「死ぬかと思った」 今冷静に考えて出した答え。 今朝見た夢は妙にリアル。 それも其の筈。 だってあれは数年前の出来事。 普通鉄パイプで殴りマスカ? よく生きてたな自分。 若いって凄い。 「何の話だ?」 眼の前の仏頂面が珈琲を飲み終えて。 独り言に問いかける。 「アンタもオレも若かったって話」 ああ? 怪訝そうに此方を見やる顔に視線を外して、珈琲に手を伸ばす。 いいよ、アンタは判らなくて。 穏やかな時間は今。 オレ達、ロッカーだし。 だからって壊してばかりじゃ生きられないし。 若かったと言うよりはガキだったあの頃。 それこそ壊したかった。 どうにもならない苛立ちもあった。 守りたかった大切なものは。 仲間だったり、奴等と過ごす時間だったり。 昔と変わったモノもあれば、変らないモノもちゃんと何処かにある。 多分。 自分でもよく判らないけど。 ああ。 今は先ず珈琲を飲もう。 「ヒロミ」 突然。 声をかけるから。 驚く。 驚くよ。 黙って待ってれば。 立ち上がって、見下して、笑う。 「ナニじじいみてえな事言ってンだ」 そう? ああ。 そうだな。 全くだ。 テーブル越しに。 腕を伸ばして。 噛み付くようなキスをするアンタが。 スキ。 スキだよ。 ああ可笑しいッたらありゃしねえ。 アンタをスキになるなんて。 なあ? 「阪東」 オレを殴ったその手で、今度はオレを抱き締めるのか? 「エッチしよっか?」 回り込んでなし崩し。 押し倒された。 ココは床の上デスヨ? まあ、いいけど。 誘ったのはオレだし。 ああ可笑しいったらありゃしねえ。 あんな夢一つで。 アンタに抱かれたくなるなんて。 笑えねえって。 怖くなったなんて。 口が裂けても言えやしねえ。 「愛してる、センパイ」 あんな出会いだとしても。 アンタに会えてよかったよ。 もう離れないよな? いがみあって。 傷つけあったりしないよな? 嗚呼。 オレ、アンタに甘えてるンだ。 アンタが欲しくてたまらないンだ。 もうあんなのはあの時だけで十分だから。 だから。 どうかこの手を放さないで。 戻る 今回アップさせていただいた3つの中では、実は個人的に一番お気に入り!のお話です。 ヒロミかわいいヒロミかわいい。 うわもう思う存分甘えなさいとか、読みつつ思わずブツブツと。 2人が殺し合いをしていた頃への忌避感は、ヒロミの方が大きいだろうなあ、と思います。 12巻での阪東再登場あたりから、ヒロミの中での阪東ヒデト像が何だかもう怒涛のように変わっていったのに対し、 阪東は、ことヒロミへの思いに限っては登場当初からほとんど変わっていなさそうなので。ヤツは常にクレイジーだ! |