堂?」
「猿マワシか。なんだよ、こんな時間に」
「悪い。なんとなく声が聞きたくなっちまって」
「はぁ?なんだよ、それ。聞いてるこっちが恥ずかしいぜ」
「うるせぇ!それより美堂、なんか声が掠れてないか?」
「あん?‥あぁ、ちょっと風邪気味なんだよ。べつに大したことねぇ」
「気をつけろよ」
「わかってる。テメーが戻ってくるまでに治しとくって」
「そっか。じゃあ、遅くに悪かったな。ちゃんと温かくして寝ろよ」
「あぁ、おやすみ」
















「…随分と演技派なんですね」
「あん!…はッ…あッ…」
突かれた衝撃に声を上げ、重力に従って濡れた指先から携帯が滑り落ちた。
ここは無限城を出てからの花月の部屋。
士度や銀次、十兵衛すら知らない場所だ。
明るいクリーム色をベースに統一された室内の一番奥に位置するベッドルーム。
乱雑に脱ぎ散らかされた二人分の衣服。
その先にあるベッドは蛮とともに鳴き続け、何度も迎えた絶頂に蛮自身はドロドロで見る影もない。
最奥である結合部は蕩けきっていて、次々と吐き出される花月の欲を受けとめていた。
「士度も、まさか受話器の向こうで君が抱かれているとは思ってもいないでしょうね。こうして僕を呑み込んでいるのが嘘のようでしたか ら」
「テメー‥が動、かな……あッ!」
反論を述べようとした蛮の口を塞ぐ代わりに、開かれた脚の付け根に指を滑らせた。
そのままドロドロに濡れた中心に手を絡み付かせ、うっとりと呟く。
「ぜひ士度に聞かせてあげかったな」
「あっ…あっ…いとま、き‥ぁん…」
「こうして僕を呼びながら啼く君の声も」
「あぁん!…はッ…あッ…あああッ!」
「僕に導かれてイク声もっ…んんッ!」
半ば水のような精を吐き出し、ピンと張っていた糸が切れたように蛮の体から力が抜ける。
ナカのキツい収縮に促されて、花月も精を吐き出した。
「ンっ…はぁっ…あっ…」
ビクビクと体を震わせ、放たれた花月の熱を感じる。
受けとめきれなかった熱は最奥から溢れ出て、白い肌を伝っていった。
「猿‥マワ、シ…?テメー…あ、くしゅみっ…」
一番はじめにこぼれるのは笑みと荒い息。
体は快楽に染まり、声もかすれているのに、それでも悪態は消えずにいる。
「…本当に穢しがいのある人ですね、美堂くんは」
花月の言葉に不穏なものを感じて、蛮は眉間に皺を寄せた。
もうわからないほど精を注ぎ込んでいるのに、花月が出ていく気配はない。
「…はぁっ……おいっ…」
「なん、ですか?」
ゆるゆると優しく揺すられ突かれて、じわじわと襲い来る快楽から逃れようと首を振った。
「ぁん‥もう…やっ…」
「本当に?こんなに絡み付いてきているのに?」
花月の言葉が示すとおり、長時間に及ぶ情事に蛮のナカは緩む気配もなく、今もキツく花月を締め付けている。
淫卑な水音と緩慢な挿入に、萎えていた蛮自身も鎌首を擡げ始めていた。
喘ぎながら、それでも首を振る蛮にクスッと笑うと、花月は自身を引き抜いた。
途端にナカからドロドロになった花月の精液が溢れ出てくる。
「あぁッ…んんッ‥」
そのなんとも言えない感覚に思わず唇を噛み締める。
「唇、切れますよ」
咎めてから顎を引き、口を開かせると、唇を重ねた。
こぼれるわずかな喘ぎさえ絡め取ろうと、花月の舌が無遠慮に口内を動きまわり絡まる。
苦しそうに酸素を求めるが口を塞がれ吸われて、蛮の目尻に涙が浮かんだ。
同時に左手で少したち上がった蛮自身を握り込み扱くと、堪らず隙間からくぐもった声がこぼれる。
煽れるだけ煽り、直前になって花月は身を引いた。
「えっ…」
従順に快楽を感じていた蛮には、一瞬なにが起こったのかわからなかった。
霞がかった思考でだったが、花月の笑みを見て、蛮は花月のしたいことが理解できた。
中途半端に残された熱は燻りを見せ、蛮の口から喘ぎとなって表れる。
「…くっ…あっ‥て、め…」
「どうして?もう限界なんでしょう?」
「んんッ…あッ…」
蕩けた其所に指が1本挿れられたが、それでは今の蛮には足りない。
「ぅ…くれ、よ…」
「まだ、僕が欲しいんですか?」
「ぁん…ほし、い…‥か、づきぃ…」
「…狡い人ですね、君は」
苦笑いとも微笑みともつかない表情でそうこぼすと、蛮の体を反転させ、うつ伏せにした。
「はっ‥そりゃ…てめ、だろっ…」
また悪態をつくと、腰をたぐり寄せられ獣のような体勢で深々と差し貫かれた。
「あああッ…!」
弓なりに喉を反らせ、堪らず精を吐き出す。
そこへ間髪入れず、腰が砕けてしまうくらい打ち付けられた。
「あぅ!‥そんな奥……ひぃッ!あぁッ‥!」
イった直後の過敏な体に強すぎる快は苦痛になる。
蛮は悲鳴のような声を上げ、またわずかな精を吐き出した。
注ぎ込まれた花月の欲も溢れ、溶けた蛮自身を濡らす。
「…ひぁ!…あぁん!」
限界を越えて叩き付けられる快楽に、それでも反応する体が恨めしかった。
苦痛と快楽の間で、ひっきりなしに喘いでいる蛮の耳もとで花月は静かに囁いた。


















「今度は僕の暇潰しに付き合ってください。僕が士度に殺されるその時まで」

























やっぱり書けません。無謀でした。ごめんなさい。カヅっちゃんが完全に赤屍サン化してます〜(汗)

2003/10/22



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