どんなかたちでもかまわない
君を縛っておけるなら俺は悪魔にだって魂を売れるよ
君のためなら俺はなんだってできるんだ
嫌ってくれてもいい 憎まれてもかまわない
だからお願い
俺だけを見てて‥
「久しぶりだね、」
そう言って笑った彼の顔は憎らしいほど綺麗で。
逃げ出そうとした足はまるで凍りついたかのように動かなかった。
「元気だった?」
「‥えぇ」
「あれ?ちゃん、英士と知り合いだったの?」
「‥うん、まあね」
まさか再び、彼に出会うことになるとは思わなかった。
いや、思いたくなかったというほうが正しい。
だって私は彼に慰みものにされたのだから…
突然連れ込まれたのは体育館倉庫。
「、なにをそんなに恐がっているの?」
ニコっと見せたあのときと変わらぬ笑顔にゾッとするほどの美と恐怖を感じる。
勝手に後ずさりしてしまう足。
危ない。恐い。逃げなきゃ‥
頭の中で鳴り響く警鐘。彼が近づくたびにより大きく鳴り響く。
出来るだけ距離をとるように奥へ奥へと逃げる。
後ろでガターンと扉の閉まった音が響いた。あっという間に見えてきた壁。
逃げ場を失った私にゆっくりと近づいてくる。
ダンッと壁に手をつく音が思いのほか大きくて、ビクッと体が怯えた。
「捕まえた」
耳元で囁かれた声は優しくて、逆に悲しくなった。
「、どうするの?もう逃げられないよ?」
「い‥やっ!」
突き飛ばそうとした手は逆に捕まれ壁に縫い付けられる。トサッと軽い音がしてカバンが落ちた。
「俺に敵うと思ってるの?」
「放して!もうやめて!」
騒ぐなとでも言うかのように唇が塞がれる。すべてを貪られるかのようなキス。
まるで生きているみたいに私の口内を彼の舌が泳ぎ、侵食していく。
首筋に口付けられ吸われると、鼻にかかったような吐息が漏れた。
「は相変わらず感度いいね。嬉しいよ」
本当に嬉しそうに言うと、私の持っていたハンカチで私の両手を縛り上げた。
抵抗はしたが、やはり敵わなかった。
「さて可愛がってあげるからね」
衣服も下着も取り去られて惜しみなく晒されている裸体。
寒さなど感じない。あるのは燃え上がるような羞恥心だけ。
「‥‥っ‥‥ぁ‥‥‥!」
できるだけ声を出さないようにと必死に唇を噛み締めているのに、それでも零れてしまう声。
「、声出しても平気だよ。外には聞こえないだろうし」
逆に誰もこないけどね、と笑いながら私の中を掻きまわす。
「‥っ‥あぁぁ!!」
その度に、私は弓なりのように身体を反って与えられる快感に耐える。
身体中を弄ばれて
最奥を嬲られて
これから私は彼の上で踊らされ続けるのだろう。
もちろん拒絶なんか許されない。もう逃げることも出来ない。
楽しそうな彼の視線を感じながら、私はただ彼のために踊り続けるしかない。
また始まる一日‥
表面上は何も変わらない
それは日常と呼ぶべきもの‥
「おっす、」
「おっはよー、ちゃん」
「あっ、おはよう」
笑顔で返した友達への挨拶。
ふと、感じた射抜かれるような視線に振り返る。
当然のようにそこにある彼の姿。
「おはよう」
「‥おはよう」
私の態度に彼は満足だといわんばかりに微笑んだ。
あの時と変わらない恐いほどの優しい微笑み。
「、今夜0時にいつものところで」
毎夜のように交わされる約束。
耳元で囁かれるそれは確実に私を狂わす闇への誘い‥
ホラ、二人キリノ宴ガ始マル…
「はぁっ‥‥んっ!‥あっ‥‥あぁっ‥!」
マルデ出口ノナイ迷路ノヨウニ宴ハ続ク…
いつか彼女が完全に彼に囚われてしまうその日まで
実はこの作品がドリの中で一番最初に形になったものだったり。
2001/12/14 3/16 一部加筆。
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