ネコ科の王様



 俺様で気まぐれの阪東は、他人の都合なんか考えない。
 今日も昼休み、突然2年の校舎に現れて、俺を強引に教室から連れ出した。
 昼飯がまだだ、と抵抗しても聞く耳持たず。
 顔貸せって言ったけど、貸すのはきっと顔じゃねー。
 真昼間からサカってんなよって、半歩先を行く興奮した背中にうんざりする。
 こういうときに連れて行かれるのは、校内なら図書室か便所の二択。
 予測がつくようになってしまった自分が、ちょっと哀しい。
 今日は図書室。
 鈴蘭の図書室は、油断すると生徒が蔵書を売っ払ちまうから、入り口の鍵はいつもかかってる。
 どこから手に入れたのか、阪東は昔からその鍵を持っていた。
 手早く開けると中に俺を押しこみ、後ろ手に戸を閉めた。
 俺も人のこと言えねーけど、すげえ悪人面。
 そのまま奥に引っぱっていこうとするから、ちょっと待てと俺は止めた。
 入り口の横の窓を開けて、施錠。
 それから窓を閉めて、窓の鍵も。
 ビビってんじゃねーって阪東は笑ったけど、最中に誰かに入ってこられるのはさすがに勘弁してほしい。
 阪東の手の中にあるのは、明らかにコピーの鍵だった。
 そのことを指摘すると、

「お前今度職員室しのびこんでマスターキー処分しろ」
「考えとくよ」

 ついでにカーテンを閉めにいこうとしたら、見えねーとこでやるからさっさと来い、だって。
 阪東はレザーのジャケットを脱いで手近のイスに放る。
 一番奥の本棚と本棚の間に俺をつれこみ、日に焼けたカーテンのわだかまる窓に押しつける。
 痛えって。
 こちらが怒るより先に唇が重なった。
 何だかもう終始自分のペースで。
 怒るのを通り越して呆れるけど、悲しいことに俺は、そんなこの男が好きで好きでたまらない。
 阪東のキスは、唇と唇とを触れ合わせる、なんてかわいいもんじゃない。
 噛みつく「ような」じゃない。
 比喩じゃ済まない。
 本当に噛みつかれる。
 長い舌を喉の奥までねじこまれる。
 嘔吐感におそわれながら、でも、そんなキスが嬉しいっていうんだから、俺も相当イカれてる。
 唇を離すと、阪東は、唾液にまみれた口の周りを指の腹で押しつぶすみたいにぬぐう。
 ヒロミ、って俺の名前を呼んだ。
 直前まで俺の口を犯していた口から出る低められた声。
 耳まで犯されてるみたいな気分になって、ぞくぞくした。
 口でしろ、って言われて俺はまるで操られてるみたいに。
 壁にもたれた阪東の前に跪いて、革パンの前のジッパーを歯で開ける。
 飛び出した阪東のモノを含むと、指輪だらけの手が俺の頭を撫でた。
 それが嬉しくて。
 俺は口と一緒に手も使って、竿も袋も愛撫する。
 上目遣いにうかがうと、阪東は眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をしてた。
 これは……多分気持ちよがってる顔。
 証拠のカウパーを舐めながら、このまま出すか?と。
 咥えながら聞くと頷いて、俺の顎を下から掴む。
 深く突き入れて、そのままピストン運動。
 顔に出してやろーかって、阪東が笑う。
 いったん抜いて、頬にペニスを擦りつける。
 ちょっとそれはやめろ、一応学校だし。

「じゃあどこに出してほしいんだよ?」

 畜生、楽しそうだ。
 床に膝をついたまま、後ずさろうとした俺の腕を引き、キスをする。
 よく今の今まで自分のが入ってた口にキスなんかできるな。
 俺は思ったけど、俺様は気にしない。
 背の高い本棚と本棚の狭間で、壁際にいるのは阪東。
 でも、追いつめられてるのは俺の方だ。

「言わねーと頭からかけるぜ」

 限界まで勃起したモノを片手で擦りながら。
 口、と俺が言うと、口にどうすんだよ、と。

「…口に出せ」
「出してください、だろ?」

 もしかして、これって言葉攻めってやつか?
 思い至ればくらくらしながら、だけど、他にどうしようもないから。
 口に出してくださいって俺は言った。
 間髪入れずに突っこまれる。
 阪東は、ケツに挿れてるときとほとんど同じペースで腰を振った。
 俺がえづくのがまた気持ちいいらしい。
 こぼすなよって言われて頷く。
 昼休みはとっくに終わっていて、窓の外からは、どっかのクラスの体育の声が聞こえた。
 サッカーだろうか、それともハンドか。
 激しいピストンが苦しいから、逃避気味に俺は考える。
 俺の頬を阪東が叩いた。

「ボーッとしてんな、もう出すぞ」

 そうして、程なく弾けた阪東の精液を俺は飲んだ。
 こぼすなって言われたとおり、一滴もこぼさず。
 ティッシュがねーと呟く阪東に、カーテンで拭けば?と言うと、頭を張られた。
 俺のシャツの襟をつかんで、ちょうどいいもんがあるじゃねーかって。
 それ、俺が飲んだ意味なくなんねーか?
 ニヤリと笑う阪東に、もうどうにでもしてくれって気分になる。
 惚れた弱みってやつか、これが、畜生。






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 映画でヒロミが阪東のことを、「奴の性格上単なる気まぐれだろう」って言ってた。
 すごい自分勝手な阪東と、だからこそ阪東が好きでたまらないヒロミがいいなあ、と思います。
 この後、ヒロミは阪東にしてもらえるんだろうか?
 何だかしてもらえないような気がしてきました。
 惚れた弱みっていうより、それは単に調教済みなだけじゃなかろうか。





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