誰よりもわかってるつもりだった。 ずっとずっと、俺はアイツだけを見てきたから。 「俺、おめぇのこと好きだ」 「ありがとう。私も好きだよ」 「マジか?」 「それは私のセリフ。トラップこそ本気なの?」 「マジじゃなきゃ言えねぇよ」 「それは私も同じだよ」 誰よりも見てきたし、誰よりも理解している。 まだ知らないことも、これからわかってやる。俺は全部受けとめてやる。 俺は自負していた。 でも、どんどんわからなくなる。 仲間から恋人に変わった。ただそれだけで受けとめ方が変わって。 自信は不安に埋もれて、今日より明日、明日より明後日、もっとわからなくなってく。 「おめぇが考えてることがわかんねぇ」 「トラップのほうがわかんないよ」 好きになればなるほど、見えなかったものが見えてきた。 けれど、好きになればなるほど、見えてたものが見えなくなった。 不安と嫉妬に駆られて抱きしめたことは数知れねぇ。 でも嬉しさと安堵から抱きついたことも同じだけある。 「好きだから不安になるんだよね」 「そうだな」 不安に駆られる度に泣いて怒って傷ついて、でも最後には必ず笑うことができる。 これからもきっと変わらねぇ。 重ねれば重ねるだけ、もっとキミを好きになる。 2005/01/27 |