あのね、なんだか長い夢を見ていた気がするの
淡い淡い桜色の霞みがかかったような記憶の中で
深い闇の向こうにあなたの声だけが聞こえて



何もわからないのに
何も見えないはずなのに
痛いほど鮮烈に残っているあなたの姿



そんなおとぎ話のようなユメ














ふっ‥と目が覚めた。
太陽の位置は高くなっていて、あれからどれくらい時間が経っているのかわからない。
何時限くらいサボったのか。そんなことはどうでもよかった。

‥夢?

うん。そうかもしれない。
だって、あまりにも都合が良すぎるもの。
いなくなってしまった恋人が逢いに来てくれる夢だなんて。
「都合‥よすぎるよね」



呟いたらまた涙が零れた。
それでもやっぱり、自分の考えを信じたくなくて制服のリボンを取った。
「やっぱり夢だったんだ‥」
最後まで呟ききる前に気がついた。
身体に散らされた紅い華。
亮が確かに“此処にいてくれた”という証。
亮が確かに“私を愛してくれた”という証。
私のからだに深く刻まれている亮の強い想い。
「勝手に人のこと夢にしてんじゃねえよ」
という亮の声が聞こえた気がして、真っ青な空を見上げた。








大好きなあなたの為に私は最初の涙を流す

遠い遠いあなたを想って私は最後の涙を流す








「あきらぁ‥」








さよなら‥

私に涙をくれた人‥
















2002/03/08



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